親衛隊の日常29
ついに、卒業式の日がやってきた。
王都・朝歌のすぐ近郊という立地のおかげなのだろう、今回の式典にも商王朝の要人の方々が直々に足を運んでくださっていた。
今日お見えになったのは、あの小師の箕侯・胥様だ。
私はしっかりと覚えている。二年前、まだ幼かった私たちがいた施設までわざわざ来てくださり、貴重なお祝いの品と共に、「自分で考えることの大切さ」を深く教えてくれたあの日のことを。
雲の上の存在である胥様は、私のような一介の見習い兵のことなんて、きっと覚えてはいないだろうけれど。
厳かな空気の中で式は進み、後輩の代表が私たちに向けて立派な祝辞を述べてくれた。
今度は私が卒業生の女性代表として、壇上でしっかりと答辞を返す。一度のやり直しも喰らうことなく、卒業式は恙無く終わっていった。
選ばれた三百人のうち、百五十人はこのまま各地の部隊へと配属され、残りの百五十人が「大学」へと進学する。
これからの一旬(十日)の間で、仲間たちは次々とこの場所から旅立っていくのだ。
私も、一年半を過ごして住み慣れた今の女子寮から引っ越しをしなければならない。
……と言っても、新しく入る大学の女子寮は目と鼻の先、すぐそこにあるのだけれど。
次の入学式までは三旬(三十日)の猶予がある。
ただ、今までと決定的に違うのは、これからは「学生である前に、正式な軍籍を持つ本物の兵士」として大学に所属することになる点だ。
成人したことで、国から貰える給与もなんと一気に倍以上に跳ね上がった。
へへ、今度の休日には奮発して、あの憧れだった「帛」で出来た本物の綺麗な服を買うんだ。
大学に入ったら、もう「女のくせに」なんて誰にも言わせない。私は、立派な大人の兵士になったのだから。




