親衛隊の日常28
教官たちに呼び出された私は、信じられない通達を言い渡された。
なんと、今度の卒業式において、今度は「卒業生の女性代表」として再び答辞を読めというのだ。
「二度も代表に選ばれるのは大変な名誉である。誇るが良い」
教官はそう言って私を称えてくれたけれど、私の内心は――ぶっちゃけ、はぁぁぁ、まためんどくさい大役がまわってきた、という絶望で満ちていた。
だって、ただでさえ最近は、大物貴族様たちからの異例の面会、面会、面会の嵐で、本当に心身ともに疲れ切っているのだ。もう代表なんて誰か他の優秀な女の子に譲ってよ! 頼むから残り少ない時間を勉強と訓練に専念させてほしい。
「はっ! ありがとうございます!」
けれど、そんな本音は微塵も出さず、完璧な優等生の返事をする。
「うむ。すべては貴様の努力の成果だ。大学(士官学校)に進んだ後も、この調子で精進するように」
「はっ。誠心誠意、努力いたします!」
ようやく教官室から解放された後、私は残り少なくなった時間を、同じ女子寮の同級生や後輩たちと大切に過ごしていた。
考えてみれば、新入生の後輩たちは、あの環境に慣れて落ち着いた後も、結局私に対する態度だけは変わらなかった。
「お姉様、どうかされました? なんだか浮かないお顔ですわ」
ふと物思いにふけっていた私に、後輩たちが心配そうに顔を覗かせてくる。
「いや、なんでもないよ。……ああ、可愛い君たちとの別れが、もうすぐそこまで迫っているからかな?」
私が少し寂しげに微笑んでみせると、後輩たちは一瞬で顔を真っ赤にした。
「「きゃー! お姉様――っ!」」
うん。やっぱり、この凄まじい黄色い歓声のノリは最後まで治まらなかったね。なんでだろう?
まあ、最初はあんなにしんどがっていたけれど、今となっては本当に、この賑やかさが少し名残惜しいのだけれど。
そんな私の様子を横目で見ていた同級生が、ジト目でツッコミを入れてきた。
「本当に、貴方は同性の後輩には、もっのすごくモテモテねぇ」
あん? なんだか今の言葉、妙にトゲが含まれていないか?
売られた喧嘩は完璧に買いましょう、お姉様らしくね。
「あら。誰からもモテないどこかの誰かさんよりは、遥かに良くてよ?」
「キィィーッ! 最後まで貴方は、一言余計なのよ!」
悔しそうに地団駄を踏む同級生を見て、私はふっと視線を落とす。
――なんて、こんな風に全力で馬鹿な言い合いができるのも、あと本当に少しだけなんだな。




