親衛隊の日常26
久しぶりに、あいつらからお誘いの伝言が届いた。
『次の休みに、三人で飯でも食わないか?』と。
私は案内してくれた連絡員さんに感謝を伝え、お礼として少しばかりの貝貨を包んで、承諾の返事を頼んだ。
最後に三人で出かけたのは、一体いつ以来だろう。もう三ヶ月以上は経っているはずだ。
同じ女子寮の同級生や後輩たちに「次の休みは先約があるの」と伝えると、同級生の一人がニヤニヤしながら絡んできた。
「あら、あなた逢い引き? でも男二人とあなたで三人なんて、ちょっとふしだらじゃない?」
おい、なんで私が有象無象の男どもならいざ知らず、あいつらとふしだらなことをしなきゃいけないんだ。あいつの言葉じゃないけれど、キモすぎる。
「んな訳ないじゃん。ただの幼馴染。ほら、卒業も近いし……多分みんな別々の道に行くからさ。その前に、ね」
そう答えると、同級生はつまらなそうに溜息を吐きやがった。私はお前のおもちゃじゃないぞ。
後輩は後輩たちで「きゃー! お姉様、流石です! 二人も手玉に取るなんて!」とか騒いでいる。なんで周りの奴らはどいつもこいつも恋愛脳なのだ。理解できん。
――そして、待ちに待った休日。
「よう、久しぶり」
「おう」
久しぶりに顔を合わせたあいつらは、私の姿を見るなりニヤリと笑った。
「うん、その格好。もうどこから見ても立派な女性だな。擬態が随分と上手くなったもんだ」
おい、なんだ擬態って。失礼極まりないだろ。
「もう、からかうのはやめなよ。……うん、すごく似合っているよ。こっちに来て一年半以上経つし、本当に垢抜けてきたよね」
もう片方の幼馴染が、優しくフォローを入れてくれる。おお、相変わらずお前は素直で良い奴だな!
あたり前よ。私の審美眼は、今や女子寮の後輩たちをメロメロにするほどなのだから。
そんな馬鹿話をしながら、私たちは教官の言いつけ通りに軍事都市の商店街を渡り歩き、飯を食べた。
積もる話に花を咲かせ、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
けれど、夕暮れが迫り、解散する前にあいつらがふと真面目な顔をした。
「……俺たち三人、これまで必死にやってきたけどさ。多分、大学(士官学校)に進めるのはお前だけだよ。頑張れよ」
「うん。少し悔しい気持ちもあるけれど、僕たちの分まで頑張ってね」
不意に突きつけられた言葉に、胸の奥がキュッと締め付けられた。
なんで、そんなこと言うんだよ。
「まだ三ヶ月はあるじゃん! 二人とも、俺たちも大学に行くからって、それくらい言えよ……っ」
視界が急に潤んでいく。ぐす、と鼻を鳴らしながら、私は必死に言葉を紡いだ。
「私も、全力で頑張るから。でも……たとえ離れ離れになっても、私たちは家族だよ」
ああ、なんだよ。
いつもみたいに、キモいとか言って茶化してよ。
なんでそんなに素直に頷くんだよ。もう、馬鹿野郎――。




