親衛隊の日常21
ある日の訓練の合間、教官が私を呼び出した。
「貴様が、在校生の女子代表に選ばれた。新入生に対する歓迎の『送辞』を読んでもらう。誇れ。――それから、この簡牘が最近の在校生が読んだ送辞の記録だ。参考にするが良い。五日間だけ貸してやる、励めよ」
まじで!? 私が代表!?
ちょっと、これって凄く嬉しいことなのでは?
確かに最近は座学も武器術も馬術も、得意な科目がどんどん増えていた。けれど、男子たちには体術や体力面で負けてしまうことが増えて、一人で悔しがっていたところだったのだ。
女子寮に戻ると、仲間たちが口々に祝福してくれた。
「おめでとう! さすがですわ!」
「いやあ、お前ってば男顔負けの成績だし、順当な選出だろ」
おお、みんなから見ればそうなのか。
自分では毎日、走り込みの順位なんかで悔しい思いばかりしていたけれど、ちゃんと私の努力を見てくれている人がいたんだ。
「ありがとう! 私、精一杯頑張るね!」……と、みんなには笑顔で答えたものの、私の内心は一転していた。
あー、でも「送辞」か。ぶっちゃけめちゃくちゃ面倒くさい。
教官から渡された昔のやつを適当に組み合わせて、それっぽい文章に仕立て上げれば、それで良くない?
よし、その作戦で行こう。
――五日後。
「貴様。この送辞、以前の先輩たちの言葉をただ組み替えただけだろう。駄目だ。他人の借り物ではなく、自分の言葉で語れ! やり直しだ、たく……」
「はっ! 申し訳ありません!」
直立不動で怒られながら、私は心の中で激しく毒づいた。
糞が。なんで組み替えだってバレてんだよ。めちゃくちゃ面倒くせえええ!




