親衛隊の日常20
待ちに待った休日。私は約束通り、可愛い後輩たちを王都の街へと案内してあげた。
お洒落な服屋や雑貨屋を巡り、最後は小洒落たお店に入って、ちょっとした料理を奢ってあげる。
ここへ来てから、ただ勉強や訓練をしているだけで国から貰えるようになった給料(貝貨)が、こういう時に役に立つ。
「ご馳走様でした、先輩!」
「いいのよ。私も去年、当時の先輩にこうして奢ってもらったから。来年は貴方たちが、新入生に同じことをしてあげてね」
「「はい!」」
揃って元気な返事が返ってくる。
うんうん、素延で本当に可愛い。地方の施設から出てきたばかりで、きっと心細いことや、厳しくなる訓練に不安をおぼえることも多いはずだ。
「これからきついことがあっても、いつでも私の部屋にいらっしゃい。歓迎するわ」
「ありがとうございます、先輩!」
ああ、可愛いなぁ。
先輩なんだから、たとえ日々の訓練でどれだけ疲れていようとも、後輩の前ではしっかり格好つけて、頼れるお姉様風を吹かせてあげなきゃ。
そうして胸を張って歩いていると、ふと、前方に見たことのある顔を見つけた。
……あいつらだ。
例の二人が、それぞれ男子の後輩を引き連れて、これみよがしに先輩面をして向かってきやがる。
向こうもこちらに気づいたようだ。
私は大人の余裕を見せるように、軽く手を上げて挨拶を交わす。
「案内? ちゃんと面倒を見てあげなさいよ」
「おう、勿論よ。――って、てめーもな。また近いうちに、三人でどこか飯でも行こうや」
「ええ。予定が決まったら連絡して。別の子に伝言を頼んでおいてね」
完璧な、洗練された都会の先輩としての受け答えだ。
そう満足感に浸っていた時、すれ違いざまに片方の奴が私の耳元に顔を寄せて、ボソリと囁いた。
「女みたいな言葉遣いして、キめーよ。笑」
てめー。言いやがったな。
今すぐその場で矛を引っ提げて叩きのめしてやりたかったが、後ろにはきらきらした目で私を見つめる後輩たちがいる。ここで本性を出すわけにはいかない。
私はこめかみに青筋を立てながら、限界までお淑やかな笑顔を作って見せた。
「――では、ご機嫌よう」
(死ね、クソ野郎が)
「さあ、行きましょうか」
心の中で一千回ほど幼馴染を呪い殺しながら、私は再び、完璧な先輩の笑顔に戻って歩き出した。




