親衛隊の日常19
後輩たちが、どんどん女子寮へと入ってきている。
もう彼女たちの前で、無様な姿を晒すわけにはいかない。やるぞ!
「よし、次! 構え! ――想定の型、六!」
「はっ!」
教官の号令に合わせ、一斉に矛を突き出す。
実戦を想定した素振りが、型ごとの番号に割り振られ、それを何度も愚直に繰り返していく。
「よし、次!」
どうだ。私は座学の計算こそ苦戦したけれど、武器術は得意なのだ。
……いや、最近は男子の奴らに体力面で敵わなくなってきているけれど、それでも技術では負けない。それに、最近は座学の成績も上がってきた。このままいけば、成人した時に「大学」へ進めるかもしれない。まだ二年間の半分である一年が過ぎたところだけれど、手応えはある。
「駄目だ! もう一度!」
教官の怒号が別の生徒に飛ぶ。
うん、今のは私から見ても駄目だな。ただ型をなぞっているだけで、刃の向こうに相手が見えていない。あくまで実戦のつもりで、命を奪りに行く気迫で振り回さなきゃ意味がないのに。
「止め! 貴様は後で補習だ。――おい、そこ!」
不意に、教官の鋭い視線が私を射抜いた。
「すまんが、もう一度型を見せてやれ。型、三。始め!」
え、私がお手本?
ふふん、仕方ないなぁ!
「はっ!」
うりゃ! えい! はっ、と!
どうだ! 完璧に決めてみせる。
「よし、見ろ貴様ら! 型を守るために振るのではない。相手を刺し貫く、殴り倒す、切り裂く! その強い『意志』を込めて動くのが大事なのだ。よし、戻れ。次!」
教官の言葉に、私は心の中で小さく頷きながら列に戻る。
教官も毎回同じことを教えてくれているのに、みんな武器術が下手くそだなぁ。……まあ、私がお手本になるくらいだから、鼻が高いけれどね!




