親衛隊の日常17
二年間におよぶ猛勉強と訓練のうち、半分の一年が過ぎようとしていた。
この時期になると、専門施設からは先輩たちが次々と旅立っていく。
優秀な成績を残した半数は士官学校である「大学」へ進学し、残りの半数は各地の部隊へと配属されてゆくのだ。
十三、四歳という若さであっても、ここで培った読み書きや算術の能力は、現場の荒くれ者たちの中で凄まじく重宝されるらしい。
たとえ隊長になれずとも、それなりの地位が約束されている――先輩がそう教えてくれた。
しかし、良い話ばかりではない。
「地方の部隊、特に国軍へ編入された奴らは、若さを理由にかなり理不尽な目に遭うらしいぞ」
夜、宿舎の片隅で先輩たちが声を潜めてそんな噂話をしていた。
どれだけ頭が良くても、成人になりたての十三、四歳と、二十を超えた大人の兵士とでは、現場での扱いが天と地ほど違うのだろう。
くだらない、と私は思った。
きっと、そんな文句を言う大人たちは、国に対する忠誠心が足りないのだ。
……けれど、彼らの気持ちも、ほんの少しだけ分かってしまう自分がいた。
故郷での大事な仕事を無理やり放り出され、衣食住が保証される程度のほぼ無給の扱いで、いつ死ぬかもわからない国境近くの最前線へ赴任させられるのだ。不満の一つも言いたくなるのかもしれない。
それでも。
今の自分たちがあるのは、紛れもなく国や王様のおかげではないか。
胸の奥に割り切れないモヤモヤとしたものを抱えながら、私は旅立っていく先輩方との、残り少ない大切な時間を過ごしていた。




