親衛隊の日常16
今日から三日間の野外講習だ!
なんと、今回は馬との訓練がある。
「うわぁ……お目目がつぶらで、めちゃくちゃ可愛いな……」
思わず口から漏れると、隣の奴から「何女の子ぶってんだよ」とからかい半分に声をかけられた。
馬鹿野郎。私は正真正銘の女の子だ。てめー、後で覚えていろよ。
「いきなり乗るなど到底無理だ。まずは手本を見せるので、乗り降りだけを出来るようにしろ。ここにいる馬たちは特に大人しく、賢い性質だ。優しく扱えば暴れることはない」
教官がひょいっと簡単そうに馬の背に跨ってみせる。
……え、そんなに簡単なの? でも、近くで見ると馬の背中って結構高いよね?
「よし、まずは2人1組になれ。乗る時はこうして、補助役の手を足掛かりにするんだ」
なるほど。
「おい、やるぞ。私からな」
相棒に手を組ませて足場にしてもらい、馬の横に立つ。
「お馬さん、よろしくね」
せーの、で踏み切った――のは良かったが。
「うお、あ、痛ててっ……!」
勢いをつけすぎて、勢い余って反対側に真っ逆さまに落ちてしまった。
痛む腰をさすりながら立ち上がると、相棒がニヤニヤと笑っている。
「おい、何笑ってんだよ。じゃあ次はてめーの番な。ほれ、いけ!」
「うあああっ!?」
案の定、そいつも派手に落っこちた。
「あはは! お前も落ちてんじゃん!」
一気に緊張がほぐれる。
「よし、次は私な。ほれ」
今度は慎重に踏み切ると、するりと馬の背に乗ることができた。
「おお……たけーな! なんか世界が変わるぜ」
視線の高さに感動していると、馬が少し身じろぎした。
「おお、悪い悪い、すぐ降りるからよ」
ひゃあ、乗るのも高ければ降りるのも一苦労だ。着地の衝撃に耐えながら、相棒に向き直る。
「よし、次! さあ行け、びびんな!」
しかし相棒は、乗ろうとしてはまた反対側に落ちている。
「馬鹿、びびってたら乗れるもんも乗れねぇだろ? ほれ、代われ。見とけよ」
私はもう一度、お手本を見せるように馬の背へと跳んだ。
「ほっ、と。な? 簡単だろ?」
ドヤ顔をする私に、相棒は面白くなさそうな顔をする。
「あー、別に自慢じゃねーよ。慎重なのは良いことだけどさ、もっとこう、思いっきりいかなきゃ。ほれ、頑張れ!」
泥だらけになりながら、私たちは何度も馬の背に挑み続けた。




