親衛隊の日常15
やっと座学の算術が終わり、小休止を挟んでから、待ちに待った運動の訓練が始まった。
見てろよ。さっきは慣れない教えのせいで少し手間取ったが、今度こそ私の出番だ。
何せ私は選ばれた人間。この30人の中でも、上位に君臨してやるぜ!
――そう息巻いていた、はずだった。
「……っ、は、……ぁっ、……なん、でだ……!」
呼吸が激しく乱れ、視界が歪む。
私は選ばれた、優秀な人間のはずなのに。
「おい、そこ! 走ることすらまともに出来んのか!? やる気がないなら見学してろ、邪魔だ!」
教官の容赦ない怒号が鼓膜を打つ。
「ひぅ、……や、やれます! お願いします、このまま、続けさせてください……!」
「なら、走れ!!」
「はいっ……!」
糞、糞、糞……!
私が、こんな後ろの方を走っているなんて。何かの間違いだ。
なんでだ? 私は優秀なはず、私は――
限界だった。
鉛のように重くなった脚が縺れ、視界がぐらりと回転する。
地面に叩きつけられる衝撃すら、まともに感じないほど意識が遠のいていく。
「おい、こいつを救護室へ連れていけ! 貴様らはその場で少し休憩だ!」
遠くで教官の声が聞こえる。
大の字に倒れた私の目に映ったのは、ただただ高くて広い、静かな青空だった。
ああ、空が青いな……。




