親衛隊の日常11
王都・朝歌の近郊にある広大な軍事都市。その一角に、私たち未成年の兵士見習いを教育し、鍛え上げてくれる専門の施設があった。
すぐ隣には、成人用の士官学校である『大学』という最高学府がそびえ立っている。
現在の制度では、成績優秀な者は成人した時にそのまま軍籍を置いたまま、危険な最前線へ配置されることなく大学へと進学できるらしい。
そこを卒業して現場に赴けば、なんと最初から『小隊長』以上の階級で任官されるのだという。
(――まずは、絶対にそこを目指すんだ!)
私は胸の中で静かに闘志を燃やした。
それにしても、この軍事都市内の施設は驚くほど至れり尽くせりだった。
なんと、私たち見習い兵の宿泊部屋はすべて『個室』。さらに、男子と女子で建物自体が完全に分かれていた。
日中の勉強や訓練は男女合同で行われるのだけれど、私が寝泊まりする女子寮の正門には、常に本物の女性兵士が鋭い目を光らせて常駐しており、完全な『男子禁制』となっていた。
私は少し不安になって、寮の案内をしてくれる先輩の女性兵士に尋ねてみた。
「あの……同じ施設から一緒に異動してきた、男の子の友達とはもう会えなくなっちゃうんですか?」
すると、その先輩兵士は、ふっと表情を和らげて私の頭を撫でてくれた。
「あら、可愛い見習いさん。大丈夫よ、男子寮や女子寮の敷地内は異性立ち入り禁止だけど、食堂や広間といった公開されている施設なら、いつでも自由に行き来していいのよ」
それを聞いて、心の底からホッとした。
国中から集まる天才たちのなかに、たった三人だけで放り込まれたのだ。もしあのアイツらとまで引き離されたら、この広い都市の中で話し相手すら見つけられなくなるところだった。
無事に自分の個室も決まったことだし、私は懐に手を当てた。
ここへ異動する記念として、国と小師様から個別にいただいた、あの本物の『貝貨』を使って買い物をしよう。
軍事都市というだけあって、敷地内には手頃な値段に抑えられた商店街のようなエリアも併設されている。
一旬(十日)後に控えた入学式までに、ここで新しい身の回りのものを一通り揃えるのだ。
十二歳。まだ子どもの私だけど、前を向く。
よし、そうと決まれば、さっそくアイツら二人を呼び出して、買い物へ誘いに行こう!




