親衛隊の日常10
そのため、職員さんや教官たちは、いつも以上にガチガチに緊張していた。
なぜなら、来賓としてお見えになるのが、あの王様の叔父上であり、国の最高幹部でもある小師の箕侯・胥様だからだ。
今日の主役は本来、成人となる先輩たちのはずなのだが、職員や教官たちの意識は、完全にその小師様へと向いていた。
役人を伴って現れた小師様は、とても穏やかな顔をされていた。
「君たち、今日の主役は成人となり、これより国に貢献する彼らだ。私はただ祝辞を述べにきただけの来訪者なのだから、あんまり畏まらないでくれ」
そう言って、緊張する職員や教官たちを優しく諭してくれた。
式が進み、壇上に立った小師様が祝辞を述べる。
「諸君、無さに成人を迎え、ここから巣立つことを心からお祝いする。おめでとう」
小師様は、国に貢献する限り、商の国は君たちを決して見捨てないと力強く語ってくれた。
「親なき君たちだが、決して悲観するな。国が、そして私たち商の指導者たちが、君たちの『親』であり『家族』なのだから」
その言葉に、胸が熱くなる。
その後、国からの成人祝いの品々と、小師様個人からのお祝いの品が先輩たち全員に手渡され、式典は一度解散となった。
――だが、私たち異動組の三人だけは、別途、小師様との個別面談が用意されていた。
胃が痛くなるほどの緊張のなか、私たちは必死に挨拶を交わした。
最高幹部である小師様は、私たちの目をじっと見つめ、静かにお言葉をくださった。
「君たちこそ、これからの商を背負って立つ存在になると、私は信じている。……いいかい、軍隊という場所は理不尽が横行し、時には何の意味があるのか分からないことまでやらされるだろう。だが、そこで言われたことをただ機械的に行うのではなく、『どういう意味があるのだろうか?』と、自分で考えるのを絶対に放棄しないでほしい」
小師様の目は、どこか哀愁を帯びていた。
「もちろん、無茶な命令であっても、自分が間違いだと思っても、反抗することは許されない。だが、思考することは別だ。どうか、自分で考えることだけは止めないでくれたまえ」
――命令には絶対に逆らえなくても、頭の中で考え続けることが大事だ。
小師様は私たち三人に、その重い言葉を深く刻みつけるように伝えた。
その後、国からの祝い品と、小師様個人からの貴重なお祝いの品を直接いただき、私たちは解散となった。
異動の辞令を受け、あと十日もすれば、国中から選ばれた未成年が集まる、兵士専門の育成施設へと移ることになる。
胸の奥が、少しだけ緊張で震える。
自分が、あの国中から集まる化け物じみた優秀な奴らに通用するのだろうか。
絶対に、遅れを取るわけにはいかない――。




