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無愛想禁止令を出された男の末路

最近は暖かくなってきましたね。

無愛想禁止令を出された男の末路

「ねぇ、なぎと」


「なんだよ」


「……なんでもない……」


「は?」


 なぎとは一瞬顔をしかめると、顔逸らし少し考えたような顔をする。


「なぁ……」


「何?」


「俺が……風邪の時……歌……」


「……?」


「だから……俺が風邪……引いてた時の……歌ってくれてたじゃん……」


「……。……!? あ、あれは……違くて……! なぎとがしんどそうだったから……歌ったって言うか……!」


「も、もう一回……歌ってくれねぇか……?」


「……え?」


「だから! もう一回……歌ってくれる……?」


「……!?!? え……。で、でも……恥ずかしいし……」


「お願い……。……本当に……聞きたい……」


 なぎとが手を合わせて言ってきた。


「わ、わかった……。でも、一つ条件があります」


「何?」


「今日一日無愛想な喋り方をやめる! もちろん私の前じゃなくても!」


「……は、は!? 絶対無理! そんなん……お前……」


 なぎとは叫ぶ。


「じゃあ、歌ってあげられないな〜」


「っ……。……あー、もう! 分かったよ! 無愛想じゃなかったらいいんだろ! 無愛想じゃ……なかったら……」


 なぎとは少し顔を赤くして言う。


「じゃあ交渉成立だね! じ、じゃあ……歌うよ……?」


「う、うん……」


 せなは小さく息を吸い、

なぎとの方を見ずに、

そっと口を開いた。


 ――声にならないほど小さな、

 やわらかいメロディが流れ始める。


息が混じるような、

震えるような、

優しい音。


なぎとのためだけに紡がれる、

短い子守唄みたいな旋律。


高くも低くもない、

せなの素の声。


部屋の空気がふっと静かになり、

そのメロディだけが

二人の間に落ちていく。


歌い終わると、

せなは顔を覆った。


「無理……やっば無理……」


 なぎとは真っ赤になりながら小さく呟いた。


「……やっぱ……お前の声好きだわ……」


「っ……! 変な事言わないで……!」


 せなは崩れながらもなぎとを指差す。


「約束は守ってもらうからね!」


「わ、わかってる!」


「じゃあ、なぎとの無愛想じゃないチャレンジ、スタート!」


 せなはさっきまで崩れていたのかが嘘のようになぎとに話しかける。


「ねぇ、なぎと」


「な、なに……?」


 せなは額に手を当てる。


「い、今更だけどさ……本当に熱ない?」


「ちょ……近い……!」


 なぎとはせなの手を振り払い、部屋を出ていく。


「あ、待って……! って行っちゃったか……」


 せなはため息をついて、すぐに部屋を出てなぎとを探し、こっそり追尾するのであった。


「くそ……せな……可愛すぎる……」

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