甘さの現場を全体共有しないでください
甘さの現場を全体共有するな
なぎとの「……守るだろ……せな……困ってんだから……」
という甘すぎる一言で、
部屋中が三度爆発した直後だった。
――ピコンッ。
部屋にいる四人だけじゃない。
家中のスマホが同時に鳴った。
しゅい、ひばり、なぎと、せな。
そして――
あおば、みおと、たゆ、らお。
全員のスマホが震えた。
「……え?」
「……通知……?」
「……なんだ……?」
四人は同時にスマホを取り出す。
そして画面を見た瞬間――
「「「「………………は?」」」」
全員のグループチャット《メンバー全体》に、
みのが送った“あの写真”が並んでいた。
連写20枚+動画3本。
タイトル:『今日の現場(保存推奨)』
せなは床に崩れ落ち、
なぎとは魂が抜け、
しゅいとひばりは顔を真っ赤にして固まった。
その頃――
家の別の部屋では。
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あおば(ベッドで寝ようとしてた)
「……は?
なぎと……お前……
なにしてんの……?」
でも口元はニヤけていた。
「……せな、可愛いな……。……じゃなくて……!」
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みおと(机で絵を描いていた)
「……え、ちょ……
これ……
え、え、え……?」
顔が真っ赤になり、
スマホを落としそうになる。
「なぎと……
お前……
やるじゃん……」
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たゆと(イヤホンで音楽聴いてた)
「……おぉ……
これは……
事件だな……」
にやりと笑う。
「みの、ナイスすぎ笑笑笑笑」
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らお(ゲーム中)
「……え?
なにこれ……
え、なぎと……
死ぬ気か……?」
でも笑いが止まらない。
「いや……
これは……
保存するわ……」
――その時、なぎとの部屋では。
「みのぉぉぉぉぉ!!!!!!」
しゅいが絶叫。
「なんで全員に送ったんだよ!!!!」
「全員って……
あおばも……
みおとも……
たゆとも……
らおも……!?」
ひばりが震える。
「やめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
せなは床に崩れ落ちる。
「………………死ぬ」
なぎとは魂が抜けていた。
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ドアがゆっくり開き、
みのが現れた。
スマホを片手に、
にっこり笑って。
「みなさん、届きましたか?」
「届いたわ!!!!!!」
しゅいが叫ぶ。
「なんで送ったんだよ!!!!」
「だって……
せなさんがあまりにも可愛かったので……
共有は義務かなって思って♪」
「義務じゃねぇぇぇぇ!!!!」
ひばりは顔を覆って震えている。
「み、みのさん……
これは……やばすぎます……」
「みのぉぉぉ!!
なんで送ったの!?
なんでぇぇ!!?」
せなは泣きそう。
「……俺……
もう……
終わった……」
なぎとは床に倒れ込む。
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「あ、ちなみに……」
みのはスマホを操作しながら言った。
「今、あおばさんから“草”って返事きました」
「草じゃねぇぇぇぇ!!!!」
「みおとさんは“尊い”って言ってました」
「尊いじゃねぇぇぇぇ!!!!」
「たゆとさんは“保存した”って」
「保存すんなぁぁ!!!!」
「らおさんは“続報待ってる”と」
「続報ねぇよ!!!!!!」




