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なぎとが甘えると、全員混乱します

なぎとが甘えると全員混乱します

部屋中が爆発したあとも、

 しゅいとひばりは固まったまま、

 なぎととせなを交互に見ていた。


 空気が重い。

 いや、重すぎる。


 せなは真っ赤になりながら、

 膝の上のなぎとをどうしていいか分からず固まっていた。


(ど、どうしよう……

 なんか……

 とんでもないことになってる……)


---


「……せなさん」


 ひばりが、震える声で言った。


「こちらへ」


「えっ……」


「こちらへ」


 ひばりはせなの手首をそっと掴み、

 なぎとから引き離そうとする。


 だが――


「……やだ」


 なぎとが、せなの手を掴んだ。


「っ……!」


 ひばりの目が見開かれる。


「なぎとさん……

 手を……離してください……」


「やだ」


「やだじゃない!!!!」


 しゅいが叫ぶ。


「お前……

 なんでそんな……

 素直に甘えてんだよ……!」


「……熱……あるから……」


「関係ねぇよ!!!!」


 しゅいは頭を抱えた。


---


「せなさん……」

 

 ひばりが震える声で言う。


「……どういう……関係なんですか……?」


「か、関係って……!」


「膝枕して……

 歌ってあげて……

 そんな顔で……

 そんな距離で……」


 ひばりの声はどんどん小さくなる。


「……僕……

 聞いたことないです……

 そんな……せなさん……」


 しゅいも続ける。


「俺だって……

 そんな声……

 聞いたことねぇよ……」


 二人の声は震えていた。


 嫉妬と、

 照れと、

 ショックと、

 悔しさが混ざっている。


 せなは胸が痛くなった。


(……そんな……

 二人とも……

 そんな顔しないでよ……)


「ち、違うの……!」

 

 せなは必死に言った。


「そんなつもりじゃなくて……

 なぎとが……その……

 寝てて……

 苦しそうで……

 だから……」


「だから歌ったんですか……?」

 

 ひばりが問う。


「う、うん……」


「なんで……

 僕の前では歌ってくれないんですか……?」


「っ……!」


 ひばりの声は震えていた。


 しゅいも続ける。


「俺だって……

 聞きたいのに……

 なんで……

 なぎとには……」


 二人の視線が、

 せなに突き刺さる。


 せなは言葉を失った。


(……そんなつもりじゃ……

 本当に……)


---


 その時。


「……お前ら……」


 なぎとが低い声で言った。


「……せな……責めんなよ……」


 しゅいとひばりが同時に振り向く。


「なぎと……?」


「……俺が……

 聞きたいって言ったんだよ……」


「それは聞いた!!」

 

 しゅいが叫ぶ。


「でもな!!

 せなが歌うのはお前だけってのが問題なんだよ!!」


「……違う……」


 なぎとはゆっくり首を振った。


「……せな……

 俺のために歌ったんじゃねぇよ……」


「え……?」


「……苦しそうな俺見て……

 勝手に……声出してただけだろ……」


「っ……!」


 せなは胸が熱くなった。


「……それ聞いて……

 俺が……

 もっと聞きたいって言っただけ……」


 なぎとは続ける。


「……せなは悪くねぇ……

 俺が……

 甘えただけ……」


 ひばりの目が揺れた。


「……なぎとさん……

 そんな……

 優しい言い方……」


「優しくねぇよ……

 事実言ってるだけ……」


 しゅいは唇を噛んだ。


「……お前……

 せなのこと……

 好きなんだろ……?」


 なぎとは一瞬だけ黙った。


 そして――


「……好きだよ」


「っっっ!!!!!!」


 部屋中が爆発した。


---


「なぎとぉぉぉぉ!!!!」

 

しゅいが叫んだ。


「お前今!!

 好きって言ったよな!!

 言ったよな!!?」


「……言ってねぇし」


「言っただろ!!!」


「言ってねぇ……よ……!!

 ……言うつもりじゃなかったし……

 ……熱で……口滑っただけだし……。

 本当に……違うし……」


「滑るな!!!!」


 ひばりは顔を真っ赤にして、

 手で口元を押さえた。


「……なぎとさん……

 そんな……言葉……

 急に……言わないでください……

 心臓に悪い……」


 なぎとが動揺する。


 しゅいも顔を覆って叫ぶ。


「お前!!

 そんな大事なことを!!

 熱のせいで言うな!!

 こっちの心臓が死ぬわ!!」


 せなは真っ赤になって叫んだ。


「ち、違う!!

 違うから!!

 なぎとが勝手に……!」


 なぎとはすぐに否定した。


「……違ぇよ……

 勝手にって言うか……言うつもりじゃなかっただけだよ……。い いや……言うつもりじゃなかったじゃなくて……本当は思ってない、いや……思ってるって言うか……。

 とりあえず……せな困ってんの見て……

 なんか……口が勝手に……」


 ひばりがさらに動揺する。


「そ、それはそれで……

 余計に……ややこしいです……!」


 しゅいも叫ぶ。


「そうだよ!!

 “本気じゃない”って言うなら言うで!!

 もっと言い方あるだろ!!

 なんでそんな……

 せな守るみたいな言い方すんだよ!!」


 なぎとがポツリと言う。


「……守るだろ……

 せな……困ってんだから……」


「なぎとぉぉぉぉぉ!!!!!!」


 (こいつ……! 告白じゃないのに告白より甘い事言うなよ!!! 本当、せな取られちゃう……。やばい、急がないとせなが取られるのも時間の内だ……。)

 

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