照れてないって言い張る奴ほど照れてる説
照れてないって言い張るやつほど照れてる説
夜道を歩きながら、せなは背中に残るあおばの体温を振り払うように、わざと早歩きしていた。
(……なんで……
なんであんなことしたのよ……
ほっぺにキスなんて……
あいつ、絶対調子乗ってる……)
でも胸の奥はずっと熱いまま。
そんな時だった。
「……ん……」
背中で、あおばが小さく動いた。
「えっ、起きた!?」
「……ここ……どこ……?」
あおばはぼんやりした声で言い、そして自分の状況に気づいた。
「……え……ちょ……待って……
なんで俺……せなに……おんぶされてんの……!?」
あおばは一瞬で飛び降りた。
着地した瞬間、顔が真っ赤。
「な、なんで!? なんでおんぶ!?」
「気絶したからでしょ。置いて帰るわけにいかないじゃん」
せなはあくまで平然と返す。
声も表情もいつも通り。
でも心臓はうるさい。
(……落ち着け……
絶対に顔に出すな……)
「……てかさ」
「なに?」
「さっき……
せな……照れてたよな?」
「は?」
せなは眉をひそめた。
表情は完璧に“いつものせな”。
「照れるわけないじゃん」
「ほ、ほんとに……?
だって……顔……赤かった……よ……?」
あおばは自分の頬を押さえながら、
真っ赤な顔で、でも勇気を振り絞って言った。
「俺……見たよ……?
せなの……照れてる顔……」
「気のせい」
せなはそっけなく言う。
でも心臓は跳ねていた。
(やめて……
その話題……
ほんとに無理……)
「せな」
「なに」
「照れてたよね?」
「照れてないってば」
「ほ、ほんとに……?」
あおばは一歩近づく。
顔は真っ赤。
でも攻める。
「だって……
絶対……ほっぺ……赤かった……し……」
「赤くない」
「赤かった……よ……?」
「赤くないって」
「じゃあ……見せて……?」
「やだ」
「ほら……やっぱ赤いんじゃん……」
「違うってば」
せなは強気を貫く。
でも耳の先だけ、ほんの少し赤い。
あおばはそれを見逃さなかった。
「……さっきのキス……
そんなに効いた……?」
「は?」
せなは完全に無表情で返す。
「効くわけないじゃん。
ほっぺだよ? 子供かっての」
「ほ、ほんとに……?」
あおばはさらに顔を赤くしながら、
でも勇気を振り絞って言う。
「だって……
せな……
いつもなら絶対照れないのに……
今日だけ……変だった……」
「変じゃない」
「変だった」
「変じゃない」
「変だったって!」
あおばは珍しく強く言った。
でも顔は真っ赤。
「……あおばこそ……
なんでそんなに照れてんの?」
「そ、それは……
……キス……したから……だろ……!」
「自分で言って照れてんじゃん」
「う、うるさい!!」
あおばは耳まで真っ赤。
「でも……
せなが……
俺のキスで……
ちょっとでも……
意識してくれたなら……
……俺……嬉しい……」
「っ……!」
せなは一瞬だけ固まった。
(やば……
なんでそんな……
素直なこと言うの……)
「せな」
「もう、なに……!?」
「ほんとに……
照れてなかった……?」
「……」
せなは黙った。
あおばは一歩近づく。
顔は真っ赤。
声も震えてる。
「ほんとに……?
ほんとに……照れてなかった……?」
「……」
せなは唇を噛んだ。
(無理……
これ以上……
強気でいられない……)
「あの時……
せな……なんていうか……その……
すっごく……か、かわ……可愛かった……」
「っっ……!!」
せなは顔を覆った。
「……せな……?」
あおばが覗き込む。
「……ほんとに……ほんとのほんとの本当に……照れてなかった……?」
「…………」
せなは顔を上げた。
真っ赤だった。
「も、もう!!
言えば良いんでしょ!!」
あおばがビクッとする。
「照れたよ!!
照れた!!
私の負け!!」
「っ……!!」
あおばの顔も一瞬で真っ赤。
「え、本当に言ってる……?」
「知らない!!」
せなは叫んで、
そのまま家の方向へ走り出した。
「ちょ、せな!?
待って!!」
あおばはその場で膝に手をつき、
真っ赤な顔で崩れ落ちた。
「……可愛すぎる……」
この後、しばらくみのが登場しないかも。




