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膝枕プロを名乗るには、赤面が多すぎる

無理

膝枕プロを名乗るには、赤面が多すぎる

 せなが目を覚ました時、最初に見えたのは、青い光に縁取られたなぎとの横顔だった。

水族館の天井を泳ぐ魚たちの影が、ゆらゆらと二人の間を横切っていく。


「ん……?」


 せなはぼんやり瞬きをし、視界がはっきりしてくる。


「なぎと……?」


「……」


 なぎとは固まったまま、まるで呼吸すら忘れたように動かない。

耳だけが真っ赤で、青い光の中でやけに目立っていた。


「?」


 せなは目をこすりながら、周りを見渡す。

大きな窓から海が見え、光が静かに差し込んでいる。

どう見ても休憩スペースだ。


「あの……私今どこにいますか?」


「……」


「あれ? なぎとー?」


 何度呼んでも返事がない。

なぎとはただ固まっている。


「もー!」


 せなはぷくっと頬を膨らませて起き上がる。

その瞬間、太ももに残る温度に気づいた。


「……あ、あの……私がさっきいた場所って……もしかして……」


「……なぎとの膝……だね……」


 しゅいが淡々と、しかしどこか楽しそうに言う。


「……べ、別に、床に寝かすのが嫌だったからで……

 他に理由とか……何もないから……」


 なぎとは目をそらしながら、声だけ無愛想に返す。

でも耳はさらに赤くなっていた。


「あ、うん。もう、膝枕慣れたから。照れとかないから」


「……は?」


「いや、膝枕に慣れたとかある?笑」


 しゅいが爆笑する。


「なんかよく膝枕とかされすぎて膝枕疲れた」


「あ、ちょっと分かるかも。おれはしすぎてだけど」

 

「え、待って……? 照れてるの俺だけ?」


 なぎとが二人を見る。


「「そうだよ」」


 二人は同時に返す。

なぎとは絶望したように天井を見上げた。


「マジで言ってんのかよ……。

 ……じゃあ、二人で膝枕してみろよー」


「え? な、なんで?」


 せなが慌てて声を上げる。


「照れないんだろ? 証明だよ証明」


 なぎとはニヤリと笑う。

青い光がその表情を照らし、少し意地悪に見えた。


「できるんだよな?」


「っ……あ、当たり前だろ!」


 しゅいは焦りながらも受けてしまった。


「じ、じゃあ私の膝の上乗って……」


「あ、うん……」


 しゅいはせなの膝の上に頭をそっと置く。

せなの膝は柔らかくて温かい。

水族館の静けさと相まって、眠気が襲ってくる。


(やば……近……

 心臓……死ぬ……)


 しゅいは目をそらし、耳まで真っ赤。

せなも同じように顔を赤らめていた。


「あの……なぎと……様……。ごめんなさい……嘘です……」


 しゅいは情けない声で謝る。


「わ、私も……やっぱり無理です……ごめんなさい……!」


 せなも目をそらしながら謝った。


「やっぱりな」


 なぎとは“自分だけじゃなかった”という安堵の顔で立ち上がり、

そのまま水族館の出口へ向かって歩き出した。


「……え、もう出るの!?!?」


「ちょ、なぎとストップ!」


 二人が慌てて追いかけると、なぎとはなぜか走り出した。


「ちょ、待ってー!」


 せなが全速力で走り、なぎとの袖を掴む。

だが、それだけでは止まらない。


(どうにかして止めないと……!)


 せなは一瞬で作戦を思いついた。

恥ずかしいけど、これなら――。


「待って!」


 せなは勢いよく、なぎとに抱きついた。


「っ……!?!?」


 なぎとは急ブレーキし、

青い光の中で顔を真っ赤に染めた。


「待ってって言ってるのに……なんで待ってくれないの……?

 ひどいよ……」


 せなは涙目を作り、胸にすり寄る。


「ご、ごめん……。

 鬼ごっこ気分みたいな感じでやってたんだけど……

 悲しい……思い……させちゃって……」


 なぎとは目を逸らし、

いつもの無愛想とは違う、弱い声で謝った。


「あの……はなしてくれない……? 恥ずいから……」


 なぎとが離れようとすると、

せなは今度は手をぎゅっと握って引き止めた。


「ダメ〜!

 なぎとお兄ちゃん、私の事置いていったから離さない!

 もし許して欲しければ……ほら、一緒に行こ?」


 せなは上目遣いで見上げる。


「っ……!

 可愛すぎ……幼稚園児じゃないだろ……

 気絶させる気かよ……」


 なぎとは顔を真っ赤にしてぶつぶつ呟き、

やがてせなの方を見て、手を差し出した。


「ほら、早くこいよ……」


「やたー!」


 せなは幼稚園児になりきって、

その手をぎゅっと握った。


「お、おま……! 手は繋ぐなよ……!」


「いいの!」


 せなはにっこり笑う。

でも心の中では、

幼稚園児のふりも、手を繋ぐのも恥ずかしすぎて倒れそうだった。


「俺、脇役ですか……?」


 しゅいは少し離れた場所から、

二人の背中を見つめながらため息をついた。

青い光がその横顔にも落ち、

照れ小悪魔の表情をそっと隠していた。

 

最近あおばとみのが書けてません。ごめんなさい

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