なぎとの半歩後退、しゅいの半歩前進
なぎとの半歩後退、しゅいの半歩前身
「してねぇって言ってんだろ!!」
なぎとが真っ赤になって怒鳴ったあと、
ふっと視線をそらした。
そのまま、
せなから半歩、
いや一歩……
気づかれない程度に距離を取る。
(……え?)
せなは胸がきゅっとなる。
なぎとは腕を組み、
壁にもたれるようにして視線を落とした。
怒っているというより、
触れられたくない何かを必死に隠している
そんな背中だった。
「……もう勝手にしろよ」
小さく、誰にも聞こえないような声で。
でもせなには聞こえた。
(なぎと……拗ねてる……?
なんで……?)
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なぎとが距離を取った瞬間、
しゅいがそっとせなの横に立った。
ほんの少しだけ、
肩が触れそうな距離。
「……大丈夫か?」
さっきまで真っ赤だった顔は、
まだ火照りが残っている。
声も少し震えている。
「ち、違うって言われて……
いや、別に……
気にしてねぇけど……」
気にしてる。
めちゃくちゃ気にしてる。
せなは心臓が跳ねる。
(近い……!
なんでこんな近いの……!)
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「お〜い、なぎと〜?」
みおとがにやにやしながら言う。
「距離取ったら、
しゅいがすぐ埋めてきたぞ〜?」
「……は?」
なぎとが顔を上げる。
「ほら見てみ?」
あおばが指さす。
しゅいとせなは、
さっきより明らかに近い。
なぎとの眉がぴくっと動いた。
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「……別に……
近づきてぇなら……
勝手にすれば……?」
声は低い。
でも震えている。
「なぎと、顔赤いよ〜?」
みおとが笑う。
「赤くねぇ!!」
なぎとが即答する。
「じゃあなんでそっぽ向いてんの?」
あおばが追撃。
「向いてねぇ!!」
向いてる。
完全に向いてる。
せなは胸がぎゅっとなる。
(なぎと……
なんでそんなに……)
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「……せな」
しゅいが小さく呼ぶ。
「さっきの……
“しゅ”って……
ほんとに俺じゃないのか?」
顔は真っ赤。
声は震えている。
でも、
目だけは真剣だった。
せなは息を呑む。
(そんな顔で聞かないで……
ほんとに言っちゃいそう……)
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「お〜い、これ……
どっちが本命なんだ……?」
「しゅい……押してる……」
「なぎと……拗ねてる……」
「せな、モテ期だねぇ」
あおば(知ってる顔)




