しゅいの押しと、なぎとの割り込み
しゅいの押しと、なぎとの割り込み
「せな、モテ期だねぇ」
あおばの軽口が落ちた瞬間だった。
しゅいが、
ふっと息を吸い込むようにして、
せなの手首をそっと掴んだ。
「え……?」
気づいた時には、
せなはしゅいの胸の中にいた。
ぎゅっ。
強くじゃない。
でも、逃がさない抱きしめ方。
「しゅ、しゅい……!?」
しゅいの顔は、
耳まで真っ赤だった。
震えているのは声だけじゃない。
腕も、胸も、全部。
「……なぁ、せな」
耳元で、かすれた声。
「“しゅ”って……
本当に……俺じゃなかった……?」
せなは息が止まる。
(近い……!
声が……震えてる……!
なんでこんな……!)
「そ、それは……!」
言葉が喉でつまる。
心臓が暴れて、
頭が真っ白になる。
しゅいは、
せなの肩に額を寄せたまま、
小さく続けた。
「……違うって言われて……
なんか……変になった……」
その声は、
いつものしゅいじゃない。
強がりも、余裕もない。
ただの、ひとりの男の子の声。
「……俺じゃなかったら……
やだ……とか……思ってねぇけど……」
思ってる。
絶対思ってる。
せなは震える声で言う。
「しゅ、しゅい……
ち、違うっていうか……
その……!」
(言えない……!
でも……言いかけてる……!)
しゅいの腕が、
ほんの少しだけ強くなる。
「……せな」
呼ばれた名前が、
やけに甘くて、苦しい。
せなはもう限界だった。
「そ、それは……!」
---その時。
「……離れろ」
低い声が落ちた。
空気が一瞬で変わる。
しゅいが顔を上げると、
すぐ目の前に、
なぎとが立っていた。
さっきまで壁にもたれていたはずなのに。
距離はゼロ。
目は怒っているようで、
でもどこか必死。
「な、なぎと……?」
せなは驚いて目を見開く。
なぎとは、
しゅいの腕を掴むでもなく、
せなを引っ張るでもなく、
ただ、
しゅいとせなの間に
体ごと割り込んだ。
「……近すぎんだよ」
その声は震えていた。
怒りじゃない。
嫉妬でもない。
もっと、
どうしようもない焦りの音。
しゅいが眉をひそめる。
「……なんだよ、なぎと」
「なんでもねぇよ」
「じゃあどけよ」
「どかねぇよ」
二人の視線がぶつかる。
せなは胸がぎゅっとなる。
(なぎと……
なんでそんな……
必死な顔……)
---
「お〜い……
これ……修羅場……?」
みおと
「なぎと……完全に割り込んだ……」
たゆと
「しゅいも引かないねぇ」
あおば(ニヤニヤ)
「せなちゃん……大変だね……」
らお




