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6歳12月(25)

6歳12月(25)


「私、お兄ちゃんたちを手伝ってくる!ビノも手伝って!」


「なんだよ嫌だよ、な・『()()()()!!』


ギンシャリから飛び降り、ビノの文句をさえぎって強引に引きずり降ろすと、その手を引っ張って走り出す。


見つけた!リルカ探検隊!


まさに村人を集めて説明を始めるところだったようで、一段高くなった壇上に5人のお兄ちゃんたちが集まっている


「おおっ!リルカ!この大逆転チャンスで最後の望みが出てきたぞ!」


「アディルにいさん!みんな!私が歌うわ。手伝って。ビノも一緒に。」


私はキャッサバの毒を抜く方法を聞こうと集まっていた村人たちの前へ躍り出ると、

身体全体で大きく弾むようにリズムを取って歌いだす。


「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪ キャッサバ♪サバンナ♪」


戸惑いながらもだんだんと歌のリズムに乗って身体が揺れてくる村人たち。


「さあ!一緒に♪ キャッサバ♪サバンナ♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


村人のそれぞれに好きな動きで身体を動かしながらノッテくる。

リルカ探検隊のお兄ちゃんたちは待ってましたとばかりに声を上げ、ビノはそれを見ながら恐る恐るへっぴり腰で踊る。

その6人が自由に踊りながらキャッサバ♪サバンナ♪と村人を盛り上げ続けている。

熱い舞台を中心に、村人にも熱狂が広がっていく。

足を踏み鳴らして頭を振る男性、身体をくねらせながら手拍子をする女性、胸に手を当てて魂を声にのせるお婆ちゃん。


さあ!ショータイムよ!


「キャッサバ貯金の歌!はーじまーるよー♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「キャッサバちょ・き・ん♪貯めて安心♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「茎を土に刺すだけ♪あとはほったらかしでも♪スクスク育つ♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「水が無くても♪暑くても寒くても♪スクスク育つ♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「キャッサバ抜いたら♪地下にゴロゴロお芋さん♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「食べる分だけ取ったら♪戻しておけばまた増えちゃう♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「キャッサバちょ・き・ん♪貯めて安心♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「でもキャッサバ♪こわーい毒がある♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「生でかじると死んじゃう♪皮と芯は絶対捨てて♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「小さく切ったりすり潰したり♪そして水に漬けるとバッチリ毒抜き♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「毒抜きすれば美味しい♪ホクホク美味しい♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「キャッサバちょ・き・ん♪貯めて安心♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「キャッサバ毒抜き♪皮芯捨てて水にさらせ♪」


「「「キャッサバ♪サバンナ♪ キャッサバ♪スクスク♪」」」


「みんなでキャッサバ貯金しよ~♪」


「「「キャッサバ~!!」」」


村人のみんなと一緒にやり切った感が溢れ出す。

手を挙げる村人たちの間をハイタッチして駆け抜ける。


そう、キャッサバは備えなのだ。

キャッサバを植えてそのまま全部食べず、貯金の様に放置しておけば腐らず増えていくし、いつでも食べられる。

蓄えがちゃんとあれば、いざというときでもネズミを食べなくても良いのだ。

キャッサバ貯金と名付けて、毒抜きと一緒に蓄えの重要さも、みんなに広めよう!



「セン!ポーインツッ!」



お母様のポイントが響き渡る。

勝った!これで幼年兵部隊の優勝よ!

お母様に1つだけ自由に願い事ができる権利もゲット!

みんなで飛び上がって喜びあう。


「願い事、何にする!?」


「当然、一年間毎日ご馳走だすよ!」


「牛の世話の仕事を免除っていうのも良いのである!」


フマはご馳走、カイサはサボり。分かりやすい願い事だわ。


「肉だって!肉肉!肉の食べ放題に決まってるぜ!」


オニカの肉コールに、デデはニコニコと頷いている。可愛い。


「いや、ここは地方へのキャッサバ普及のためにキャラバン隊の設立をお願いするべきではないだろうか。」


アディルは真面目かっ!

私は甘い物食べ放題がいいな。

みゃはは!何でも1つお願い事。楽しみだわ!


◆◆◆


最初に開会のあいさつを聞いた広場。

夕日を背景にして1万人の黒い大軍団広がる。

私はビノと共にギンシャリの上へ戻り、丘の上で結果発表を待つ。


「ポイント集計発表~!」


ギョロ髭の空気を震わせるような大声での宣言と共に、周囲に待機していた太鼓部隊がドドドドドと太鼓を打ち鳴らして期待を盛り上げる。

太鼓の音に焦れてきたころ、その音がピタッと止まり、ギョロ髭が口を開く。


いよいよ!丘の上にいる私が代表して勝利の声を上げなきゃ。

固く握った右手を挙げて歓声に応える準備は万端よ!



「第1位!歩兵部隊~!1146ポーインツッ!」


ええぇ!?

私たち幼年兵部隊が1位じゃないの!?

1万人もの近衛軍から爆発するかのように歓声が轟く。


あ、この高々と挙げた右手、どうしよう!

えと、私が歩兵部隊の歓声に応えるのもおかしいし、やり場に困る。

歩兵部隊大隊長“歌のアレク”が両手を広げて歓声に応えている。


それを横目にそーっとそーっと右手を引っ込めて、身体を縮こまらせるように俯く。

うわ、うわわ、いやー!いやー!超恥ずかしい!

穴があったら飛び込んで隠れたい。

例えそこが肥溜めだったとしても今の私なら飛びこめる。


「第2位!幼年兵部隊~!1131ポーインツッ!」


2位に私たち幼年兵部隊が読み上げられて、また歓声が上がる。

何で私たちが2位なの?何が起きたのよ!?


「村長から600ポイント近くゲット♪圧倒的じゃないか我が歩兵部隊♪ア・ア・ア~♪」


アレクが両手を広げて勝利の歌を空へと捧げている。

村長……村長ポイント!

村長ポイントはたかが1ポイントだけど、村々は1000もある!

そんなことも忘れて勝った気になっていたなんて悔し恥ずかしい!


そんな私が悶え苦しんでいる間に、ギョロ髭からポイントの内訳が説明される。


1位 歩兵部隊550ポイント+596村長ポイント=1146ポイント

2位 幼年兵部隊1110ポイント+21村長ポイント=1131ポイント

3位 補給部隊380ポイント+274村長ポイント=654ポイント

4位 奴隷部隊360ポイント+62村長ポイント=422ポイント

5位 大弓部隊320ポイント+59村長ポイント=379ポイント

6位 工作部隊310ポイント+55村長ポイント=365ポイント

7位 突撃部隊250ポイント+42村長ポイント=292ポイント


たった15ポイントの差で逆転されてしまったことに驚愕と後悔が押し寄せてくる。


幼年兵部隊が村長ポイントをあと少し貰えていたら逆転されなかったかもしれない。

私がもう少しポイントを多く出していたら結果が変わったかもしれない。

確かにお母様の気まぐれ1000ポイントに対して、村長ポイントは1人1ポイントしかない。

それでも村長ポイントも重要だった。歩兵部隊が各地の村人から本当に感謝された結果だわ。


各部隊長が和やかに互いの仕事を称え合っている。

私は俯きながらも悔しい顔が出てしまっていたのかもしれない。


「惜しかったのう、リルカ姫。でも素晴らしい歌ぢゃった。良い仕事ぢゃ。どうぢゃ、仕事は楽しいぢゃろ?」


ニコニコと笑ったキノコ爺も私を慰めてくれる。

あまりの恥ずかしさに俯いていた私も少し顔を上げて頷く。

きっと私の顔は真っ赤になっているのだろう。


そんな私たちの様子を困惑顔で見ていたビノがキノコ爺に食ってかかる。


「やい!ヘンテコリン頭のジジイ!なんで仕事が楽しいんだ?仕事は辛いものだろ?苦しいものだろ?なんでおまえらは仕事なのにこんなにふざけて楽しそうにしているんだよ!?」


「ほう、ふざけているつもりはないのぢゃ。真面目に一生懸命楽しんでいるがのう。」


キノコ爺は顎に手を当てて優しく微笑む。

でもその髪型は私もふざけていると思うわよ。

まるきり矢印だもの。上向きの。しかも横から見たら平たいってどうなっているのよ。


でもキノコ爺はいつでも真面目で一生懸命なのよね。

ビノにもそれが分かると良いのだけど。

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