6歳の11月(15)
【警告】今回は最高にハードなウン●話のため。
【警告】食事中の方は絶対に今読まず、後ほどお読みください。
【警告】厳しい方は読み飛ばしてください。
6歳の11月(15)
「そいつはあっしへの挑戦ってことですかい! やらせていただきやすぜ!」
「あ、ああ! そいつはここらの村で一番の変態だべ! オラもう知らねえだ!」
さっきまでのおっちゃんが怯えるほどの変態ですって!?
もう私の精神は削りに削られて僅かしか残っていないのに!
「エスコートは要らないぜ!」
帽子男はレンジャーが連行する間もなくひらりとステージに登り、机の前に座るとどこから出したかボロボロの布をテーブルナプキンのように首に巻く。
「さあ、最高の料理を戴きやすぜ!」
帽子男は気持ち悪いしぐさで親指を立てると、お母様にウインクをする。
変態な上にウザさがまた尋常じゃないわ。私の精神がガリガリと削られていく。
もうやめて! すでに私の精神はゼロよ!
横から見るお母様の顔には青筋が立って細かく震えている。明らかに怒っているわ。
お母様の合図に従ってレンジャーが用意をする。
帽子男の前には料理のお皿と、例の凶悪なブツが乗ったお皿が並ぶ。
信じられないことに帽子男はその場で深呼吸をしだした。
「ふー! 危険な芳香だぜ!」
帽子男は首を二、三度横に振ると、さらにとんでもないことに自ら例の凶悪なブツに顔を近づける。
「固いのが途中からゆるゆるになってやがる。鼻がひん曲がりそうにヤヴェ一品だ。こいつは将軍の……ですよね?」
「あ、あなた! レディーにそんな事を聞くなんて失礼よ!」
お母様は顔を赤らめてそっぽを向く。
「へへっ! その反応、最高のご馳走ですぜ。」
嬉しそうな顔の帽子男に対してお母様は赤らめた顔に片手で口元を覆っている。
そのお母様が合図出すと、レンジャーが帽子男の手を掴んでウンチに突っ込む。
「あなたにはその状態からが相応しいわ。さあ食べなさい!」
お母様が嫌悪の冷たい視線と共に、吐き捨てるように言葉を浴びせる。
それを厭らしい笑みで応える帽子男。
「これまた最高にご褒美な視線ですぜ。そして最初からクライマックスですかい。でもあっしを見縊ってもらっちゃ困りますね。確かにこいつは今までで最高に危険な一品だ。臭いや固さから中に残るモロコシの粒まで、全身が総毛立つほどの警告をガンガン鳴らしているぜ。でもあっしもここらの村じゃ一番の変態を名乗る男、命を懸けて挑ませていただきやす!」
お母様の冷たい視線を存分に味わうように長ったらしい説明を終えると帽子男はお皿と手に向き直る。
帽子男の興奮したその顔からは暑い時の汗とは違う汁が滲み出ており、その手は人間の本能によって顔に近づくのを拒否するように震えている。
「ふー。落ち着け。こう考えるんだ。こいつを喰うってことは、あっしにケツの穴の味を知られるってこと。ウンコの持ち主は一番恥ずかしい穴にキスをされるのと同じことだぜ。あっしが口にするのはウンコじゃない、持ち主の最高の恥辱の味。つまりあっしはこのウンコの持ち主の最高の秘密と恥辱を身体に取り込んでひとつになれるんだ!」
帽子男は首を後ろに傾けて不思議な角度から、厭らしい笑みと共に横目にお母様の反応を伺う。
「やだっ! こいつ本物の変態だわ!」
お母様は顔を両手で隠して恥ずかしがるような怯えるような素振りを見せる。
「またまた最高の褒め言葉頂きやした! これだけの観客の前で、あっしとこの人がひとつになるなんて考えるだけで頭が爆発しそうだぜ! いくぜ、いくぜえっ! ここで末代まで伝説の残る変態として名を刻んでやるぜ!」
帽子男は息も荒く言葉で勢いをつけると、震える右手を左手で押さえつけ、凶悪なブツがこびり付く人差し指をゆっくりと口に近づける。もう彼の目には料理なんて入らない。直接ブツだけで逝くつもりだわ!
口を開け、舌を伸ばして、震える人差し指が舌にくっつくその瞬間。
パクッ!
目を疑うような光景が目の前で起きる。人差し指に喰いつきやがったわ。
おえぇ。こっちが吐き気を催してくるような最低な場面。
「くひぃぃぃ! これでこのウンコの持ち主とあっしはひとつだ! 一心同体のひとつになった! 最高の快楽だぜ!」
人差し指を頭上に掲げて愉悦の顔でのけ反って悶絶する帽子男に、顔を真っ赤にした村長の爺様から、衝撃の告白が飛ぶ。
「そのウンコは儂のじゃ。」
それを聞いた帽子男は、時間が止まったかのように悶絶を止め、哀れなほど悲しく絶望に沈んだ顔をして村長とお母様の顔を見比べる。
「誰も私のウンチだなんて言ってないわ。村長のよ、それ。良かったわね。ひとつになれて。それに間違いなくあんたの一族はあんたで末代よ。とっとと死になさい。」
先ほどまでの恥ずかしがるような素振りなど無かったかのように、まるで最初から退屈して興味も無かったような無表情で淡々と言い放つお母様。
お母様がさっきからしていた恥ずかしがる素振りは全て演技だったってことね。さすがお母様あんな状況でも隙が無いわ!
「うぎゃああああああ! うごおおおおお! うげえええぇぇぇえ! ヴヴヴオオォォェェェ!」
帽子男は口から泡を吹くように海老反り悶絶しながら激しく叫び、口を押えてステージに倒れ込んだところをお母様に蹴り飛ばされて転がるようにステージの下に落ちた。ステージの下からは嘔吐く声が続いている。
「まだこのド変態に続くものがいるか!? このド変態と同じになりたくなければ、ウンチは汚くて恥ずかしいものだと覚えておけ!」
お母様の大きな声での問いかけに、500人の群衆はみんな口を手で押さえて、怯えるように頷く。
ステージの下では姿は見えないが帽子男がのた打ち回る音と嘔吐く声で、地獄すら生ぬるいほどの恐ろしさだろう。
そんな中、怯えながらもおずおずと一人の小太りな女性が前に進み出てくる。
「あそこの岩の上にウンコすると病気にならないって噂なんだ。そこでするウンコはどうか許してくれないか?」
小太りな女性が指差す方向を見てみると、高さ5mはある巨大な岩の上の方が何やら黒いもので染まっていて、遠くからでもうっすらと虫が集っているのが分かる。
「誰よっ! そんな馬鹿な噂流した奴! 本当にぶっ殺すわよっ!」
「ひいぃぃっ!」
激発したお母様の怒りに、小太りな女性は尻餅をついて後退りした後、群衆に逃げ込んでしまう。
「ふー。はー。」
お母様は額に手を当てて必死に落ち着くように呼吸を繰り返している。
「はああぁぁ!」
そうかと思うと急に大岩に向け両手を翳して声をあげる。
続けてお母様は目を瞑って群衆に聞こえるような大きな声で説明を始める。
「あー。これは黒魔術の罠がかけられているわー。まいったこれはすっごく危険だー。ここでウンコすると気分がスーッとするはずよ。それは命を吸い取られている証拠だわ。」
お母様の言葉はあからさまな棒読みだけど聞いている500人にはそれどころじゃないみたい。
心当たりのある人たちが悲鳴をあげている。
「ここでウンコした奴は毎日欠かさず白魔術の加護のかかったトイレを使わないとヤバい事になるわー。大変だー。村が全滅するわー。」
続くお母様の棒読みな言葉に驚いて、今まで岩の上でウンチをしなかった人たちが、噂に乗って岩でウンチをした人たちを責めている。
群衆は二手に分かれてそこかしこで喧嘩が起きそうな気配。
「喧嘩をするな! 安心しろ! 私が強力な白魔術の加護をかける。今ならまだ間に合う。みんなはこれから毎日トイレを使って神に祈れ! そしたらみんな助けてやる。それからそこで転がる変態にあの岩の上の邪悪なウンチを全て綺麗に片付けさせろ! あの岩に宿る聖なる精霊の助けを借りるためだ。急げよ!」
「「「うおおぉぉ!」」」
争っていた人たちも悲鳴をあげていた人たちも、諸手を挙げて雄叫びで返事を返す。
どうやら納得したようね。みんなを正しい方向に誘導した上に喧嘩にならないようにコントロールするなんてお母様の白魔術ってすごいわ!
村長さんが横からお母様に近づいてきた。
「将軍、どうか例の件もお忘れなく、お願いしますじゃ。」
「む。」
お母様は村長に一瞥をくれるとレンジャーに向かって合図を送る。
レンジャーは何やら2mもありそうな長槍を運んできて、お母様に渡す。
長槍は儀式で使うような色のついた布で飾り付けられている。
「神の啓示が下った! 広場の中央を開けろ!」
お母様は長槍を担いでステージを飛び下りる。
群衆が割れた広場の中央まであっという間に駆け寄るとそのまま高く飛び、着地と同時に長槍を地面に突き立てる。
「でやぁぁぁ!」
ステージにまで響くような鈍い音を立てて突き刺さった長槍は、真っ直ぐに空に向かって立ち、
随分と深く刺さったのか、その柄はお母様の頭よりも低くなっていて、装飾の布が風に揺れている。
「神の啓示である! ここから水が湧く! 雨季が終わるまでに、ここに井戸が作られるだろう!」
お母様が叫ぶと、群衆は遠巻きに囲んだまま意味が分からないかのように静まり返る。
そこに怯えて隠れていた子供たちが真っ先に歓声をあげる。
子供たちの歓声に釣られて唖然として見ていた大人たちも大きな歓声をあげる。
「「「「将軍♪将軍♪将軍♪将軍♪……!」」」」
お母様を讃える歌声は熱狂と共に響き渡る。
井戸を作るのが村長さんとの約束事だったのね。
「井戸水は川から汲んでくる水よりも遙かに清潔で衛生的。それにトイレの傍に水源があれば気兼ねなく手を洗うことができる。女たちの水汲み作業が減ればそれだけ農作業がはかどる。」
隣のおスミさんが井戸の利点を説明をしてくれる。良い事づくめね!
井戸ができたら子供たちの一番の重労働である川から水を汲んでくる作業が減るのだから、子供たちは大喜びだわ。
突き立った長槍を後にして、悠々と歩いてステージに戻るお母様の格好良い事!痺れちゃうわ!
お母様はステージに戻ると大きな声で宣言する。
「これで今日の集会は以上だ! 今日の事、決して忘れるなよ!」
「「「「おおおぉぉ!」」」」
この騒ぎの間にもレンジャーの2人はせっせと荷物を荷馬車に片付けていたようで、すっかりステージの上も片付き、いつでも出発できる準備が整っていた。慣れているというか、なんとも有能だわ。
「さあ、出発よ!」
私はお母様と一緒にギンシャリの上に乗り、おタマさんとおスミさんは荷馬車に飛び乗り、足早に村を離れる。熱狂的な興奮と共に見送ってくる群衆からの将軍を讃える歌声が遠ざかるにつれて、どっと疲れが溢れだしてくる。
「リルカ、あのトイレでプリプリの歌は素敵ね。色々な村で歌ってもらうわ。」
「お、お母様、それは良いけど今日はもう帰っていいかしら。私はもう心も身体もヘトヘトよ。」
「……。ふー。そうね。私も今日は想定外の事が多くて疲れたわ。帰りましょう。」
お母様は深いため息と共に心の底から疲れ切った感じの声で応える。おタマさんもおスミさんも深く頷いている。
「予定を変更する! 今日はもう帰るわよ。伝令を!」
お母様の命令に従ってレンジャーの一騎は伝令に走る。
雨を告げる雲が厚く低くなってきて、まだお日様は高いはずなのに薄暗くなってきた。
私たちは雨に追い付かれない様に家路を急いだ。
次の村も無事では済まないに決まっているんだから、私の身も心も耐えきれないわ。
今日は散々な一日だったわね。




