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6歳1月(26)

6歳1月(24)~(27)の4話分がひとまとまりのお話しです。

本日の9時、12時、15時、18時に各1話ずつ更新予定です。

6歳1月(26)


いつもの丘でリルカ探検隊の臨時会議。


「今日の議題は、モフ子の安全と役に立つことの証明よ!」


「つまり、それで将軍を説得しないとゴールドは捨てられるだすな。」


「安全ってことはリカオが噛まないことと、病気にかかってないことの2つの証明が必要である。」


「デカ耳の役に立つことってなんだ?」


深淵の闇夜駆ける流星メテオオブアビスナイツが役に立つことは、モフモフしかないって!」


デデとモフ子は困った顔でモフモフしている。


「モフ子はこんなに賢くて大人しいし、吠えないわ。それでも絶対噛まないことの証明なんて、難しいよ。」


「病気かどうかは、自分たちにはどうしたって分からないのである。それこそ神様かリカオしか分からないのであるな。」


「それにゴールドのお役立ちがモフモフだけでは足りないだす。」


深淵の闇夜駆ける流星メテオオブアビスナイツは寒いときに抱くと温かそうだぜ。役に立つって。」


「それじゃ暑い日は熱いだけだぞ。それよりデカ耳が噛まないように、口に何かカバーをつけるのはどうだ?」


「がぅがぅ。」


モフ子を抱っこするデデが私を手招きする。なになに?


「デデにぃにが言うには、モフ子は噛まないし、病気じゃないって。それにお役立ちとして、鼻が良かったり、他のリカオンとお話ししたり、もっと大きくなれば狩りのお手伝いもできるし、動物の群れを率いたりもできるかもって。」


「いや、デデはそういうけど、それを証明するのが大変なんだ。言うだけなら何とでも言えるぞ。将軍が信じてくれるかどうかが問題なんだ。」


デデもモフ子もしょぼんとしてしまう。


「でも、リカオが大きくなったら狩りの手伝いができるっていうのは良いアピールであるな。」


「これだけ賢かったら、おいらたちの仕事である牛の面倒もみれるかもしれないぜ。」


「デデにぃにが、頑張って牛の面倒もみるよって。」


「……デデ。気持ちは分かるけど、デデがそう言っても意味がないのである。」


「いや、モフ子がそう言っているんだって。」


みんなの怪訝な目が、デデと抱っこされているモフ子に集まり、沈黙が場を支配する。

そして理解が追い付かない頭の中で、言葉は徐々に解きほぐれていく。


モフ子が……言っている?


……。


……!


「「「「「はぁ!?」」」」」



◆◆◆



「お母様っ! お母様ー! 大変大変! あれ? お母様は?」


おうちに駆け込んだけど、お母様がいない。


「リルカちゃん、ハンナ様は緊急出動でハイエナ退治に出かけたばい。なんでん(なんでも)ハイエナ王って狡賢ずるがしこいハイエナが、とつけむにゃー(とんでもない)大クランを組んで、100頭以上の集団で各地の馬車や人を襲ってると。だけんリルカちゃんは外に出たらいかんたい。」


「ハイエナ王……。そいつがモフ子の敵だわ。うーんと、あったこれこれ。」


「そんなもんでなんばしよるか(なにをしようというの)?」


「ちょっと借りていくわ。ありがとうおタマさん!」


「だけん、外に行っちゃいかんていうとるたい!」


おタマさんの言葉を背に受けて、私は全速力で駆け出す。おタマさんごめんね。さあ、急がないと!


◆◆◆


小高い岩の上に立つと風が正面から吹いている。

注文通り、ここは風下だ。


「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」


「ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」


「うひょひょひょひょひょひょ!」


眼下には100頭以上の“笑いハイエナ”の馬鹿にしたような鳴き声が重なっている。


その中央にはギンシャリを庇うお母様と護衛のレンジャーが2人。

ギンシャリを庇うために大きく動けないお母様に対して、

全方向から嬲る様な執拗さで襲いかかる。


しかしお母様の剣が届かない距離で反転して逃げてしまうため数が減らせない。

かといって隙を見せれば襲ってくる。

ハイエナ側はこうして獲物が疲れるのを待つ作戦なのだろう。

この見事な連携、絶妙な距離感、悪辣な作戦を指揮しているのは間違いなくハイエナ王。


モフ子の群れを襲った敵。逃がしはしないわよ!


「作戦通りでいくわよ!」


「「「おう!」」」


私とアディル、カイサ、オニカの4人は風下から身を隠すように接近。

あと100歩というところでハイエナが気づいたので身を晒して奇襲をかける!

突如現れた私たちにハイエナの陣形が混乱する。


「リルカ! なんでこんなところにいるの!? 逃げなさい! こちらに来てはダメ!」


「お母様まであと50歩! 陣形このまま! 突撃!」


アディルは盾で跳ね飛ばし、短槍を振るう。

オニカは借り物の棍棒を小枝の様に振りまわし、次々と襲い来るハイエナを吹き飛ばす。

2人の暴風が漏らしたハイエナはカイサが仕留めていく。

しかし中心部のハイエナ陣地の分厚さに勢いは落ち、足を止められる。

すぐに背後から私へ襲い来るハイエナ。


それを待ち構えたように私は神剣を抜き、大きく振りかぶる。

お母様の御伽話において数々のボケほふってきた神剣張り扇(ハリセン)

しかもお母様の愛が籠められた鉄板製。


ドバッシャーン!!


本気でフルスイングした鉄張り扇(ハリセン)はハイエナの1匹を地面へと叩きつけ、同時に身体を突き抜けるような衝撃波となって雷鳴のように轟く。


「キャンキャンキャン!」


その衝撃波と轟音に驚き、飛び上がるように私たちから大きく離れたハイエナたち。

ハイエナは遠巻きになって震えている。

私たちの周りには大きな空白が生まれた。

この隙にお母様のところまで走るのよ!


「ひひ〜ん!」


しまった。ギンシャリまで怯えているのは想定外だった。

辿り着いた中心で、暴れるギンシャリを抑えているお母様に睨まれる


「リルカ! いうこときかなかったから後でお仕置きよ! でもいまはギンシャリに乗って退避! ギンシャリを守って!」


お母様に神剣を渡し、私は1人でギンシャリに跨る。


「レンジャー2人とアディル、カイサ、オニカはリルカを護衛せよ!」


「「レンジャー!」」  「「「はい!」」」


自由になったお母様は神剣を携えて駆け抜ける。


ドバババッシャーン!!


お母様の一閃で雷鳴と共に、私よりも重そうなハイエナが3匹ほど空高く舞い上がる。

……張り扇(ハリセン)ってあんな威力あったっけ?


逃げ回るハイエナは足が遅い。

それよりも遙かに速くお母様が群れを切り裂き、連続して雷鳴が響く。


しかしこれはハイエナの罠。

強い個体の反撃を誘い、群れから引っ張り出して、残った弱い群れを叩く基本の連携。

ハイエナの別働隊がギンシャリに乗る私にめがけて殺到する。

今までよりも密度の濃い襲撃に私の周りは一気に押し込まれる。


「いまよ!」


私の合図で現れたのはデデとモフ子。

そしてその周りには100頭以上のリカオンが一団となって走ってくる。

リカオンはハイエナより身体が小さい。

しかし散々お母様に蹴散らされ、分断されたハイエナたちはその濁流に飲み込まれていく。

ハイエナよりも足が速く、持久力のあるリカオンは、逃げ惑うハイエナたちを次々と狩り立てる。


「お母様! リカオンは味方よ! 叩かないで!」


驚いた様子のお母様とレンジャーたち。


「説明はあとよ! ハイエナ王を逃がさないで!」


ハイエナ王は狡賢ずるがしこくて逃げるのがうまい。

常に退路を確保して位置取りし、不利とみると一番に逃げる。

お母様からもリカオンたちからも離れた場所に位置取りしていたハイエナ王が、今まさに逃げ出すところだ。


「逃がさないだすよ!」


ハイエナ王の背後に、炎の壁が広がる。

壁の後ろで泥の塊が飛び跳ねる。

匂いを消すために全身泥まみれになったフマだ。

1人で這いずり回って油の滲みた枯草を仕掛けて回っていた。

全てはこの一瞬のために!


炎は長くは続かない。

しかし一瞬の判断の遅れがハイエナ王の命運をつ。

足の速いリカオンに退路を塞がれ、神剣を振りかざしたお母様が電光石火の如く迫る。


「ぶ、ぶひゃ! ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」


ドバッシャーン!!


史上最大の大クランを作ったハイエナ王は笑いながらお空の星となった。


6歳1月(24)~(27)の4話分がひとまとまりのお話しです。

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