表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/128

6歳1月(23)

6歳1月(1)~(23)までの23話分がひとまとまりのお話しです。

『劇場版 いうこときかない黒姫の失敗 ~探検テテの町~』

6歳1月(23)


ポルトガル商人たちが帰ると、お母様のお仕事も一区切り。

今日はお母様と一緒にテテの町観光よ!

ラムズィから返してもらったお小遣いも持って、準備万端!


まずは市場メルカド巡り。


フルーツジュース屋のお姉さんにお礼を言って、ジュースをたくさん買ったわ。みんなで色んなジュースを飲めて美味しい!


鶏肉屋のスープを飲んでいると華麗な包丁さばきは魚屋の娘が見ているときにやっているんだと分かった。相思相愛ね。


そして魚屋さんでお買い物。ネコ可愛いよネコ。今晩はたっぷり海の塩を使ったお魚料理かな。


くじ屋がまた屋台を出していた! 明日には旅立つとか言ってたのに全部嘘ね。奥の壁には修復されて短くなった宝剣が飾られている。魔法使いには“良くやった! ラムズィの奴に10倍返ししたって聞いてスカッとしたぞ!”とかって褒められたけど、10倍返ししたのはフマなのに、全部私がやったことになっている。


布屋のおっちゃんにもラムズィに商売で勝つなんて大した奴だって褒められた。噂が独り歩きしているわね。大至急で大量のクッションカバーの発注を受けたそうで、なぜか御礼をいわれる。


御香を売っている屋台ではお母様と一緒に寝室で焚くための香りをあれじゃないこれじゃないと選ぶ。


食器屋ではガラスのコップを見たお母様が即座に購入。迷う素振りもないとかマジ半端ないわ。


楽器屋ではお母様がリュートを何本か購入。お父様や歩兵部隊の楽器の大隊長へのお土産だって。まとめ買いってことで割引してもらったので、私も1本購入。練習して弾きながら歌うんだ!


次に教会へ行って、ジョゼとロレンソにお見舞い。フルーツと治療費を渡す。ギルド長が認定したからお母様から先払いだって。フマは先に来て孤児院の子供たちに串焼き屋さんのやり方を教えていたみたい。商売熱心ね。ジョイスと沢山お喋りして、私のお小遣いで木彫りのネコの置物をたくさん買ったよ! お父様やおタマさん、おスミさんへのお土産はこれで決まりね。


そしてラムズィたちの宿屋に行って、修繕費を先払い。お母様、これは半壊って言わないわよ。8割方、壊れているじゃない。どんな情報収集したのよ。まあ、修繕費で勘弁してもらおう。へらへら笑ったラムズィがペコペコ頭を下げているのを見て違和感を感じる。ラムズィ、性格変わっちゃった?


日が暮れたので交易拠点フェイラに戻ってお魚料理を食べたらあとは寝るだけ。

楽しい時間はなんて短いんだろう。あっという間の一日だったわ。



◆◆◆



今日はもう王都に帰る日。バナナを限界まで積んだ馬が並ぶ。馬も重そうだ。


結局、ポルトガル商人は半泣きになって大赤字の条件を出してきたそうで、お母様の温情により採算ぎりぎりラインまで追加のお金を支払ってあげたらしい。でも次の香辛料取引も原価ギリギリで買い取る契約書と引き換えって、温情とはいわないわよね。


そして一部の馬には布屋の屋台で見覚えのある生地のクッションが身長の何倍にもなろうかという高さまで積まれている。


「誰でも買えるバナナなんて下賤げせんな女に譲ってやるざます。ラムズィさんの紹介で、この最高級北欧産の羽毛を使ったクッションが特別価格で山ほど手に入ったざます。やっぱり此方こなたの様に強いコネを持っていないとお買い物もできないってことざますね。今回のお買いものはこれで大満足ざますよ!」


「ラムズィにやられただす。こんな形で羽毛を持って帰ることになるなんて屈辱だす。」


フマが悔しそうにしているのをみて、私が笑いを堪えきれず、下を向いて震えている。それを見たシェリルが自慢げに笑い出した。


「ほっほっほ。悔しそうな顔ざますね。なんざますか? そのちっぽけな十字架は。見るからにまがい物ざます。どうせその辺で騙されて偽物でも掴まされたざますね。さすが下賤げせんな娘は見る目が無いざます! 本物の北欧羽毛のクッションなんて一生使うこともないだろうから良く見ておくざますよ! ほーっほっほっほ!」


満足げに高笑いするシェリルだけど、幸せそうだから放っておこう。

このロザリオはきっと高価なものだけど、世間の価値なんて関係なく、私だけの一生の宝物なの。私がテテの町を探検して手に入れた新しい友達や仲間、それに思い出の結晶よ。


「それはそうとフマあにじゃ、私が乗るはずの馬に積まれたこれはなんなの?」


「木綿だす! パンツにはざらざらした麻ではなくて、柔らかい木綿が最適だす! テテの町周辺で綿花を栽培して、王都でパンツを作るだすよ! 大儲け間違いなしだす!」


どこまでもたくましいフマ。しかしリルカ探検隊のみんなは、現在パンツに凝っているようで、デデも含めた全員がパンツを穿いている。きっと王都でも流行るだろう。


いよいよ交易拠点フェイラから出発するというタイミングで、ジョゼやロレンソ、そしてジョイスが見送りに来る。

私はジョイスと抱き合って別れを惜しみ、再会を約束する。

そして隠れようとしていたアディルを引っ張り出し、ジョイスに会わせる。

ジョイスはアディルにプレゼントと手紙を渡し、握手していた。

アディルの失恋が早く乗り越えられるといいね。

ちなみにデデはジョイスに撫でられていた。可愛い。


しばらく進むと、道の両側にたくさんの男たちが整列している。

誰の見送りだろうか。

しかし全員が敬礼と同時に腰巻を少しまくってチラリとパンツを見せてくる。

こいつらパンツ愛の団だわ!


後から聞けばパンツ愛の団はお母様に雇用され、治安維持部隊として町を警備することになったみたい。

その際に“パンツは隠した方が良い”ということを叩き込んだらしいけど、隠しっぱなしにするのが正しいのであって、隠した状態からのチラ見せの方が興奮するという意味ではない。

どうも捻じれて伝わっているようにしか思えない。

リーダーは最高幹部だった2人らしい。

オニカとカイサが別れの挨拶を交わして互いのパンツを褒め称えている。

褒めるのそこ?


さらに進むとラクダに乗ったラムズィたち3人が道から離れたところで手を振っている。

遠くからでも分かるほど上機嫌でへらへらと笑いながら手を振って、ペコペコ頭を下げている。

性格が変わったのではなく、よっぽど大儲けしたのね。

シェリルが手を振り返しているのが笑える。

フマ、石を投げるんじゃありません。塩を撒くのもやめなさい。


何はともあれ、これでテテの町探検は完了ね!


「お兄ちゃんたちは、テテの町探検はどうだった?」


「わては新しい儲け話をいくつも見つけただす! 片っ端から挑戦するだすよ!」


「おいらは借り物の斧を壊しちまったから、やっぱり専用の武器を探さないといけないぜ。斧よりも頑丈なものを探すぜ。」


デデはニコニコと何度も頷いている。可愛い。


「自分は新たな発見がいくつもあって勉強になったのである。やはり実戦は重要であるな。アディルはどうだったであるか?」


「あ、ああ。リルカの御守が大変だったぞ。今度テテの町で護衛するときにはリルカの腰に縄をつけて口には猿轡さるぐつわが必要だと分かったぞ。」


読んでいたジョイスからの手紙を慌てて隠し、そううそぶく。


「えー? そんな恰好じゃ、運命的な出会いとか恋物語とかに巡り合えないわ。どこにそういうのが転がっているのか分からないんだから。うっかり女の子のパンツに顔を突っ込んじゃったりするかもしれないじゃない。ねえ、アディルにいさん?」


ラムズィから会得した怪しい悪戯っ子のような笑みと、低い声色でアディルをからかう。


「違うんだ! あれはそういうのではないぞ!」


「“あれ”とはなんだす?」


「“そういうの”ってなんだぜ?」


「何がどう違うのか、詳しく聞かせるのである。」


デデはアディルの背中をぽんぽん叩いている。可愛い。


「そんなことはどうでもいいんだ! リルカはテテの町探検はどうだったんだ!?」


「私はね――。」


おうちに帰ったらお父様やおタマさん、おスミさんにお土産を渡して、たくさんお話をしよう。

パンツに絡まれた話、市場で騙された話、新しい友達の話、大活躍だったリルカ探検隊の話、新しい仲間の話。新しい町の話。私のロザリオの話。


うん、私は最高に楽しい探検を取り戻したわ。

全部全部、大切な宝物よ! 


さよならテテの町、また来る日まで!


6歳1月(1)~(23)までの23話分がひとまとまりのお話しです。

ここまで読了、ありがとうございました。

面白いと思ってくださった方は、ブックマークや評価をつけてくれると励みになります。

次はどんな話にしましょうかね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ