第80話 この作品には
ループ9
「現実の私達もあなたを
削除すると思いますよ」
「それはどうかな」
「私には、分かります
あなたは、今まで迷惑をかけてきました」
「それは、そうだけど」
「特に、チェスのところでは
タイガーさんに」
「反省してる」
「それに、もしかしたら皆さん
あなたに会いたくなかった
かもしれないですね」
「……え?」
「たまたま、あなたが呼び出したから
出会っただけであって本人の意思じゃない」
「大体の出会いはそうじゃないか
それに、みんなといると楽しいよ」
「ですが、怒ってばかりな人や
すぐどっかに行く人
いつも足でまといになる人
こんなバラバラなパーティー
見た事ないですよ」
「バラバラでもいいと思うけど
みんな、笑って冒険できてるし」
「笑ってるだけかもしれないですよ
1人になった時ふと思っているかも
もし、違う人といたら
あのグループから抜けなければ
そう後悔しているかもしれない」
「誰だって後悔することもある」
「願っているかもしれない
過去に戻れたらと」
「どうして、君はさっきから
ネガティブなことばかり
言っているんだい?」
「それが、悪夢だから
君は、主人公じゃない生まれ変わっても
主人公になれない」
「だから、僕は主人公というポジション
じゃなかったとしても」
「なのに、そのポジションを守り続ける
弱虫な男!」
「ヒッ」
「あなたは、いつもいつもビビってる
だから、安全な道に行こうとする」
「それは、みんなを」
「言い訳ばかりする
みんなを守るため?自分を守るためです!」
「そんなことは」
「現実でも、あなたを必要としていない
そう言った途端弱気になる
それは、みんなを信用してない
証拠になります!」
「なっ!」
「ミミカの能力も信用してなかった
ユルカの能力も!アイルが
初めて来た時も!」
「違う!」
「違くない!あなたは、最初から」
「最初から信用しまくってる
やつなんかいないだろ!」
「!?」
「最初の僕は、この世界に慣れていなかった
だけど、主人公だと思っていたから
頑張ってた
マジックたちが来て一気に人が増えて
アイルも来てこれ以上人が増えたら僕は
みんなを守れないかもしれないそう思ったら怖かった
だけど、アイルが来てチャイネが来て
このパーティーはこれで
完成なんだと思った!
その時から、僕はみんなを信じている!」
「……」
「どんなに、ぶつかり合っても次の日には
ケロッとしててまた、離れたくないと思えて
戦闘の時も僕が捕まることが多くても
安心して見てられるそれだけじゃ足りない?
任せられることが一番の信用だと僕は思う」
「……」
「それに、現実のみんなは絶対に
誰かを削除することはしない」
「そんなこと分からな」
「わかるよ
長く一緒にいて喧嘩して
笑いあっているからわかる」
「だが、世界は作品は」
「この作品に完璧な主人公はいらない
目立つ主人公なんていらない
ただ、その場の空気を明るく
できるだけでいい
仲間だってそう、なんでも
頼りになる仲間はいらない
犠牲になる仲間もいらない敵役だって本当はいらない
ただただ、不器用だとしても
一緒に盛り上がって
くれるだけでいいんだ」
「じゃあ、作品を引っ張るのは」
「一人じゃなくていいみんなで引っ張るから
いい作品ができるんだ
みんなが主人公でみんながモブで仲間」
「……いつから、そんなことを
思ってたんですか」
「いつからかな、多分僕が主人公じゃないって知った時からなんだよね強く
思うようになったのは」
「ちゃんと、あったんですね」
「うん、まだ小さいかもしれない
けど、消えない強さを持っているよ」
「だったら、私たちは何も出来ないですね」
「できたじゃないか」
「何をですか?」
「気づかせてくれた、仲間がいること
敵役がいることの大切さを」
「……綺麗事ですか」
「綺麗事でも信じていたいんだ」
「そうですか、では」
「抵抗しないんだね」
「さっきも言ったでしょ
夢世界の人達は抵抗しないって」
「そうだったね」
ガチャ
「あ、開けてくれたんだ
ありが……いなくなっちゃった」
「あぁ!ユウシヤだぁ!」
「わっ!ユルカ!?」
「やったぁ、脱出できたぁ」
「ユルカも悪夢見てたんだ」
「そうみたいだねぇ」
「……目覚めようか」
「そうだねぇ」
「あそこから出ればいいのかな」
「多分そうだよぉ」
「じゃあ、行こうか」
「夢から覚めたぁ!
でも、疲れは取れてないなぁ
もう1回寝よぉ次は、楽しい夢だといいなぁ」
「……悪夢、と言っていいもの
だったのだろうか
まさか、夢に気付かされるとは
思わなかったよ
ふふ、ありがとう」
カチ、ユウシヤクリア
ループ数合計9 HP 70残し
クリア条件 仲間を信用する心を持つ




