ウィザーディングワールドオブ・ハリーポッター 世界観を創るために全力を尽くす
ウィザーディングワールド・オブ・ハリーポッター
1. どのようにヒットしたか?
USJの新しいエリアとして今年夏にオープンした、ウィザーディングワールド・オブ・ハリーポッター。
世界的に有名な小説・映画シリーズであるハリーポッターの世界を忠実に再現したとして、日本のみならず世界的に人気スポットになりました。
総工費約450億円、東京ドーム3つ分の広さに再現された世界観は圧巻の一言!
今年夏のオープン以来、入場制限をする必要があるほどの人気スポットとして、大ヒットしました。
2.なぜヒットしたのか?
これは言わずもがな、世界観の作り込みが最大のヒット要因です。
現代人は「プレミアム」を求めていることは説明しました。
そのプレミアムの中には、非現実体験が含まれます。
違う世界に迷い込んだと錯覚するような体験。
常識の通用しない世界に来たというワクワク感。
この記事を作る上で調べたことですが……
世界観の作り込みがハンパないです。
街並み、道路、店、どこをとっても映画と完全に一致です。
そのこだわり具合が一番顕著に表れているのは、ホグワーツ城。
なんと、太陽光の当たり具合まで計算された上で建設されたようです。
年代を感じるようわざと古く見せる手法も用いられています。
これらはテーマパークではよく使われる手法らしいですが……。
まさかこのためだけにコケを生えさせるとは。
作り込み具合に感服です。
体験者の言葉を抜粋しますと……
「どこにも妥協の跡が見られないほどに、作り込まれている!」
そうです。
だからこそ、非日常感を求める現代人は
この創り上げられた世界に夢中になったのでしょう。
3.どのように小説に応用できるか?
小説の世界観に応用してみましょう。
と言っても「世界観」という言葉の捉え方は人それぞれです。
小説を書けば自然と世界観が生まれる、という作者様もいれば
書く前にしっかり練らないと世界観が生まれない、という意見もあります。
当然ですが、どっちが良い・悪いとは言えません。
ですから、作者様がどっちの方法を取るにしても、一つ考えてほしいのです。
「世界観を創るためにどれほどこだわっていますか?」
これはわたしの持論ですが、世界観とは「調和」です。
全体のバランスに上に成り立っていると、わたしは捉えます。
昔から伝わることわざに「玉にきず」というものがあります。
その意味は「ちょっとくらいキズがあっても問題ないよね?」ではなく……
「少しのキズも全体の価値を下げる」という意味です。
ですから、ほんの少しのズレも見逃すべきではありません。
そんな少しのズレが、世界観全体を崩壊させます。
再びウィザーディングワールドオブ・ハリーポッターを考えます。
その世界観に浸っていると想像してみましょう。
映画で見た光景そのままの世界。
緻密な計算の上に成り立った不思議な雰囲気。
俗世から離れた圧倒的非日常感。
何だかワクワクしますね!
作者も書きながら軽く興奮気味です。
では極端な例になりますが。
そんな楽しみを満喫する中で突然……
サンバのリズムが鳴り響いたらどうしますか?
魂を揺さぶるビート。
耳に響くサンバホイッスル。
たった一つの要素、BGMだけが場違いでした。
どんな感想を持たれるでしょうか?
他が完全にハリポタの世界観だからいいや!
……とは思わないでしょう。
率直に言えば、台無しです。
BGMというたった一つのキズが、他の世界観すべてをぶっ壊します。
小説においても同じです。
少し例をあげましょう。
・ファンタジーの世界観で純和食が出てくる。
・恋愛ジャンルの小説で異能バトルが勃発する。
これはわたしの考えた極端に振り切った例です。
しかし……似たような「キズ」のある小説がないとは言えません。
きっとこれは作者様がうっかりミスして、何の悪気もなく起きてしまった「ハプニング」みたいなものかもしれません。
それでも、です。
小説はエンターテインメントです。
ハプニングは読者の責任ではなく、作者の責任。
起きてしまったハプニングは「不可抗力」ではなく「過失」です。
読者側がそれを悪意に取った以上、厳しいかもしれませんが
「世界観の練りが不十分」
と言わざるを得ません。
テーマパークでは世界観を守るために「うっかり」すら許されないのです。
……読み返しながら、厳しいことを言っているのに気づいた作者。
ここで少しの自問できるポイントをチェックしてみましょう。
・メインとなる世界観は何か?
(例) ファンタジーな世界、現代風、現代、近未来など……。
・メインに据えた世界観と現代日本との違いはどこか?
(例) ほぼ全て、時代、政治体制、主食がパン、全く同じなど……。
・書く小説の世界観にそぐわない要素は何か?
(例) 恋愛、シリアス、異能、SF、サイコ、バトル、推理、冒険など……。
一番目、二番目はプロットの段階で決められる要素ですね。
三番目もプロット段階から決められますが、
推敲しながらチェックリストのように確認もできます。
一つコツですが……。
妥協しないことです。
思いついた世界観のアイディアはすべて書き留めましょう。
連載作品の場合、無駄に見えたアイディアがその内輝くこともあります。
また、本当に細かく考え抜いた世界観は「うっかり」しません。
したとしても必ず気づけます。
それではまとめです。
ウィザーディングワールドオブ・ハリーポッター。
世界観を緻密に再現し、妥協しないことでヒットした。
小説に応用すると。
小説全体の世界観を細部まで創る。
世界観作りは小説を書く上で大きなファクターになりますが、
そこを踏み込んでこだわることにより、より魅力的になるでしょう。
次回の考察テーマは……
「妖怪ウォッチ 流行は何年に一度周るのか?」




