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初級魔法しか使えない僕が、一撃必殺しかできないギャル勇者と一緒に最強になる話  作者: 八泉


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9/30

E組との入れ替え戦


 葛木兄弟に勝った翌日。

「先生、入れ替え戦を申し込みたいです」

 タクトとカナタは、F組担任の元を訪れていた。

「そうか。昨日の連勝で条件はクリアしてるからな。わかった」

 F組からE組に昇格するには、入れ替え戦に勝利する必要がある。

 対戦相手は教員が選抜するが、基本的にはE組最下位のチームが指名される。

「それで、いつやるんですか?」

「一週間後だ」

「一週間……」

 タクトは小さく呟いた。

「わかりました。お願いします」

 こうして、昇格をかけた入れ替え戦が決まった。


 ◇


「入れ替え戦まで一週間あるわけだけど」

「うん」

「試したいことがあるんだ。たぶん数日かかると思う」

「そか。あたしはどうしよっかなー……」

「そういえばもうすぐ中間テストだけど、水色は大丈夫?」

「……やば」

 というわけで、各々頑張ることとなった。


 ◇


 ——入れ替え戦当日。

 対戦相手は、やはりE組最下位の加藤コウ・山井シュンのチームとなった。

「テスト勉強であんまり練習できてないけど、大丈夫かな〜」

 カナタは自信なさげだが、タクトには勝算があった。

「大丈夫。相手もたぶん中級魔法は使えないって話だし」

「え、どこ情報?」

「ルームメイトのルイトくん」

「あー……それなら信用できそう」

 カナタはスッと背筋を伸ばすと自分の頬をパンッと軽く叩いた。

「よっし!いこ!」

「うん」

 カナタに続いて、タクトも闘技場へ足を踏み入れた。


 ◇


「——それでは入れ替え戦、開始!」

 教師の合図で両チームが動き出す。

「シュン!行ってくれ!」

「了解!」

 勇者候補——山井シュンが飛び出す。

 そして賢者候補——加藤コウが詠唱を終えると、シュンの進行を助けるように強い風が吹いた。

 背中に風を受け、シュンの速度がさらに上がる。

「……風魔法か」

 ルイトくんの情報が正しければ、コウは確か——

「二属性持ち、だったな」

「はやっ!あたし達どうすんの!」

 敵の速さに面食らったカナタが切迫した声を上げる。

 しかし、タクトは冷静だった。

「水色は相手の攻撃に巻き込まれないように。溜めるのは合図してからね」

「灰嶋くんは!?」

「僕は……足止めするよ。この前みたいに追いかけ回されるのはゴメンだ」

 そう言うと、タクトはいつもより少(・)し(・)長(・)い(・)詠唱をした。

 すると、タクト目掛けて一気に駆けるシュンの目の前に拳大の光球が現れ——勢いよく弾けた。

 ——カッ!

「ぐぅっ!なんだ?!」

「眩しっ!!」

 闘技場を白く染め上げた光は、シュンと、ついでにカナタの視界を奪っていた。

「あ、ごめん」

 カナタに光球のことを伝え忘れていたことを思い出したタクトは頬をかく。

「も゙ぉー!!」

 地団駄を踏んで怒るカナタから目を逸らすと、次の詠唱で霧を一(・)気(・)に(・)ばら撒いた。

「こ、今度は何だ?!」

 混乱するシュンを巻き込んでも霧の勢いは止まることなく、そのままコウまで飲み込んだ。

 ついでにタクト自身とカナタも。

「きゃー!今度はなんかずぶ濡れなんですけど?!」

「……あー、本当ごめん」

 伝達ミスを重ねたタクトは、ただ謝ることしかできなかった。

「くそっ!初級魔法しか使えないんじゃなかったのか?!この規模は初級レベルじゃないだろ!」

 コウにも状況が飲み込めなかったが、とにかく霧に巻き込まれたままではマズい。

 詠唱を紡いで、風魔法を発動した。

 ——しかし。

「なんだこれ……?!吹き飛ばしてもどんどん湧いてくる!」

「コウ!なんとかしてくれ!」

「なら……これでどうだ!」

 風魔法を諦め、次の詠唱を紡ぐ。

 コウの掌から水球が生まれ、霧へ突入する。

 水球は進路上の霧をかき集めながら進み、ある程度の視界を確保することに成功した。

「なるほど。そんな対策もあるのか」

 タクトはコウの魔法に感心しつつも、自分たちの周囲の霧を風魔法で散らす。

「これで大丈夫」

 続いて雷魔法を放ち、敵チームの動きを鈍らせるいつものパターンに持ち込んだ。

「水色、お願い」

「……あとで覚えといてよね」

 カナタは目を吊り上げたまま、チャージし始めた。

 タクトは背中に冷たいものを感じながらも、霧と雷を使って戦場をコントロールし続け——勝利を収めた。

 問題なく、とはいかなかったが。

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