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初級魔法しか使えない僕が、一撃必殺しかできないギャル勇者と一緒に最強になる話  作者: 八泉


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再戦の申し込み

「模擬戦しない?」

 教室のど真ん中。

 しかも、授業直後でほとんどの生徒が残っている状況で、タクトは正面からトモエに挑戦状を突きつけた。

 彼女はタクトの目を見て少しだけため息を漏らす。

「……つい先日、あれだけ見事に負けたというのに、良い度胸ですわね」

「あの時とは違うよ。それを証明する」

「……良いですわ。では、明日の放課後でいかがかしら」

 タクトが視線をやると、カナタは右手でOKマークを作った。

「こっちも良いよ。じゃ、明日の放課後でよろしくね」

「ええ」

 タクトは踵(きびす)を返し、カナタと共に教室を出ていった。

「トモエ」

「……チヒロ。勝手に日取りを決めてごめんなさいね。それにしてもあの二人、相当自信があるようですわね」

「うん。この前の試合は忘れた方が良い」

「ええ。ですが、私たちもあの時は全力を見せたわけではありませんもの。次も勝ちますわ」

「当然」

 トモエは机の影でキュッと拳を握りしめた。

「……八つ当たりかもしれませんが、勝ちますわ。絶対に」

 賑やかさを取り戻した教室にひっそりと落ちたその呟きに、チヒロだけが気づいていた。


 ◇


「びっくりしたー! まさかあのタイミングで申し込むとは思わなかったし!」

 訓練室に向かう途中、先を歩くカナタが振り返って言った。

 その表情は明るく、どちらかといえば笑みを押さえ込もうとしているように見えた。

「ごめん。でも、模擬戦の申し込みをするって言っておいたよね?」

「いやいや、責めてるわけじゃなくてね!」

 タクトは首を傾げる。

「男らしいとこあるじゃんって……そう思っただけ!」

 そう言って、カナタはくるりと前を向くのだった。

 わずかに赤みの差した頬を、彼から隠すように。


 ◇


「あ、灰嶋さん!」

 タクトたちが訓練室に着くと、受付に座っていたコハルが気づいて話しかけてきた。

「常盤さん。こんにちは」

「今日も実験ですか?」

「いや、今日は明日の模擬戦に備えて連携の確認をね」

「そうですか! それは重要ですね!」

「……えーと、灰嶋くん?」

 カナタの怪訝な視線を受けて、タクトは二人を紹介していなかったことに気づいた。

「こちらは常盤さん。訓練室管理委員会の方。で、こっちは水色。僕のパートナー」

「パ、パートナー……!」

 コハルの頬が少し赤くなる。

 カナタはなんとも複雑な表情で、タクトに疑問をぶつけた。

「灰嶋くんって、女の子の友達いたんだ?」

「友達って……この前、偶然実験の手伝いをしてくれただけだよ」

「……ふーん?」

 カナタはまだスッキリしない顔をしていたが、コハルが困惑していることに気づくと、すぐに柔和な笑みを浮かべた。

「常盤さんはじめまして! あたしは水色カナタ。灰嶋くんとチーム組んでます! よろしくね!」

 そう言って右手を差し出す。

 コハルは眩しいものを見るように彼女を見つめ、その手をおずおずと握った。

「常盤コハルです。よろしくお願いします」

 そう言って、ぺこりと頭を下げた。


 ◇


「じゃ、とりあえず霧を中心に戦うスタイルはそのままってこと?」

「うん。コウくんたちとの戦闘を火谷野さんも見てたからね。霧を張れば迂闊(うかつ)に飛び込めなくなるはず」

 誰だって、いつ爆発するかもしれない霧壁の中に突っ込みたくはないだろう。

 おそらく、序盤はトモエの炎槍とタクトの霧壁がぶつかり合う展開になる。

 前回の戦闘も踏まえてタクトはそう予想していた。

「霧壁が張れるまで僕は魔法を撃ち続ける。根比べなら僕に分があると思うから」

「あー、いつも無限に魔法撃ってるもんね」

「無限ってことはないだろうけど……とにかく、霧壁が張れたら、念の為にその下を氷魔法で凍らせて足止めする。そこからチャージ開始が良いと思う」

「もし霧を突破されたらどうすればいい?」

「そうだな……剣術に自信があるなら安斎さんとは戦っても良いと思うけど」

「いやいや、振り下ろし以外は自信なし!」

 カナタはむんっと胸を張った。

 タクトはその様子に呆れ笑いを漏らす。

「はは。それなら、とにかく逃げるしかないかなぁ。抜けてきたのが安斎さんだけなら僕も多少はカバーできると思うし、どこかでまた体勢を立て直す。僕らはどちらかが落ちたら終わりだから、霧を抜けられた時は二人でなんとか対応しよう」

「そだね! 了解!」

 その後、実験を経て実用レベルに達した魔法を再確認してこの場は解散となった。

「明日はがんばろう」

「だね! それじゃ……はい!」

 カナタが、右の掌を地面に向けてタクトに差し出す。

「……?」

「ここに手を重ねて!」

 タクトは彼女に言われるがまま手を重ねた。

 それを確認し、彼女の顔に満足げな笑みが浮かぶ。

「明日も勝つぞー! えいえい、おー!」

「お、おー」

 微妙に締まらない掛け声が、訓練室に響いた。


【20話到達!】

ここまでお読みいただき本当にありがとうございます!

二人の成長譚はここからまだまだ加速していきます!


まだお済みでない方は是非、ブクマや評価で応援していただけるととても励みになります!もちろん感想も大歓迎です!

よろしくお願いします!

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