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神などいない(12)


珍しく感情を爆発させたシレイスに固まるディエマとシド。

それに気づいてか微笑むシレイス。


「ふふ…私としたことが、感情的になりすぎましたね…魔導を極めるものは、常に冷静さを忘れてはいけない…ラリスの教えで言葉遣いまで変えたというのに…」


「シレイス…」

心配するディエマ。


「…抑えられないかもしれない」

本音を漏らすシレイスに、

「え?」

となるディエマ。


「いざとなったら、止めてください」

決意の表情を浮かべるシレイス。

頷くしか出来ないディエマ。


「何が神殺しだ…か…」

言葉を探していたハージンが言う。

「言ってくれるよな…」


気が膨らむ…


「俺だって…」


ハージンの感情に呼応するかの如く、バチバチと空間がざわめく。

「俺だって思ったさ!!!なぜ救えない!!!こんなに…こんなに能力(ちから)を持っているのに!!」

身体がわずかに光を帯びたようなハージンに息をのむ…


「魔導士級だってさ!!ラリスが死に際に言った!!けど、限界があるんだとさ!!どんなに強い魔力も救えない命があるんだって?」

対岸の爆発跡を指す。


「あんな爆発に巻き込まれ、死体も同じだった俺は助かったっていうのに!!あいつは死んじまった…綺麗に傷も治した…眠ってると言ってくれ…何度も何度も生きてくれと願った!!でも助けられなかった!!」


膝崩れ、地面に手をつくハージン。

図らずも許しを請うような格好になる。

そんあハージンに、静かにつげるシレイス。


「悪いのはオリオスト…そんなこと…わかってますよ…わかったうえで戦いを挑むのです…」


「………」


「こんな思いを抱えたまま、あなたを戦士の門へと案内するのは苦痛でしかない…」


シレイスの言葉に、うつむいていたハージンの顔が上がる。

見返すシレイス。


「あなたの方が実力は上でしょう…けれど私は確かめたい!!私の思いを!!この私を震わす感情をあなたにぶつけなくては、私は私を許せない…師を救えなかったあなたも…水晶に閉じ込められなかったら…私がその場にいたなら、もっと違う未来があったのではないのか…師匠を死なせずに済んだんじゃないのか…どうしても考えてしまうから…!!」


知らずに流れた涙をぬぐうシレイス。


「だから戦ってください!!全力で!!!」

手を伸ばすシレイス。


「普通なら、この感情は抑えるべき感情…あなたはあなたの精一杯で、村のみんなを救ってくれたのだから…ラリスの事は仕方が無かったのだと…」


シレイスの手を掴むハージン。


「けど、あなたの思いが私のこの感情を抑えられなくした…」

立ち上がるハージン。


「あなたも悔しかったのでしょう?その思いが周りに影響を及ぼすほどに!!!あなたは自分の不甲斐なさを呪っている。その自分を責める狂おしいほどの激情が皆を狂わせている。戦士の門は、そんなわだかまりを抱えたまま突破できるほど甘くは無い…」


回想する様子で、一瞬言葉を切るシレイス。


「戦士の門には私たちなど足元にも及ばない化け物がいます。現に私たちは全滅しかけました。ラリスが戻してくれなければ死んでいたでしょう…あなたがその魔物を相手に戦えるのか私は見たい」


真剣なまなざし…

ハージンが見返す…


その表情を見て、けげんな顔をするシレイス。

「何がおかしいのです?」


そう、ハージンがニヤついていた。

「そんな弱っちいのに、本気でいいんだな…」


「えぇ。望むところです」


そんな弱っちいのに…??

まだ戦っていないシレイスへの言葉に違和感を覚える…


あんな魔物に手こずるなんて…

そう言っているような感じだった…


しかし、ディエマの事を言っているかもしれない…

どちらとも取れる言葉だが、この時はスルーして会話は続いた。


「大ケガしても知らないぜ」

「治せるでしょ?魔導士級のあなたなら…」

「ふん、保証は出来ないがな…」


「おい、シレイス!!」

たまらず叫ぶディエマ。


「ディエマ。さっきの事頼みましたよ…」

「おい…何言って…」


心配して飛び出しかけたディエマだが、シドが腕を伸ばすとしぶしぶではあるが下がる。


「さぁ、始めましょうか」

ディエマの不安をよそに、戦いの火ぶたが切られた。


                   ~第十三話に続く~

この小説、はじまりは中学生の時に中途半端な気持ちで描き、数ページで描くのをやめてしまった漫画でした。

でも、いつか完成したいという気持ちだけは本物でした。


そこから数十年かけて、ようやくハージンというキャラクターと向き合うことができました。


僕にとって、ハージンは同志であり、戦友です。

僕の中にあるヒーローそのものです。


絶対に後悔しない物語にしたいので、自己満足に陥らないよう、最後まで読んでてよかったと言っていただける作品を目指してまいります


すこしでも気になったら、ご一読いただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

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