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ティムの話はどこまでも自分の利益の確保だった。養蚕の仕事を回せ、家にも機織りを置け、仕送りを復活しろ、貴族に紹介しろ(たぶんこれは花嫁の希望か。)、などなど。
さっき仕事中のヤンに、目の座った笑顔のマァヤがわざわざ来てくれて、ヤンはマァヤに謝り倒した。
「毎度毎度申し訳ありません。」
「あそこまで意味不明に偉そうな弟がいて大変ねえ。」
「……。なにか甘いものでも今度お持ちします。」
「ありがとう。うち家族多いんだけど?」
「もちろん全員分用意いたします。」
マァヤの怒りはティムにであって、ヤンではないのだが、ヤンに言うより他ないため、大人しく聞いておく。
そして、マァヤはティムの話など聞くまでもないと思ったのか、さっさとティムを押し付けると帰ってしまった。ヤンとて部屋でじっくり話を聞く気は更々なく、昼飯のついでに聞いてやる事にした。
で、今、思わずこめかみを揉むような話(要求)をされたのだった。
「俺がお前の要求に応じなければどうなるんだ?」
「家族なんだから当然のことだろ。」
「帰ってくるな、でしゃばるなと言ったのはお前だけど?」
「余計なことばっかりするからだろ。助けになることは一切しないくせに。」
「…。」
「どうせ、兄貴じゃそんな大仕事何ともならないだろ。俺が代わりにやってやるよ。だから、そのなんとかっていう貴族に紹介してくれよ。うちのやつも呼んでさ。兄貴はその間、家の事代わりにしてくれれば良いから。」
昔から怒れば怒るほど静かになるヤンはたった今、ティムに、ティムを止めない家族に見切りをつけた。二度と俺に近付かないようにしてやる。そう決意したヤンはティムに、そこまで言うなら紹介してやる、連絡するまで待てと言って一旦帰した。




