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「あら珍しい。いらっしゃい、ティム。」
マァヤは家の付近ならたまに出くわすが、店で会うには珍しい客を出迎えた。
「新妻は?置いてきたの?」
街へ来るのに、あれだけ住みたいと騒いだ結婚相手を連れてないのが不思議で、マァヤは聞いただけなのだが、ティムは嫌味と取ったようだ。
「マァヤさんには関係無いです。」
(相変わらず可愛いげないねぇ、ヤンは優男でまめだったのに。この見栄っ張りは)
結婚式にでてやった人間に言うことがそれかとは思ったが、ティムに忠告してやるほどマァヤも優しくはない。
「じゃあなんの用かしら、こ、ん、な、店に。」
ヤンは可愛い弟分だが、年の離れすぎたティムは違う。ヤンと同じような扱いをしてもらえると思うなよ、マァヤが冷たく決意していると、
「マァヤさんに用はないです。兄の住まいはどこですか?」
…………。本当にどこまでも失礼なやつ!
マァヤの忍耐を試すようなティムはこれで普通なのだ。マァヤが嫌いなわけでも機嫌が悪いわけでもない。自分のことだけが大事なのだ。花嫁はこんなやつの何処が良かったのか真剣に気になった。




