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ゴブリン3体と…宝箱ぉ!!



「おおっりゃ!!」


「GYAAN…」


 【鋸斧】で一撃を加えてから、技術を使わないただの力を込めた前蹴りが炸裂。

 ゴブリンは棍棒を手放しながら吹き飛び、壁に叩きつけられた。

 しゅう…と霧散し、その場には棍棒と【魔石】が残された。


「耳は今回は落ちなかったね…」


 棍棒を手に取る。

 

「うーん…やっぱり、名前も分からないのは不便かな。でもまぁ…あーしの道具の柄よりも粗悪なのはわかるね」


 とはいえ、見つけたアイテムはすべてボックスに放り込んでいるナナイ。

 いかに粗悪であろうと燃料には使えるだろうと保管した。

 さらに歩みを進めると、少し広い空間に出た。


「…ゴブリン3体と…宝箱ぉ!!」


「きゅ〜!!」


 ナナイは斧を構え、カーバンクルはちっちゃな手を上げる。


「「「GYAGYAGYA!!」」」


 どうもここのゴブリンは武器を用いるようで、どれも粗悪に見える。

 石斧と石鍬を持っている。

 だが1匹だけ、鉄器、それも剣を持っている。

 そして何より、空間の奥に宝箱があった。


「行くよ…!」


 石斧を持つゴブリンががむしゃらに武器を振りながら迫る。

 そんなものは構わないとばかりに【鋸斧】を全力で振り抜く。


「やあああっ!!」


「GYA?!」


 バキンッ

 【鋸斧】と石斧がかち合い、その質量とドワーフ特有の筋力でゴブリンの石斧は砕け散る。

 そして斧はそのまま首に到達した。

 

 首が飛ぶ…訳ではなく、首のポリゴンが砕け散りクリティカルヒット扱いで一撃で撃破。


「つぎ!」


「「GYAAAA!!」」


 それを見た2体のゴブリンは同時攻撃を仕掛ける。

 鍬と剣。

 同時攻撃、と聞こえは良いが所詮はゴブリン。


「よっ、ほっ!なんかダンスみたいじゃない?」


 華麗に鍬を避け、剣を避ける。

 ゴブリンの攻撃はすべて大振りで避けるのは容易い。


 体を仰け反らせ、回転し、飛び、鍬を受け止める。

 

「プロテイン足りてないんじゃない?」


「GYA!」


「あ、それはまず」


 背後から剣を振るうゴブリン。

 咄嗟にナナイは鍬を手放し、姿勢を低くする。


「Gy?!」


 すると当然、剣はゴブリンの顔に叩き込まれた。

 少し身体を強張らせた鍬を持ったゴブリンは鍬を取り落とし、黒い煙に消えた。


「それじゃ、あとは君だけねっ!」


 【鋸斧】を力を込めて振るう。

 ゴブリンは鉄剣で受け止めようとした。


 鉄剣と【鋸斧】がかち合う。

 石の欠片が散り舞う。

 が、根本的な膂力の差でゴブリンは吹き飛ぶ。


「…ちょ、斧が負けるんだけど」


:傍から見ると圧倒的なのに草

:当の本人は斧の存続考えてハラハラしてて草


「斧が砕けたら嫌だァ!」


 ナナイが【鋸斧】をアイテムボックスに入れながら駆ける。


「オラァ!」


「GYA?!」


 ゴブリンが慌てて振った剣を避けて拳を叩き込む。

 ゴブリンはたたらを踏んで後退した。


:ステゴロ?!

:wwwww

:【投擲】は?!

:教えはどうした!


「あ、そうだった!」


 空間の歪み、アイテムボックスに手を突っこみ、片手斧を抜き出す。


「ふっとべ!!」


 【投擲】が発動し、光の尾を引きながら斧が飛ぶ。


「GYAAAA?!」


 斧がゴブリンの肩に命中し、ゴブリンが苦悶にあえぐ。

 間髪入れずに、アイテムボックスから【鋸斧】を引き抜く。


「ふんっ!!」


 上段から唐竹割りを試みる。

 だがゴブリンは足掻くことを辞めない。

 鉄剣でどうにか防御、そして【鋸斧】の欠片が舞う。


「ああああ?!」


:何と戦ってんの?

:草

:石が鉄に勝てるわけないだろ!


「いい加減にしろよ貴様ァ!!」


「GYA?!」


:ゴブリン「俺?!」

:斧の存亡をかけた戦いですから

:草


 【鋸斧】を放り投げ、片手斧を2本取り出し、両手に持つ。


「地味に硬いし…!」


 右手の斧を振りかぶり、叩きつける。


「GY、A?!」


 ふりをした。

 生き残りたい一心で掲げた鉄剣に斧は叩きつけられることはなかった。


「もう、落ちろ!!」


「GYA?!」


 逆手に持った、もう一方の斧を切り上げる。

 顎にその斧は叩き込まれ、ゴブリンの力が抜ける。


 手に持っていた剣が地面に転がり落ち、ゴブリンは煙となって消えた。


 後に残ったのは、ゴブリンの肩に刺さっていた片手斧、ピアスと【ゴブリンの耳】と【魔石】だ。


「…ふう、やっと倒せた…しぶと…」


 両手に持つ斧と地面に落ちた斧をアイテムボックスに収納したあと、耳と魔石も収納し、ピアスを手に取ってみる。


「…なんもわからん…」


:街なら鑑定屋がいるんやけどな

:それに一般プレイヤーでも名前ぐらいはわかるんやけどな

:【鑑定】育ててりゃ効果ぐらいならわかったんやけどな


「ええい!黙れ黙れ!」


 ピアスを着用する。


:なんで?

:ちょっと待って!

:どうして?


「え?なに?」


:危ないかも…


「…え?せっかく落ちたアクセサリーだよ?効果も名前もわからなくても…まぁ…見た目は…悪くない…かも?」


 ピアスは、鋭い牙を染色した野性味溢れる見た目だ。


:見た目は…うん。民族的だね?

:好きな人は好きよな

:そこじゃねえ!

:モンスタードロップのアクセサリーはステータス上昇だけじゃなくて、デメリットがあるものもある。

:力を上げてくれる代わりに素早さを下げる装備とかな


「…まあ、足は元々遅いし?」


:そうじゃなくて、そのアクセサリーが力のパラメータを下げることもあるってこと


「……それ困るかも」


:それだけじゃないぞ

:呪い


「……呪い?」

 

 呪いとは、モンスタードロップや、ダンジョンで産出されるアクセサリー、装備全般にかかっていることがある。

 効果は千差万別であり、装備することや触れることでも発動する。


:触っても装備してもやばいかもしれん

:なんか違和感ない?


「……呪い」


 言われてから、HP、MP、満腹値、水分値を確認する。

 

「…死には…しない?」


「きゅ」


 フードから肩に乗り移ったカーバンクルがピアスを弄る。


「大丈夫みたいだよ?ねー?」


「きゅ〜?」


:…ええ…

:いや、あの…

:まあ、ナナイがそう言うなら?


 よし、と言って【鋸斧】を取りに行こうとして動きを止めるナナイ。

 色々あって忘れていたが、宝箱があった。


「何入ってるんだろ〜!!」


 薄汚れて錆まみれの鉄の宝箱。


「おーぺん!」


 鉄の箱を開けると


「………ねえ!なんなの?!“呪いがかかってます!”って感じビンビンじゃん!……ねえ、呪いがこんなに分かりやすいならピアスの押し問答要らなかったんじゃない?」


:いや、あのですね?

:こんな…うん、こんな邪悪なオーラまとってる装備とか見たことないんで…

:オーラ出てない呪いの装備もあるんだよ…ほんとだよ?


 鉄の箱の中身は、邪悪な黒い蒸気が吹き出ている由来が分からない刺々しい黒い斧だった。


「…大丈夫かなこれ…」




 

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