9話
『おい、たかし。俺じゃなきゃ死んでたぞ』
なんで生きてるんだコイツ。
『ごめん、つい…』
『ったく、しょうがない奴だな』
もう一回撃ってやろうか?
『だが、熊はもう大丈夫だな』
『…そうだね』
『じゃ、魔王城に行くか』
え、早くない?
『え?魔王城に行けるの?』
『ああ、あの山の向こうだ』
近いな、魔王城。
『見学ツアーもやってるぞ』
観光地かよ。
でもそろそろ日も暮れるな…。
『暗くなってきたし明日の朝に出発しない?』
『そうだな、熊を5頭倒して疲れたからな』
君、逃げてただけだよね?
『よし、宿屋を探そうか!』
『おう!』
そう言うことになった。
テクテクテクテクガシャンガシャン。
宿屋についた。
『ごめんください』
『お客さんかな?』
『はい、そうです。一泊したいのですが』
『どうぞ、一泊500ゴールドです』
えーと、鎧が29500ゴールドだから。
ギリギリ足りるな。500ゴールドある。
『じゃあ、一泊で』
『かしこまりました』
『たかし、悪いな』
『えっ?』
『うん?俺の分まで出すだろ?』
『いや、僕500ゴールドしか無いし…』
『そっか、仕方ない。たかし、馬小屋はあっちだぞ』
『えっ?どういう意味?』
『察しが悪いな。野宿するなら馬小屋がいいぞ』
コイツ、僕のお金で泊まる気だ…
『いや、僕のお金だぞ?』
『俺も心苦しいんだ…』
初日だ、クーリングオフしよう。
『君はこの国に住んでいるんだから家があるだろう?』
『家なら差し押さえされたぞ』
『へ?城を壊した件で?』
『いや、ギャンブルに負けてな』
薄々感じていたが、コイツ駄目人間だ。
『君が馬小屋で寝れよ!』
『俺の熊での戦いぶりを忘れたのか?』
覚えてるよ。
だから言ってるんだろ?
あっ。
そう言えば熊からゴールドも出たよね?
『あれ?そう言えば熊から出たゴールドは?』
『あの場所にあるだろ?』
『取りに戻れば二人で泊まれるじゃん!!』
『お、そうだな!じゃ、先に部屋で待っとくぜ!』
…。
ガシャンガシャンズルズルズル…。
……なんとか宿屋に泊まることが出来た。




