6話
『これに着替えろ。鎧姿じゃ度胸がつかんからな』
麻の服を渡された。
……。
………着替えた。
『じゃ、やってみろ』
周りが気になって集中出来ない。
『しゃ、シャイニングセイバー』
長ネギを振り下ろしながらしどろもどろで言った。
人前でなんか出来ないよ…。
『おい、やる気あるのか?』
『すみません…』
『特技を使いたいんだろう?』
…いや、もう、使えなくていいです。
だけど門番の眼光の前ではそんなことは言えなかった。
『もう一度、大きな声で!』
……ヤケクソだ!!!
『シャイニングセイバー!!』
声を張り上げた。
『たかし!!もっと腹から声を出せ!!!』
名前を呼ぶなぁ!!!!
『ママー変な人いるよ!』
『しっ、見ちゃいけません』
…耳が熱い。助けて。
『シャイニングセイバァアア!!』
『足りんぞ、たかし!!!』
なんかこの気持ち、どっかで味わったことがある。
…そうだ、中学生の剣道の大会だ。
あの時、僕は。
『シャイニングセイバァアアアアアア!!!!!!』
と叫んで突きをしたな。
『シャイニングセイバァアアアアアア!!!!!!』
と叫ぶのは。アウト寄りのアウトだ。
だが、突きは…。
……………反則技だ!!!!!!
僕は小学生の時に剣道個人戦で優勝したことがある。
その実績を認められて中学生では大将で出た。
その人間が。
突きで反則負け。
あの時の審判の『マジか』って顔は忘れられない。
戻りたくなかった。仲間の元に。
……あの気持ちを忘れるな!!!!!
そうか、わかった。
つまり。
………。
僕に足りないものは!!!!
振り下ろすではなく突きだったんだ!!!
『シャイニングセイバァアアアアアア!!!!!!』
叫びながら僕は突きをした。
すると。
長ネギの先から光がほとばしる。
その光は直線上に伸び。
その先を吹き飛ばした。
『…やったじゃねえか』
頭にポンと手を置かれた。
師匠は僕を認めてくれた。
あれ、なんだろな。目から水が…。
『これで涙を拭けよ』
手拭いを渡してくれた。僕はそれを貰って鼻を噛む。
師匠…ありがとう。
その時だった。
『敵襲だ!出会え!!』
敵襲だと?今の僕なら特技が使える。熊でもなんでもこい!!!
そう思っていたら僕は城の兵士に囲まれた。
その奥から王様も見える。
『王様、僕特技が使えました!』
『そうか、あれを見ろ』
王様が指を差し出したその先は
……半壊した城だった。




