4話
心に傷を負ったまま、僕は武器屋をまた訪れた。
『いらっしゃい』
『30000ゴールドあります。これで装備を整えたいのですが』
『ちょっと待ってろ』
店主は奥に引っ込んだ。
戻ってくるまで壁の染みでも数えるか。
…なんか赤い染みが多いけど気にしないでおこう。
『おう、これだ』
店主が一式を揃えて持ってきた。
…。なんか見覚えがある。
『漆黒の板金鎧だ』
僕に何を求めてるんだ…。
『あの…これはちょっと…』
『いや、お前に似合うさ』
『他には…』
『いや、これをつけろ』
『えっ』
『売れなくてな、困ってるんだ』
在庫処分かよ。
…。
…押しに負けてしまった。
どうしようこれ。
29500ゴールドしたぞ…。
食べかけの長ネギを持った漆黒の鎧姿。
これ通報されないかな…。
『ちょっといいかな、この辺に鎧姿の不審者がいるという通報があってな。城まで来てくれる?』
通報されてた。
………。
『はぁ、勇者様。通報されるとは何事じゃ?』
城に連行されてまた王に会ってしまった。
『あの、武器屋に装備を買いに行ったらこれを勧められて…』
『ああ、そういう事じゃったか。ならば勇者様の格好を皆に周知しよう。それにしてもその格好、ププッ、いや似合っているぞ』
…今笑った?
知ってるか分からないが。
長ネギでも人は死ぬぞ?
『…。聞いてなかったんですが、僕は勇者として何をしたらいいんですか?』
『うむ、そうじゃなぁ。とりあえずこの国から出て旅をしてほしいのじゃ』
『旅?』
『うむ、魔王を倒してほしいからのう。準備が整うまではこの国でいいが』
『危なくないですか?』
『まあ、道中はモンスターもいるじゃろ。だが、勇者としての力を覚醒させれば倒せるはずじゃ。気になるなら一度町の外に出て、モンスターと戦ってみるが良かろう』
『分かりました』
王様の言う通り、町の外で一度戦ってみることにした。
すると。
そこには。
…熊がいた。




