12話
『おお、勇者たかしよ、魔王を倒したのか!!』
『はい、多分倒したと思います』
トールがそう言っていた。
倒してなくても僕に責任は無い。
『ワシの目に狂いは無かった。さすがたかしじゃ、もちろん借用書は不問とするぞ』
『ありがとうございます。あの、すみません。元の世界に戻る方法ってありますか?』
『ああ、帰還の魔法を使えば戻れるはずじゃ。まあ、宴を開くからの、楽しんでから帰ると良い』
終わったのか。
長かったな。
いや待て、まだ二日だ。
でも色々あったなぁ…。
50ゴールドで追い出された事。
連行された事。
人前で長ネギを振り回した事。
いや、待て。
…。
全然良い思い出がないぞ。
『はい…。ありがとうございます』
とりあえず宴が終わったら帰りたい…。
……。
………。
宴が終わった!!
『たかし、本当に帰るのか?』
トールがそう尋ねてきた。
うん。
特に思い出無いし。
『帰るよ。ダッシュで』
『そうか、またいつか会えると良いな』
それなりにトールにはお世話になったよな。
…。
微妙だ。
『…うん。会えると良いね』
『勇者様、準備ができましたぞ!!』
お、もうできたのか。
『たかし、最後だから言うぞ!!』
どうした?
『俺は左利きだ!!!』
ごめん、興味ない。
……。
ガシャンガシャン
僕は召喚陣の上に乗った。
『では勇者様、準備は良いですかな?』
『はい、お願いします』
『では、行きます』
『はい』
『たかーし。たかーし。たたたかーし!!』
『え、なんだその呪文…』
魔術師の方々が呪文を唱えると
僕の身体が徐々に消え始める。
たかしは消えてしまった。




