ゴルン教異変編 植物と神官魔法
人形使いの怪人は、教会の入り口まで辿り着いていた
操られ、声を出すことも出来ず、泣いて恐怖に震えるミルース村の子供達を連れて
亀の怪人の一撃を受けて、ぶっ飛ばされて、教会の入り口の扉の隣の外壁に叩きつけられ、魔装鎧を纏ったレイアがぐったり倒れていた
そして教会の入り口を塞ぐように、魔装銃を構えた翠の魔女が人形使いの怪人の前に対峙していた
「…確か、魔女の癖にシスターなんかやっているヤツだっけ?」
人形使いは意味深に笑いながら、翠の魔女の目の前で子供を一人、掴み上げてみせる
こうすれば、攻撃魔法は使えないだろ。と言わんばかりに
翠の魔女は表情は変えずに、しかしながらその雰囲気は、殺意に溢れていた
「…私も、この一帯の木や植物を通して、お前を見ていたからね。互いに紹介が省けてなによりね、ゲス野郎…!」
翠の魔女は植物魔法で、事の事態を把握しており、子供を利用する目の前の外道相手に普段は口にしない罵倒を言う程に、翠の魔女は憤慨していた
人形使いはつまらなそうな反応をし
「なんだ、村の人たちと違って絶望的な顔をせずに、そんな顔するの…実につまらないな」
しかし、人形使いは思い出したように手を叩き
「そうだな…お前も子供達の手で殺されれば、絶望的な顔になるか!」
人形使いは前にいる5名ほどの子供を、魔法の糸で操作し、刃物を構えさせる
子供達は泣きながら首を横に振り、拒もうとするが、どうにもならずに翠の魔女の周囲を囲み、血塗れの刃物向けてくる
「ハハハ!!子供達に危害を加えるなんてこと、出来なよねぇ!本当!村の連中も自分の子供だと思ったら何もできずに殺されていったなぁ!!」
自身の能力対しての絶対の自信があるのか、ベラベラとミルース村で子供達にさせたことを笑いながら喋る。下品に、挑発するかのように
同時にここまでの言動と行動に、翠の魔女は確信を得ていた
「…なるほど、やはり素人か…確かに人を操る人形魔法は大したものね。同時にこの人数をここまで正確に動かせるなんて…だけど、魔法使い相手…ましてや魔女相手に、魔法のネタを見せすぎね」
翠の魔女は指をならし、事前に張っていた魔方陣を自身と人形使い、そして子供達が範囲に入る
「術式展開、セイクリド・ディスペル」
魔方陣が神聖な輝き放つと、子供達の繋がれていた魔法の糸が解除され、子供達は倒れて刃物を落とす
「なにぃ!?」
まさか自身の糸の魔法が解除されるとは思わなかったのか、慌てる人形使い
人形使いが摘まみ上げている子供も刃物を落としており
「草木よ、力を貸して!術式展開、ヴィネウィップ!」
翠の魔女は間髪入れずに、周囲の草木に地面を通して魔力行き渡らせて、周囲の草木に蔦の鞭を作り出し
人形使いが掴んでいる子供を含み、子供達を鞭で捕まえ、周囲の木々に引き釣り込み、安全を確保した
(よし、これで…)
子供達を解放に成功し、安堵したのも束の間
人形使いが無数の糸を動かし始めたのを見え、翠の魔女は咄嗟に横に避けると、人形使いが操った無数の糸が横切り、教会の壁、出入り口を粉々に切って破壊したのだ
「…マジか…」
翠の魔女は、人をも操る魔法の糸の系統の能力を知ってはいるが、切断能力による攻撃手段を知っていても、ここまでの破壊力は聞いたことも、見たこともない為、目を見開いて驚く
そして人形使いは
「よくも…よくも僕の玩具を取り上げたなぁ!!!!!死んで詫びろぉぉぉ!!!」
翠の魔女に子供を取られたことが逆鱗に触れたらしく
(マズイ、我を忘れて周囲に当たり散らして攻撃されたら、草木に確保した子供達や、後ろにいるレイアを巻き込む…なら)
人形使いが、激しい動きをし、再び糸の攻撃をしようとした瞬間に翠の魔女は行動を起こし
「術式展開!スクエア・プロテクション!!」
人形使いを四方の防壁魔法で取り囲み、魔法の糸の高威力攻撃を封じた
「なんだと!?」
神官魔法に分類されるプロテクションは、様々な防御魔法において、最高峰の防御魔法である
それも魔女の魔力で形成されたプロテクションは並外れた強度であり、怪人の攻撃を防ぎきる
それだけじゃなく
「閉じ込めただと?バカめ!壊してくれる!」
人形使いの動きも封じ込めるが、いくら最高峰の防御魔法でも何度も怪人の攻撃を防げれない上に
「だいだい、僕を閉じ込めてどうする?お前も攻撃出来ないじゃないか!バカめ!」
「バカはお前だ」
翠の魔女が指を鳴らし、人形使いの真下の地面から太い木の根が複数、急激に生え、人形使いを串刺しにする
「ぐがぁ!?」
頭部含めて、全身串刺しにされた人形使い。例え妖魔でもあっても致命傷になってもおかしく無い筈であったが、怪人は死なない
(カノンの言う通り、怪人形態には明確な弱点が無いのか?)
カノンの話、推測では怪人形態の相手は再生能力が間に合わない致命傷を与える以外の有効打が今の所無いのであった
翠の魔女は、そのまま串刺しになっている人形使いをバラバラにしてやろうと木の根動かそうとした
しかし、翠の魔女は魔装銃を落とし、体が動かなくなっていた
「な…!?まさか…!?」
油断をしているつもりは無かった、しかし、翠の魔女は自身の体に魔法の糸が付けられることに気付く、気付いてしまう
その翠の魔女の驚きの表情に人形使いは串刺しされまま、笑い出し
「くくく…そうか、地面を通すという手があったか…」
翠の魔女が僅かな隙、弱点が無いということを認識している間に人形使いは地面を通してプロテクションの死角を突いて、翠の魔女に糸をくぐりつけていたのだ
人形使いが指を動かすと、翠の魔女の左腕が関節とは反対方向に急激に動き
「ぐ!?がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
左腕をへし折られ、脂汗出し、悲鳴を上げてしまう
その痛みで防御魔法は解け、串刺ししていた根も人形使いが力づくで引きちぎりながら、そして体を再生させながら痛みに悶える翠の魔女の近くに近づき、さらに魔法の糸を括り付け、翠の魔女を体を完全に支配する
「簡単には殺しはしない、まずは案内してもらおうか」
アヤメは翠の魔女から、神官魔法と植物魔法を学び、習得している
当然、草木を通して状況把握する能力もある
そう、アヤメも見て聞いてた。教会の祭壇の地下室で子供達を引き連れながら
怪人が3人いること
石像の盾のせいで、ユキナが苦戦していること
翠の魔女が囚われたこと
「アヤメお姉ちゃん…」
「こわいよぉ…」
外からのただらなぬ物音に、子供達怯えていた
アヤメは翠の魔女の状況を把握していて、気持ち的にはそれどころじゃない。今すぐにも駆けつけたい
しかし、翠の魔女にここを任され、そして子供を守ることを言いつけられていた。歯を食いしばり、衝動を抑え込む
「…大丈夫。男の子なんだから、しっかりしないといけないよ?カケル君?」
アヤメは孤児の中でもやんちゃなカケルの頭を撫でて、励ます
「みんな、もう少し後ろの方に寄ってくれるかな?大丈夫、お姉ちゃんと翠様がなんとかするから」
アヤメは子供達を優しく諭し、地下室のさらに後ろの方に寄せると
「術式展開、ガーデンウォール」
右手に魔装銃を変形させたガントレットを通して、植物魔法による草木の壁を作り、子供達とアヤメ自身を分断する
「お姉ちゃん!」
「カケル君!ミリィや、みんなをお願い!」
準備し終わったタイミングで、地下室の出入り口から轟音と共に扉が破壊される
そこに現れたのは人形使いの怪人、そして
「…翠様…!」
人形使いに操られ、抵抗しようにも魔女の魔力ですらどうにもならない状況に陥っている翠の魔女であった
「アヤメ…アイリス…!」
「はじめましてだな?アヤメ・クローズ」
翠の魔女はアヤメとアイリスの二人の名を思わず言い
そしてウロボロスの怪人と生命波動の使い手、ここに対峙する




