↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/66

ゴルン教異変編 人形使いの怪人/撃ち抜く

満月が満ち、月明かりが照らす教会と孤児院の道のり

聖剣のレオと魔王軍が扱う魔装鎧を纏ったレイアが敵を待ち構えていた

レオは左手に聖剣ムーンダイト、右腕に魔装銃を変形させたバックラーをつけていた


「ユキナ、大丈夫なの?利き手がまともに動かないんじゃ…」


レオの右手は翠の魔女とアヤメの早急の処置と、レオ自身の高い免疫力で右手が満足に動かせない程度に治まってはいる


「心配無用ですよ。腕が動くなら盾を構えられるし、薬を打ったので数時間で麻痺は収まるみたいです。それにレイア先輩」


レオは軽やかにムーンダイトを振ってみせた


「私、両利きなんですよ。じゃなければ、二刀流なんて出来ませんよ」

「それもそうか…」


二人は教会の方を見る


「結局、子供達を巻き込むことになった…」

「まあ、教会の地下室なら安全だと信じるしかない。ユキナ」


翠の魔女とアヤメは、子供達を連れて教会の地下室に避難している。生命のクラブの魔装鎧がある礼拝堂の真下の地下。仮にレオとレイアが敗れたとしても、時間稼ぎにはなる

ユキナは前方に何かを感じ、身構え、レイアも魔装銃を大砲に変える

道の両端が木々に囲まれている為、教会と孤児院までの道は正面か木々を縫って進むしかない。しかし、それは真正面から来た


「なにか来る…なんだ、このこもっているような声?」


レオとレイアが視界に映るのは、小さな人影達であった。そしてそれを二人が認識できる距離まで近づいた瞬間、二人は血の気が引いた


「な…!?」「な、なに…こ、これ…!?」


二人が言葉を失う光景。それは半獣人や獣人の子供達、ミルース村の子供達であった

その姿は余りにも異様極まりなく、子供達は全身返り血の血塗れであり、子供達の手には短い刃物が握らていた…否、不自然にくっついていた

さらに子供達が近づいてくると、こもった声の理由が判明する


「魔力の糸で口を縫われている!?」


レイアの言う通り、口を魔力の糸に縫われ、言葉を発することが出来ず、子供達はこもった悲鳴と泣きながら教会に向かっていった

向かわされていた


「おや?やはり十二騎士がこちらにも配備していましたか。よりにもよって、聖剣のレオ様とは」


子供達集団の背後から、一人の男が現れる。それは手には複数の魔力の糸が子供達に繋がっており、明らかにこの男が操っているのは明らかな状況

そしてユキナとレイアは、直接的な面識は無かったが、その男に見覚えがあった。百年祭の騒動の際、グランとリーノが遭遇したウロボロスの関係者の一人


「確か…ドドーンって言われていた奴…!」「やはりウロボロスか!」


レオとレイアは、武器をドドーンの方向に向ける

ドドーンは不敵な笑みを浮かべ、糸を引っ張り、子供達の一人を自分のところに近づけ、子供の襟をつかみ持ち上げ


「いいのかな?子供達を巻き込むことになるが?」


子供を盾にしてきたのであった。子供は泣くだけで、抵抗ももがくことも出来ない


「外道が…!」「卑怯者め…!」


レオとレイアは、迂闊に動けない。いくらなんでも無関係、ましてや子供を巻き込めない

その二人の様子に、ドドーンは落胆する。思っていた反応と違うと言わんばかりに顔をする


「違うなぁ…好戦的な者は、なんでこう…もっと恐怖に染まるということを知らないというか」


ドドーンは不敵な笑みを、思い出すかのように笑みを浮かべる


「それに比べて、この村の大人達の絶望に満ちた顔は実によかった…あれは傑作だ…ククク…」


笑い出してきたドドーンに対し、レイアは困惑しつつも、大砲のドドーンに向け続ける

レオは慣れていたのか、ドドーンに会話を冷静に聞き取り、疑問を感じた。なぜ子供達だけをここに連れてきているのか

そしてドドーンの会話に、最悪の予感を感じていた。もはや、教会と孤児院だけの問題ではない可能性を思い浮かべていた


「…まさか、お前!ミルース村の大人達をどうした…!まさか…」

「いや?僕は何もしていないよ?僕は誰も殺していないよ?」


ドドーンは否定する。しかし彼はニヤつきながら、もっとおぞましいことを言う


「殺したのは…この子達だよ?」


ドドーンは持ち上げている子供の頬を、気色悪く触りながら言い切った

レオとレイアは、理解に時間がかかった。というより、理解を本能が拒んだというべきか

操られ、刃物を持たされ、血塗れの返り血を浴びた子供。そしてドドーンの言葉

理解した瞬間、二人は背筋が凍る


「まさか…!?」「この子達に…!?」


二人の慌て、そしてドン引きしているリアクションに、ドドーンは持ちあがていた子供を乱暴に投げ捨て、手を叩いて笑う


「大当たり!僕は殺してはいない!何故ならこの子達に自分の親を、大人達を刺し殺して貰ったんだからね!!」


ドドーンはお腹を抱えて、笑い転がる


「サイコだったよ!動けなくなった大人達が、操られた我が子に刺されて殺されている様は!恐怖と絶望に染まったあの獣のモドキの顔!!絶望に満ちた声!!あれは傑作だぁ!!」


笑いが止まらないドドーンは立ち上がり、二人の方を向くと、三日月状の斬撃波飛んできており、ドドーンの首を撥ね飛ばした

子供を盾にしていなかった隙だらけのドドーンにレオは、首を狙い斬ったのだ

フルヘルムの仮面で隠れてはいるが、傍から見てもレオは怒りに満ちているのが分かる程に魔力を周囲に出し


「ユ、ユキナ…?」


隣にいたレイアは思わずレオから一歩後ろに下がってしまう程であり


(知ってはいたけど、なんて魔力出力なのよユキナ!?とても人間が発する魔力じゃない)


レオの魔力の強さを、レイアは間近で感じたのは初めてであった

首を飛ばされたドドーンであったが、倒れることは無く

ドドーンの首から、不気味に、生えるように頭が元通りに再生した


「酷いなぁ…本当に酷いなぁ!マグス達がお前を殺すなとは言っていたけど」


ドドーンは禍々しい魔力を体中に纏い、怪人に変身する


「これが怪人形態…!人形使いの魔法を行使する怪人…!」「人形使いの…怪人…!」


レイアとレオは怪人形態に変身したドドーンこと、人形使いの怪人に身構え、警戒する

人形使いの怪人は手を上げて


「相応に痛い目には遭ってもらおうか!」


人形使いの怪人は手を振り上げて、何かの合図を送った

レオとレイアの両側面、森を突っ切って異形の何者かが襲い掛かかってきた

レオは反応すると、それは剣同士がぶつかる金属音、レオは後ろに下がり

レイアは咄嗟に後ろに避けた瞬間、何かが振り降ろされ、レイアが避ける前に立っていた地面に大穴が開いた


「新手の怪人!?」「それも…2体!?」


レオを襲ったのは剣と盾を持った、剣士の怪人

レイアに襲い掛かってきたのは、それは3mもある巨体、背中はまるで亀の甲羅のようなものであり、左手に大きな盾を持った、亀の怪人であった


「おお!悪よ!正義の剣を受けるがよい!」


剣士の怪人は、その異形な見た目に見合わないセリフを吐きながら、レオをに果敢に剣で挑む

剣の怪人はレイピアのような剣に対し、レオの持つムーンダイトは長剣の聖剣

同じ技量ならともかく、剣士の怪人の剣の腕は、到底レオに及ばない。連続で果敢に突いてくる剣士の怪人の剣技をあっさりと見抜き、レイピアの突きの軌道を弾き


「獲った!」


剣士の怪人の胴体を横から切り払える状態であった。剣士の怪人も咄嗟に盾で身を守るが、魔力を込めたムーンダイトとレオの剣なら、盾ごと両断出来る。レオはそう確信していた


(こんなの!まとめて叩き切って…な!?)


レオは横から振った剣の軌道を無理矢理変えて、空振りをする。その隙を逃さずに剣士の怪人は


「チェストォォォ!!正義の一撃を受けるがよい!!」


隙だらけのレオの胴体にレイピアの突きをお見舞いし、まともに受けたレオは数メートルふっ飛ばされて、木々をなぎ倒した


「ユキナ!?」


レイアは剣士の怪人に大砲を向けるが


「おっと?お前の相手はこのオレ様だぁ!」


亀の怪人の横から振り被った拳を、後ろに大きく避けて避け


「ちぃ!なら!」


大砲を亀の怪人に向けて、撃とうとする。亀の怪人も大きな盾を構えて防御態勢に入る


「そんなもの!撃ち抜いてやる!」


大砲を撃とうしたレイアに


「ダメ!レイア先輩!その盾も攻撃したらダメ!!」


レオが大声でレイアを止める


「人が…石化した魔族の人がその盾に付いている!!」

「な…!?」


レオの言葉で、レイアは亀の怪人の盾を見る。それは石像が付いた盾であったが、その石像の姿にレイアは見覚えがあり、驚愕する


「な!?串焼きの女将さんの所の娘!?」


それは、百年祭の騒動でマグスやドドーンに操られ、蜘蛛の怪人及び、蜘蛛の妖魔にさせられた、串焼きの女店主。その娘の一人であった

聖王都魔法学校の生徒、教員達から好評だった串焼き屋。勿論、レイアもその店と店主、そしてその看板娘の二人を知っている。そう、二人である

看板娘と評判の美人は、石化され、亀の怪人の盾と一体化しており

そして「その盾も」と言ったレオ

レイアは剣の怪人の盾もよく見て確認した。剣の怪人の盾にも、串焼きの屋のもう一人の看板娘が石化して盾と一体化していた

レオが直前にこのことに気付き、剣の怪人の盾を切れずに、空振りした真相であった


「なんてことを…!」

「余所見は良くないな!嬢ちゃん!!」


亀の怪人の大振りの拳をまともに受けたレイアは、数百メートル先の教会の方向にぶっ飛ばされた


「レイア先輩!」「受けろ!正義の一撃を!」


レオはレイアを心配する暇もなく、剣士の怪人の攻撃をかわすが、さらに亀の怪人に剛腕が来る

レオは盾で亀の怪人の攻撃を、剣士の怪人の猛攻を聖剣で防いでいた


「く…!」(マズイ!迂闊な攻撃が出来ない!石化しているとはいえ、もし生きているんだとしたら…)


レオは二体の怪人の猛攻を、反撃することが出来ずに、防戦に徹するしかなかった

その無様な様子を見ていた人形使いの怪人は


「アハハハハ!!聖剣の勇者が、こうも容易い!君の相手はその二人にまかせるとして、僕は例のシスターを迎えに行かなければならないからねぇ…なにせ、御使いとして僕がだいぶ前に送り込んだ娘が、例のシスターを刺しているだろうからねぇ!」


ニ体の怪人に足止めされたレオは、泣き続ける子供達を魔法の糸で引き連れ、人形使いの怪人は教会の方向に向かって行くのを、見過ごすしか無く


「待て!クソ!このぉ!…卑怯者!!!逃げるなぁぁぁぁーーーー!!!!!」


ニ体の怪人の猛攻を防ぎながら、レオは人形使いの怪人に叫ぶ

その叫びさえ、人形使いの怪人は嘲笑いながらな、歩き、レオの視界から遠ざかっていった




ミルース村でレオとレイアが、怪人達と対峙している間、メルデも地獄絵図となっていった

石像復活という名の、クローンにすり替えられた住人が妖魔に変身し、暴れ回り、街は妖魔の変身反動、放つプラズマの電撃によって街は火の海になり、悲鳴と逃げ惑う人々、そして変身に巻き込まれた死体が溢れていた

魔装鎧を纏った魔王の軍勢が、人々の救出、魔王軍のエアライダー部隊で飛んでいる妖魔達の迎撃していた

一方、グラン達は隙間の怪人と7体の妖魔獣を街から離れた鉱山地帯に誘い込んで、激しい空中戦を繰り広げていた


『ちぃ…ライブラやユキナが戦った妖魔獣とは別物か…!遥かに強い…!』


グランとユーゴは、妖魔獣を引きつけ

リーノは隙間の怪人を相手をしていた。謎の回避手段を用いてくる隙間の怪人を、リーノは戦いながら解析していた

ユーゴ達は、想定以上の戦闘力の妖魔獣に苦戦を強いられていた

鉱山地帯を低空で、障害物を利用しながら戦うが、妖魔獣はユーゴの動き…聖剣のゴートの剣筋を読まれおり、防がれるか、避けられ


『ぐ…!また読まれただと?』


鋭く、破壊力のある妖魔獣の爪の攻撃を、エクスカリバーでどうにか受け流していた。しかし、ユーゴはただ受け流しただけで終わらず


『術式展開(オレの必殺技)!頭突きだぁ!』


密接した距離からの頭突きの攻撃も、妖魔獣は読んでいたかのように避けられ、ユーゴとグランは確信する


「ユーゴ様、この妖魔獣達…まさか」

『ああ、お前が思っている通りだグラン。あの妖魔獣、取り込んだライブラの配下達の記憶や経験も取り込んでいやがる…!オレの攻撃が、通りで通り辛い筈だ。ライブラの配下達とは、散々訓練に付き合ってもらっていたからな』


口には出さないものの、グランはわかっていた。ユーゴは躊躇っていることを

単純に動きを読まれた程度で、ユーゴの剣技はそう簡単に避けられるものでは無い。というより、ユーゴの勢い任せの戦い方が出来ていないのが、証拠であった

ユーゴの口ぶり、そして纏っているゴートの魔装鎧越しに、ライブラの配下達と情を感じていた。殺したくない、戦いたくないという思いが伝わっていた

かつての仲間を斬り殺すのは、慣れていてもそう簡単ではない

グランは、覚悟を決めていた

妖魔獣の戦い方は、ライブラの配下達の記憶と経験もあったのか、戦略的な戦い方をしてくる

後方でプラズマレーザーを放ち、ユーゴが避ける場所に、他の妖魔獣が近接攻撃をし、右手に持ったエクスカリバーを弾かれ、ユーゴは大きな隙を作ってしまい


『しまった…!』


ガラ空きの胴体に、妖魔獣の爪が襲い掛かろうとしてた

それはユーゴの意思ではなく、グランの意思で左手に魔装銃を妖魔獣に向け


『グラン!?』「術式展開(シーケンス)、マグナムバレットモード…!」


圧縮した魔力、ビームの弾を超高速のジャイロ回転をかけて、妖魔獣に撃ち放った。過剰な威力の反動を利用して、続けて2発

目の前で爪で襲い掛かろう妖魔獣と、その後ろにいたのと、遠距離からプラズマレーザーを放っていた妖魔獣の計3体を、グランは正確に、一撃で心臓部を撃ち抜いていた。空中で体勢を崩しているのにも関わらずに

心臓を撃ち抜かれた妖魔獣は、断末魔を上げながら爆散して散る

体勢を立て直し、右手にエクスカリバー、左手に魔装銃を持ちながら、上昇する


『グラン…お前…』


ユーゴは色々と言いたかったが、言葉を飲み込み


『悪いな、お前に人殺しをさせる気はなかったんだがな』

「お気遣いはありがたいですが、戦いを選んだ以上、オレは迷いません…たとえ、殺人魔法を使ってでも」


ユーゴはグランの行動と言葉に、腹を括る


『そうだな、散々同胞を殺したオレが迷ってる場合じゃなかったな』


右手のエクスカリバー、左手の魔装銃を構え


『左手は任せたぞ、相棒』

「任せてください、ユーゴ様…!」

補足1

レイアの使用している魔装鎧は魔王軍の正式採用品であり、空戦能力は有していない

セバスチャンに頼み込んで持ち込んできた。なお、ライブラはこのことは知らない

補足2

マグナムバレットは殺人魔法に該当する

本来、軍用や治安維持組織以外、一般に出回っている魔装具、魔装銃は基本的にはリミッターや構造上、過剰威力の攻撃魔法や殺人魔法を行使出来ない上に、リミッターを解除するのも容易では無く、高度な専門知識が必要である

しかし、グラン、ユキナ、レイアが妖魔やウロボロスを相手にする前提にしている為、違法改造の魔装銃を使用しており、ガッツリ法律違反である

補足3

妖魔や妖魔獣、怪人が爆散する原因は、プラズマエネルギーの暴走によるものである

致命傷や心臓などの弱点を破壊されると、プラズマエネルギーが行き場を失い、エネルギーの暴走が起きて爆発を起こしてしまう為である

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。