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ゴルン教異変編 隙間の怪人/毒刃に落ちる

『変身!!』


グランを抱えて、ゴルン教の地下施設から地上の上空に離脱したユーゴはグランにゴートの魔装鎧を纏わせる


『よーし、やっぱ体があるとしっくりくる』


グランを纏ったユーゴは、体の感触を確かめるように動かす


『グラン!ユーゴ様!…無事そうね。時空魔法の反応があったから突撃させたけど…叔父上は?』


遠隔操作のアリエスの魔装鎧で近寄って、少し安堵するリーノはカノンがいないことに気づき


「カノン先生は吸い込まれた…ワームホールに…」


吸い込まれた!ワームホールの単語でリーノはカノンの状況を察した


『…亜空間に吸い込まれたか…叔父上なら単独で何とかなるだろうけど、時間がかかるか』


リーノはカノンはどうにかなるだろうと安心した反面、カノンが戦線から復帰するのは時間がかかるという悪い知らせであった


『…グラン、手短に何があったか話せ。オレもよくは見ていないが、あの地下の施設にあった培養槽ってヤツか?この街の住人らしいのが見えたが…ありゃ、なんだ』


高速で動き周りながらも、ユーゴは培養槽の中身が昨日の酒場で見たことがある顔をだと見えていた

グランは考えをまとめ


「…カノン先生曰く、複製のホムンクルス、クローン…彼らの体にウロボロスカードが仕込まれている!」

『なんですって!?』


リーノは想定していた、遥かに最悪な状況に驚愕していた。リーノの反応からヤバイ状況であると理解したユーゴ


『…詳しく聞きたいのは山々だが、どうやらそうもいかないようだ!二人とも、構えろ!弾幕が来る!』


ユーゴはエクスカリバーを構え、リーノは魔装銃を


『変形魔法、青龍偃月刀』


刃に龍の装飾がされた偃月刀に変えた


地上のゴルン教の本拠地の建造物を貫通させながら、ユーゴ達の上空の方向にワームシュートであろうビームの弾幕が襲いかかる

リーノは弾幕を避け、ユーゴはビームを切り払う

弾幕が止んだと思いきや、今度はユーゴの縦横無尽の方向からビームが飛んでくる


『ライブラのヤツと同じ系統の魔法だから、やることも似たり寄ったりだな!』


ユーゴは縦横無尽から来るビームを切り払いと最小限の動きで避けきり


『そこだな!』


ユーゴは背面の死角に向けて回転斬りを叩き込む

それは弾幕を仕掛けつつ、空間移動でユーゴの背後で攻撃しようとした隙間の怪人に先手を打つユーゴ

胴体を確実に両断する剣筋であった筈だった

隙間の怪人は切られる寸前に空間移動をし


「うわぁ!?ザコザコの癖に、あぶないなことするんだ…アハハハハ!!」


避けた隙間の怪人は高笑いをする

しかしユーゴとグランはそれを読んでいた。おそらく当たらないであろうと、だからこそ二撃目は相手が読めないであろう一撃

隙間の怪人の空間移動する先を読んでいたリーノは、気配遮断し、気付かれないように偃月刀を隙間の怪人の背後に振りかぶった


『な…!?』


流石のリーノも驚いた。気付かれた筈がない、そんな素振りもなかった。それにも関わらずに隙間の怪人は空間移動でまたよけたのだ


「アハハハハハ!!アヒヒヒィィィ!!どこ狙ってんの!?ザッッッーーーーーーコ!!!」


反撃と言わんばかりに、ワームシュートによる弾幕が二人に向けて撃ち込まれる

リーノとユーゴは弾幕をかわしつつも、おかしいと思っていた

ユーゴは避けつつも、エクスカリバーに魔力を込め


『術式展開(オレの必殺技)!!フォトンサーキュラー!!』


光輪の斬撃波をユーゴは隙間の怪人に向けて放つ、直線的に隙間の怪人に向けて飛ぶ光輪は、当たり前のように空間移動で避けられる


「どこ狙ってんの!ザーコ!!」


ユーゴを煽る怪人であったが、外した光輪はブーメランのように動きを変え、怪人の背後に向かって飛ぶが、それも空間移動で避けられる


「アヒャァァァ!!バッカじゃないの!!」


ここまで隙間の怪人に一度も攻撃が当たらない。いくら空間移動を使うとしても死角からの、ましてや気配を消した一撃や、初見の変化球気味の攻撃を難なく避けるのはおかしいとユーゴ達は感じていた

特にユーゴはライブラを相手にしているので、この手の手合いの戦いは慣れている


『いくら空間移動を使うとしても、ライブラの奴でもここまでは避けることは出来ん』

『同感ですユーゴ様。叔父上でも気配と魔力を遮断した攻撃の対処は完璧には出来ない。にもかかわらず、あのメスガキは完璧にこちらの動きを読んで避けている…』


リーノも困惑する程、隙間の怪人の回避行動の原理がわからずにいたのだ

しかも、事態は一刻も争う事態でもある


「この怪人に構っている余裕が無い…!メルデの住人達が危ない…!」

『そうねグラン…ライブラ様に事態を通信で伝えたが…』


その時であった。下のメルデの街に、爆音が上空にいる3人にも聞こえた、聞こえてしまったのだ

事態は既に、何もかもが手遅れだった事実を突きつける音


「今の音…まさか!?」


グランが街の方向を見る、火が上がり、電撃が飛び散る風景が見えていた

3人の魔装鎧に通信が入る


『グラン、リーノ、ユーゴ。住人が妖魔に変身した。こっちで対処をする。お前らは何が何でもそこにいる怪人を倒せ』


グランとリーノは、ライブラの言葉が上手く理解できない程に、今の事態を受け入れきれていなかった

事態がもはや最悪な状況になっている、なってしまったことに受け入れきれない

その二人に対し、ユーゴは冷静に


『…そっちは任せる魔王。お前の軍なら何とかなるだろ?オレ達は目の前の怪人をオレ達でぶった斬ってるやる』


ユーゴはライブラにメルデの街を任せ、怪人の相手をすることに全力を出す


『グラン、リーノ。こうなった以上慌てても仕方がない、何が何でもコイツを倒すぞ』

「ですがユーゴ様!街の人たちが…!」

『魔王と、奴の軍を信じるしかあるまい…オレ達が出来ることは、もうそれしかない』


ユーゴは優しい口調であるものの、お前らの意見を言わせんばかりのグランとリーノに感じされる程の雰囲気も出した

ユーゴとリーノは怪人に向けて身構える。意を決した3人対して、隙間の怪人は


「アハハハハハハ!!!!!みーんな、ザコザコ妖魔になっちゃったぁ!!アヒャァァァ!」


腹を抱えて笑っていた

話には聞いてはいた、しかし目の当たりにするとこの不気味な狂人に、困惑や恐怖を感じてしまう

それは妖魔大戦を潜り抜けた歴戦のユーゴでも例外では無く、言う言葉が無かった

そして隙間の怪人は思い出したかのように


「そうだ!私の自慢の玩具を出してあげる!!」

『玩具…だと?』


怪人は指を鳴らし、自身の周囲に7つのワームホールから、7体のグリズリーをベースにしたであろう異質な妖魔獣を出す、しかし腹部には何かが張り付いてた

グラン、ユーゴ、リーノはそれを見てしまった、最初こそ理解が追い付かなった。しかし認識してしまった


「人!?…魔族の人が腹部に!?」


それはグランが目を背けたくなるような姿であった

妖魔獣の腹部に四肢を取り込まれている、融合している形で拘束され、歯は全て抜かれ、目も抉り出され、耳も削り取られ、暴行を受けた痛々しい跡が体中にある、見るも無残な姿の魔族たちの姿であった


『…なんておぞましいことを…まさか、この魔族達は…』


リーノの推測、そしてライブラが最も恐れていた事態、それは想像を絶した形であった


『ライブラの配下達だ…何人か見覚えがある…カール、メーリー、カボンカ…』


それは、消息不明になっていたライブラの配下達であることをユーゴは気付いてしまった

ユーゴのエクスカリバーを握る手を強くなり、エクスカリバーの剣先を怪人に向ける


『貴様…捕まえた連中を弄びやがったな』

「ギャハハハハ!!ザーコのお兄さんはビビってる?なら、もっともっともっと!面白いのを見せてあげる」


怪人は指を鳴らすと、妖魔獣と取り込まれた魔族達が強い魔力の反応を示す。魔族達は言葉にもならない断末魔と悲鳴をあげる

そして妖魔獣と魔族が完全に融合し、一回り大きく、さらに禍々しい姿の妖魔獣になった


「ギャハハハハハハ!!アハハハハハハ!!!」


隙間の怪人の不快な高笑いが、さらなる地獄の戦いのゴングであった




メルデの街の事態を知らず、孤児院の子供達を寝かしつけていた、ユキナ、アヤメ、レイアの3人は居間に集まっていた


「今頃、カノン先生とグランはゴルン教の施設に潜り込んでる頃かな?」

「時間的にそうらしいけどね、ユキナ…しかし、カノン先生…というより、サイク家の魔法使いって底知れないわね…どういう仕組み魔法なのか、詳しく聞きたいわね」


レイアの目線は、椅子にもたれるように動かないリーノの姿の式神の姿であった


「この娘がサイク家の現当主で…そして星読みのアリエスの後継者、図書館のアリエスか…当人は今は聖王都にいるのよね?とんでもない超長距離通信魔法を使っているというか…私でもこんな分身魔法の系統は無理よ」


魔法使いとして、感服してしまうほどにカノンとリーノの式神魔法は高難易度の技術であった


「こう見ると、本当にお人形のような綺麗…リーノさん」


アヤメは覗き込むように帽子を被っている式神リーノの顔を見る。同性から見ても、リーノは綺麗と感じされるような容姿であった


「ここまで近づいても起きもしないね」

「どうやら、あっちにリソースを割いているから、動かしていないらしいけどね」


一応、ユキナにも作戦は伝わっている。万が一動きがあれば、すぐにリーノが知らせるようにしている手筈であった


「ゴルン教…以前、あちらの教祖様が私をゴルン教に誘いに来たことがありました…断りましたが…」

「そんな過激な事をするような人物ではないって感じ?私も教祖の資料を見たけど、確かにそんな雰囲気は無いというか…」


レイアは魔王軍が偵察した資料で、ゴルン教の教祖の姿を知っている。到底人を騙すとかするようなものに見えないようであったレイアだが、アヤメは首を横に振り


「いえ…あの人から感じたのは、何か、別のもの…まるで私を救いに来た…そんな雰囲気、そういう言動が見え透ていたというべきでしょうか?私は、あの人を信用できないと初対面で思ったんです」

「へぇ?確かに、おじい様の配下達が、未だに施設に侵入して、帰ってきていない時点と、蘇生の術とかいろいろキナくさい部分はあるからねぇ…大した直感じゃない、アヤメ」


この場にいる者は教祖の本質は気付いていない。にも関わらず、アヤメは何かを勘付いてた、この獣人や半獣人の村出身故か

3人は事態が動き出すことに備えて、リーノの知らせを待っていた所、居間に翠の魔女が袋を持って、3人の子供達と一緒に来た。その中にはミリィもいた


「あれ、翠様にみんなどうしたんですか?」


アヤメに問われた、翠の魔女はバツが悪そうに


「いーや…あなた達に紅茶でも入れてあげようと思ったら、この子達も起きちゃってね?ついでに一緒にってね」

「なるほど、わかりました。手伝います翠様。ユキナとレイア様は、座ったままでいいです」


翠の魔女とアヤメは居間に併設してあるキッチンで水を温める。その時であった、式神のリーノが目を開き


「ゴルン教は黒!!敵よ!!みんな備えて!」


式神のリーノが手短に大声で喋ると、式神が消滅し、姿を消す。怪人と戦う為に全リソースをメルデの方に向けた為である

一瞬、ほぼ全員動きが止まる。そして次の動きをしようとしたその僅かな隙であった

ミリィはキッチンにいるアヤメに向かい、刃物を取り出していた。そしてその凶刃がアヤメに刺さろうとした瞬間


「ミリィ!!!」


ユキナがミリィの刃物の刃の部分を持って、そのまま取り上げ、ミリィに平手打ちをして倒した

ユキナはミリィに対して視界に映る間、ずっと警戒、観察していた。リーノの警告を聞いてもミリィから目を離さなかったからこそ、動けた


「ミリィ!?」「ユキナ!?」「ちょ!?ユキナ!?」


翠の魔女、アヤメ、レイアもすぐには事態を把握できなかったが、ユキナが持っている刃物を見て、レイアはすぐにミリィを取り押さえた


「は、離して!!」「離すものか!」


暴れるミリィであったが、体格差もある故に、動けずにいた

咄嗟とは言え、刃の部分を持ったユキナに


「ユキナ!?大丈夫!?」

「大丈夫大丈夫、アヤメ。私の手はこんな刃物程度じゃ…っ!?」


ユキナは刃物を床に投げ捨てた。ユキナの手のひらは刃物程度では切れていなかった、しかし、手のひらに付着したものはそうはいかなかった。ユキナの手のひらは爛れるはじめていた


「手が…右手が上手く、動かない…!」

「見せて!」


翠の魔女がユキナの手のひらと、床に落とした刃物を見て勘付く


「アヤメ!私の部屋から医療魔法薬を!」「は、はい!」


翠の魔女はユキナの手のひらに触れないように、魔力を込める


「これは触れただけでも効力を発揮する神経毒よ。薬を使っても、数日はその右手は動かすのもままならないわ…ユキナ、あなたも体に魔力を右手に集中させて、毒が全身に回るのを止めないと」

「やってます…まさか、毒の刃を用いてくるなんて…私でよかったかも」


ユキナと翠の魔女が毒に対応している間、レイアはミリィを取り押さえながら、尋問する


「ミリィ!あなた、アヤメを狙ったわね!一体何のつもり!」

「離して!離してよぉ!!アヤメお姉ちゃんを渡さないと、パパとママが帰ってこないんだ!」


ミリィの必死の訴えに、本気でアヤメを狙い、そしてただならぬ事情があるようであった

混乱の中、さらに居間中にサイレンが鳴り響いた


「この教会付近に警報の魔方陣が、何かに反応している!」

「…最悪な状況で、最悪なタイミングで来た…!」


二刀流の聖剣の勇者は、右手を使えない状況に陥った


グランがゴートの魔装鎧纏っている状態

二人羽織に近い状態であるが、基本的にはユーゴが主導で動いて、必要に応じてグランの意思でも動かせる状態

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