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ゴルン教異変編 プリズムミラー

「ようこそ、お待ちしておりました。カノン様、グラン様」


不気味に輝く培養槽というおぞましい背景に、ゴルン教の教祖はコチラに敵意を向けずにカノン達に近づく、そもそも敵意や戦闘の意思の雰囲気をカノンとグランには感じられなかった


「お話はマグス様から聞いております。こちらからお迎えに上がるべきでしたのに、わざわざ来ていただき恐縮です」


侵入してきたカノン達に対し、教祖は優しく微笑み、歓迎していた

聖女のような笑顔とただずまいで歓迎してくる教祖に対して、呆気に取られることは無く、余りにも不気味過ぎて修羅場をくぐり抜けてきたカノンですら背筋が凍るようなものを感じていた


「…そいつはどうも。まさか美人に歓迎されていたとはね…喜ぶ所なんだろうがな…この施設を見てなければな」


カノンは怒りや恐怖の複雑な感情を殺して、余裕を見せる、見せつけるように返答をした

教祖はカノンのそんな感情知らず、お構いなく


「そうでしょう?これが、全ての人類を救済する手段…これが人類を一つ上の段階に進化する為の儀式…ウロボロス様が与えた力…」


まるでカノンがこの施設に対して、賛同している物かと思っているのか、教祖は嬉々として語る


「ウロボロス様…それがあなた達が信仰している神の名前か?てっきり、名前からゴルン神とかいるのものかと思ったが」

「ゴルンの名はウロボロス様の名を伏せる為の名…まだ表に名前を出さない方がいいとマグス様か言われています…なんでも、ウロボロス様の名が、まるで悪い存在であると言われているそうなので」


教祖は悲しげに言ってくる。ウロボロスという犯罪組織の存在は、少なからずカリバーン王国中には悪名は広まっている。表向き、国王暗殺をしようとした組織故に、例え短期間でもその悪名、悪評、存在はカリバーン王国領土には知れ渡っている


「しかし、苦境な状況だからこそ、我々は導かなければならない。人類を進化させる為に、ウロボロス様の使命を、我々が遂行しなければならない」

「…使命ね。そいつは、メルデの住人をクローンに入れ替えさせることなのかい?」


カノンは辛辣な口調で聞いてみたが、教祖は笑顔を絶やさずに答える


「あれは、新たな肉体としてウロボロス様が与えて下さった体です。古い体を捨て、ウロボロス様が作り上げる新たな肉体…私達もそうです。私達もここで生まれ変わりました」


教祖の思わぬ回答と情報、カノン整理しながら教祖に話を合わせながら情報を聞き出そうと試みていた


(…こいつらもクローン人間…というより、心臓がウロボロスカードになってるクローンと思うべきか?)

「それをメルデの住人にも与えていると?新たな肉体とやらを?」


カノンの質問に対し、教祖は悲しげな表情で言う


「ええ…私たちが来た頃は、メルデは痛ましい事故で亡くなる方が多発しておりました。鉱山の町とは言え、不意で亡くなれては残された者も、そして亡くなった者も無念で仕方ないと思いました…私たちは彼らの為に何かできないかと思い…彼らを蘇らせると共に、ウロボロス様の力を秘めた体を与えることで、悲劇を変えることこそ、この町での私たちの使命だと、思いました」


グランは声に出さずとも、教祖の言葉に引っかかっていた。まるで事故を装って殺している訳はない

実際に事故現場に残された魔法の痕跡から、意図的に起こされた事故であるのは魔王軍やカノン達の意見でほぼ間違いは無かった

教祖は涙を流しながら、多発していた事故に心を痛めている姿は演技でも演出でもないのはグランもカノンは理解してしまった。理解をしたくも無かった


「なるほど…もしかして、あなた方ゴルン教に協力している方々がいるのか?マグスもその一人なのかい?」


カノンは踏み込んだ質問をする。マグスの名を出すと、教祖は明るい顔になり


「その通りです!マグス様、ウロボロス様の御使い様達は、我々ゴルン教の設立や信仰の集め方…そしてこの奇跡の術を与えて下さり、今も御使い様の一人が協力してくれているのです!御使い様は最近お兄さんを亡くされたと聞いていましたが、めげずに我々を助けて下さるのです!御使い様達は本当に素晴らしい方々です!」


目を輝かせ、教祖は御使い様という存在に敬意と感謝をしていることがカノンに伝わった。そしてカノンはこのゴルン教のという組織の実態や違和感に勘付く

そして確信得たいが為に、魔法使いとして視点での質問をする


「…体を与えるとしても、元の体はどうなるんだ?新しい肉体に記憶を移しても、同じ人間にはなるまい?」


教祖は首を傾げ、何を言っているんだ?という反応をしていた


「?…新たな肉体に記憶を持つのですよ?それはもう同一の存在、転生と呼ぶべき奇跡なのですよ?古い体は、御使い様が管理していますが…気になることでも?」


この回答にカノンは確信と確証を得た、同時にさらに怒りが込み上げていた

教祖は、同じ容姿と同じ記憶があればそれは同一人物であると信じている

しかし、魔法使いにとって、ホムンクルスとクローンは、いかに似たような容姿、同じ記憶を持っていたとしてもそれは同一の存在になれない、同一の魂になり得ず、ホムンクルスとクローンは別の人物としての人権として扱われる

教祖、ゴルン教の考え方とは相容れないのだ

カノンは怒りを抑える。しかし、これ以上この教祖の話を聞いていたら、怒りで気が狂いそうだと判断し、気になっていたことを聞く


「そういえば、オレ達以外にもここの施設に侵入してきた不届きな者がいると聞いているが?」


カノンはおそらく、魔王の配下達もここまで侵入は出来たのだろう。しかし、未だに戻っていない。となればゴルン教か、御使いを名乗るウロボロスの関係者に始末されたと考えていたが


「いえ?ここに辿り着いたのはカノン様とグラン様だけですよ?」


教祖の答えは意外なものであった


「おかしいな…魔族の知り合いが、ここに訪れて帰ってきていないと聞いているんだが?」

「あー…あの見るにもおぞましく、恐ろしい容姿をした魔族でしたか…カノン様も冗談を…人と魔族が知り合える存在にはなり得ませんよ?」


教祖は真顔で、まるで当たり前のことを教えるかのようにカノンに言う

カノンとグランは猛烈に嫌な予感をしていた


「…その反応だと、魔族がここまで辿り着いたのは間違い無いようだが…そいつらはどうした?」

「どうしたって…カノン様、目の前に害獣や害虫がいたら、対処しますよね?それと同じことをしただけですが?」


教祖は淡々と、当たり前のことのように語る。カノンとグランの予感は想像を超えていた


「…アンタにとって、魔族は害虫と変わらない存在であると?オレ達と同じ知的生命体なのにか?」

「あれは言語を喋ることが出来るだけの存在なだけですよ、カノン様。隣の村のミルース村いる、アヤメ・クローズという見込みのある娘がいるんですが…彼女も可哀想です。魔女と呼ばれる存在と共に寝食を共にし、人の姿をした獣もどきの村に暮らすなんて…私たちが救済しなければならない、あのおぞましい村から、アヤメ・クローズを」


教祖の発言に、カノンは唖然としてしまう。ここまで超えてくるとは思ってもみなかったのだ


「…ミルース村の住人にまで…驚いたよ。ここまでの種族差別、差別主義者は初めて会ったよ。まさか宗教組織の教祖が、そこまで言うのはな」


妖魔大戦以降、魔族や亜人、獣人と共存を受け入れるのが大半のこのオリュートスで、カノンとグランは種族を差別する、他種族を軽蔑や共存を望まない者達は知らない訳では無い、少なからず存在はする

しかし、ゴルン教の教祖は差別とかそういうレベルでは無いとカノンとグランは感じていた。そもそも存在を魔族や獣人の存在を認めない。こういう手合いは初めてであり、二人とも鳥肌が立っているほどであった


「これは…少しお話をしなければなりませんね?カノン様、グラン様。魔族と言うのは、決して我々人類が相容れぬ存在、こちらの言語を話す恐ろしい存在と交流があるのは、いけないことですよ?」


教祖は、カノンとグランにまるで小さい子供に言い聞かせるかのような「怪しい人には付いていっちゃダメ」ということを言わんばかりの言い方


「それを断ると言ったら?」

「…それでしたら、仕方ありません」


カノンは拒む姿勢を見せると、教祖と周囲の神官達は怪人に変身する。7体の怪人、それは上は禍々しいが女性の容姿であるが、下半身は蛇の姿。その姿はまるで


「魔族のラミア族…に似ていると言ったら彼女らに失礼か…あちらは美しいからな…さしずめ、蛇の怪人って所か」(グラン、用意はいいな?)

(はい、大丈夫です)


7体の蛇の怪人に囲まれるカノンとグラン。逃げ場は無い


「カノン様、グラン様には頭以外、石になって貰いましょう。そうすれば、じっくりお話出来ますし、そうだ!是非ともカノン様もグラン様もウロボロス様の奇跡で、転生しましょう!そうすれば考え方も変わります!」


異様な姿であっても、あくまでも教祖は善意で提案をしてくる


「やるならなさっさとやれよ、お前らのような差別主義者の進行に染まるぐらいなら、石になった方マシだ」


カノンはあえて挑発し、あちらから仕掛けてくるのを望んでした


「…致し方ありませんね」


7体の蛇の怪人の目から光を出し、カノンとグランに向けて照射する

それは石化魔法の一種、石化の魔眼。その光を浴びれば、成す術もなく石化される上位魔法であり、怪人形態故に出力も桁違いであり、それは魔力の高く、耐性のある魔族ですら瞬時に石化される

そしてはそれは一瞬の出来事であった、蛇の怪人が放った光はカノンとグラン周囲に反射し、石化したのは、7体の蛇の怪人であった


「どうやら、上手く行ったな。よくやったグラン」


グランは左手に着けているガントレットを魔装銃に戻す


「反射防壁、プリズムミラー…石化方法は検討が付いていたけど…まさか、これほどまでの石化の術を使う連中が、対策をしていないとは…」


7体の蛇の怪人達は、完全に石化し、おそらく自分たちの身に何が起きているのかわかっていない


「奴らは魔法に対して素人なのは、教祖との不愉快な会話の内容でわかっていたからな。クローンのことを同一の存在と定義するのは、魔法素人の浅はかな考え方だ」


グランに本音を愚痴りながら、カノンは杖を展開させる


「しかしカノン先生、この教祖は…何と言うか…悪人ではあるんですが…」


グランが困惑するほど、ゴルン教の教祖はイメージと違い過ぎていたのだ


「わかるぞグラン。オレもこの手合いは初めてだ…悪意の無い狂人の善人って言った方がいいのか…自分の価値観が人の為になると思っているタイプ。人の道を外れた行為している自覚の無い、厄介なタイプの悪党ではあるがな」


カノンは石化している蛇の怪人の教祖を睨みながら、言う


「…どうします?確かにこいつらから何かしらの情報ウロボロスを得られるとは思いますが…」


グランとしては、もう教祖やこの神官達から聞き出したくない、聞く価値も無いという本音はあるものの、未だに謎の多いウロボロスの情報を得られると考えれば、石化して無防備とは言え、始末するのは得策ではない思っていた。しかし


「…いや、多分こいつらからアレ以上の情報を得られるとは思えない。マグスとやらか、お前たちの前ではウロボロスの幹部、そしてここでは御使いとして行動していた…疑問だったんだよ、セルゲイやライブラあろう者が、ウロボロスの存在を10年間も尻尾を掴めないのが」


10年前にセルゲイやライブラ、レオナルドが壊滅させた組織はウロボロスの切り捨ての組織であり、ウロボロスとは別の名前の組織であった。セルゲイのような切れ者、ライブラの組織力ですら、全容も尻尾も掴ませないウロボロス


「恐ろしく巧妙に、様々な名前や役割で暗躍しているとしたら、セルゲイやライブラの目を誤魔化しきれるのも頷ける。ゴルン教が全てを知っているとは思えない」


カノンは杖を構え、教祖以外の蛇の怪人に目標を変え


「とは言え、教祖だけ残して。他の怪人を今のうちに始末してしまったほうが得策だな」


カノンとグランは、教祖以外の怪人を始末する

その時であった、カノンとグランは急に浮くような感覚が襲う


「な!?」「え!?」


カノンとグランの足元が急に穴が開き、そして穴に吸い込まれそうになる


「ワームホール!?ちぃ!?グラン!!!」


カノンは咄嗟に指を鳴らし、グランを空気の弾丸で当てて、ワームホールから遠くに吹き飛ばす


「ぐぅ!?」


カノンは数メートル吹き飛ばされ、ワームホールから逃れるが


「ちぃ!!」「カ、カノン先生!!?」


カノンはワームホールに吸い込まれてしまった


「アレレェ?吸い込んだのは一人だけか?まあいいや♪」


空間を切り裂き、キャンディーを舐めながら、一人の少女がグランの目の前に現れた

グランは咄嗟に左手の魔装銃と、もう一丁の魔装銃の2丁でビーム弾を連射しながら少女の前に撃つが

少女は空間移動で避ける。少しグランとの距離を離れるが


「アハハ!必死に過ぎだよ!ザコザコお兄ちゃん♪」


グランを嘲笑いながら、挑発してくる。そしてこの空間移動の魔法に、グランは見覚えと聞き覚えがあった。そしてこの少女の容姿に、どことなく似ていることにも


「…まさか、狭間の怪人以外にも空間移動使いがいるとは…お前もウロボロスの手の者か?」

「アハハハ!!にぃにぃのことを知っているんだ!バカザゴだよねぇにぃにぃ。腹にミサイルぶっ刺されて死んだって!アハハハハハハハハ!!!!!」


少女は腹を抱えながら笑っていた、おそらく狭間の怪人の妹だろうものは、兄の死にざまに対して笑っていた


「アタシはスキメ、ハザマのにぃにぃの妹だよ。ここじゃ、御使いだっけ?そんなことをしているよ?」


教祖が話していたの御使いの正体、それはこのグランの目の前に少女スキメであった


「お兄ちゃんはグランだっけ?マグスが始末しろしろうるさいかったけど…私の玩具にして、飽きたら始末してあげるよ、お兄ちゃん!」


スキメは変身する。それは狭間の怪人と瓜二つの姿の隙間の怪人になる


「アハハハ!!気分がいい!!サイコー!!!!」


隙間の怪人は周囲に無数のワームホールを開き


「壊れてしまうぇ!アハハハハ、ギャハハハハ!!!」


ワームホールからビームの弾幕を撃ってくる。グランは避けながら、魔装銃で弾幕を相殺しようと思った瞬間、それは天井をぶち破り、ビームの弾幕を聖剣で弾き斬ってグランを守り切ると、グランは抱えられて地下から地上に脱出する


「ユーゴ様!」

『…どうやら、想像以上にヤバい状況のようだな、グラン。カノン奴、やられたか…』

カノンとグランの役割とガントレットについて

魔装銃に防御系の術式を仕込んおり、防御術式用の魔装銃をガントレットに変えておくことで即座に防御術式の発動、もしくは攻撃に転じることが出来る、現代魔法使いの基本スタイルの一つ

カノンは実力行使が出た際に、即座に攻撃出来る役割

グランは相手が魔法による攻撃、特に石化対策として、ブレス、光線を警戒。神官達が変身する前から既に術式を発動させており、どのタイプの石化が来たところで防げていた

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