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ゴルン教異変編 石像復活術

昼下がりのメルデ

住宅街や繁華街から少し離れた、ゴルン教の施設の広場の前にはメルデの住人が大勢来ていた

今日はゴルン教による奇跡、石像復活の儀が行われる為であり、広場の中央には3体の石像が既に並べられれており、ゴルン教の神官達が準備をし、メルデの人々は今か今かと儀式を待ち望んでいた

その人々の中に紛れ込むように、いつもの帽子を外しているカノンとグランは儀式を観察する為に待っていた


「流石の盛り上がりと言うべきか…酒場で話を聞いてはいたが…」

「住人のほとんどがゴルン教の信仰者というのは本当だったんですね、カノン先生」


広場には、メルデの住人の大半がここに集まっている。それだけゴルン教に求心力があると、奇跡を見たい、奇跡を見ることでのご利益にありつきたい等の思いは様々である


「一応、あの住人の石像って…やはりただの石化魔法だったんですよね」

「ああ、もっと詳しく調査出来れば違う視点の答えも出るかも知れないが…ただの人が石化しているだけだ。通常の術式が異なるから、オレらで解除するとなると解析に時間がかかるが…十中八九ただの石化している石像で、それに回復効果は考えられない…というのはオレとリーノの見解だ」


カノンは酒場で知り合った数名に、例の石像を調べていた。それ以外のもこの石像復活術について色々と話を聞いており、その条件もいくつかあることが判明した


・一定期間外に石化を解除してはいけない

・毎日数十分、思い出話を石像に話しかける

・石像が破壊されると、儀式は失敗する

・なるべく石像は人通りのある外に飾る


「…ということらしい、解除してはいけないのと壊れるのは儀式が失敗する可能性があるのは分かるが…」

「話しかけたり、外に飾る理由が分かりませんね…カノン先生。何かしらの意味があるか…」


カノンとグランがこれまでに聞いた話を考えているうちに、広場に女性の神官達に囲まれる形でゴルン教のトップ、教祖が現れた

ゴルン教の教祖は若い女性の見た目であり、美人


「…聞いていた話より、随分若い…まだ20代も行ってなさそうな…」

「…だな、グラン。雰囲気的に、翠様に近い感じの美人ではあるが…」


見た目や装い、そして歩き方や仕草。教団のトップの教祖というよりも、もっとしっくりする言い方をするとなれば


「聖女に見えるちゃ、見えるな」


その聖女のような教祖が儀式の場に現れると、広場は一気に盛り上がる。教祖は微笑みながら、広場の人々を見て、そしてお辞儀をする

教祖のお辞儀した後、盛り上がった声は一気に静まり返る


(すげぇ…)(ここまでの宗教組織は初めてみたかも)


グランとカノンは感心してしまう程に、ゴルン教の求心力は凄いものだと再認識させられる

そして儀式が始まる

教祖は3体の石像に向かって、詠唱をする。まるで歌うように


(…??なんだこの詠唱??全く意味というか…これ、言葉か?)


教祖の詠唱は音響魔法によって、広場中に聞こえるが、それはグランか聞いたことが無い言葉であった

グランは意味が理解出来なかったが、カノンは


(…これは…確か…砂漠の大陸の言語に似ているような…しかも、かなり古い言語か?これ?)


教祖の詠唱の歌の言語の種類の特定は出来ないものの、カノンは創作の言語ではないと確信する

詠唱は数分続き、石像に魔力反応が起き始め、石化が解け始める

そして、詠唱が終わると石化は完全に解除された。

石化を解除された者達は周囲を見渡していたが、その復活を依頼した親族や恋人が復活した人を抱きしめたりして、涙を流しながら再会を喜んでいた

その感動のシーンで、大勢が声を上げてゴルン教を絶賛したり、涙を流したり、拝む者がいる中

カノンとグランは冷静に分析し、小声で話していた


(カノン先生…あの魔法の反応って)

(ああ、ただの石化解除の術式だな…少し面倒なやり方をしているがな)


目的を果たしたカノンとグランは、その場から離れ、宿の方向に歩いていく

歩きながら、人気の無いメルデの町を歩きながら話す


「…おおよそ、奴らの石化復活術とやらはわかった。ありゃペテンの可能性が高い。あの教祖様とやらが使っていた言語、おそらく砂漠の国の古い言語だ」

「砂漠の国?カノン先生、そっち方面の言語も知っていたんですか?」

「専門家程じゃないがな、ニュアンス的には、十中八九合っていると思うぞ」


カノンは東の大陸の古い言語の方が得意である。しかしながら、あらゆる魔法を魔導書という形で書物にしてきたサイク家で、専門外の砂漠の国の言語も、少しはかじっている


「リーノなら、精密に解析が出来ると思うが…」


喋り切る前に、カノンは足元の魔力の気配に勘付く


「噂をすれば何とやらだな」


カノンの足元にいたのはネズミであり、足から登っていき、カノンが手のひらで迎えるといつもの魔法使いの帽子に変化する

式神の術の応用、帽子をネズミの式神に変化させた魔法であり


「どうだリーノ、潜入したゴルン教の施設は」

『ありきたりの宗教施設ってところだった…十字教の拠点施設と似た感じのね…ただ、建造物として不審な点がいくつかある』


遠隔操作で、儀式で手薄になったゴルン教の施設をリーノに探索させていた


「施設のマッピング、そして儀式も懐に隠してた撮影魔装具で撮影済み…さて、リーノ、グラン。宿に戻ったら検証を始めようか、奴らのペテン暴きをな」


ゴルン教の石化復活術、オリュートスの最高クラスの魔法使い達が暴きにかかる


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