ゴルン教異変編 孤児院
ユキナは子供の扱いに慣れている。というより、妙に年下になつかれ易いせいで、そうなったというのが正しい
立場的にあんまり深い関係を築けないにも関わらずも、元々のユキナの性根、困った人を放っておけない性格故か聖王都魔法学校においても、中等部や初等部の後輩に慕われ、好かれている
その中にも孤児や孤児院出身の者も少なからずともいる。ユキナは下の子供を見る目はある
ミルース村の孤児院の子供は、10名程。男女半々、性格もそれぞれ。大人しい子もいれば、活発な子、やんちゃでレイアのスカートをめくって追い回されているワルガキ
そして両親を亡くして日が浅く、俯いて暗いミリィという女の子。ユキナはこのミリィという女の子にどうにも違和感を感じていた
ミリィがミルース村の孤児院に来たのはここ最近、他の子供達と馴染んでいないのは仕方のないとして
「気になる…」
アヤメと共に花壇を整理をしながら、庭で遊んでいる子供達を観察しつつ、庭の端で俯いて座っているミリィに特にユキナは注視していた
「ミリィのことが気になる?周囲の子たちと馴染まないのは心配ですが…」
アヤメもミリィのことが心配だったが、事情を知っているが故に深入り出来ないでいた
「…そもそも、ミリィちゃんは何処から来たの?」
「ミリィは、メルデから…」
「メルデって…」
ゴルン教の本拠地である、ミルース村の隣町にあたるメルデ。カノンとグラン達が現在潜入している町
「ミリィは元々は父親一人の家族でしたが、鉱山事故で亡くなって、身寄りが亡くなったことでコチラに来た…メルデには孤児院の施設が無いから、珍しくない話ですが」
「…鉱山事故…」
カノンから、メルデでの鉱山事故は人為的な可能性が高いという話をユキナは聞いている
もし、それがゴルン教の仕業であるなら、ミリィは親を殺された被害者でもある
だが、ユキナがミリィから感じるのは、孤児故の雰囲気ではなく、そして親を亡くした子供の雰囲気にしては、何かしらの違和感を感じていた
「あ、レイアさん。斧を出してきた」
レイアのスカートをめくったワルガキは、怒ったレイアに追い回されて、庭の木に登り、あっかんべーしてレイアを挑発していたが
とうとう勘に袋が切れたレイアが魔装銃を取り出し、斧に変形させて木を切ってワルガキを叩き落とそうとしていた
が、瞬時にカノンの姿の式神に頭にゲンコツを叩き込まれてグルグル目でダウンさせた
ワルガキは翠の魔女にとっ捕まり、お尻を叩かれてお仕置きされていた
「…ふふ、みんな。相変わらずだ。カノンさんやユキナ、レイアさんが来てからもっと賑やかになったけど」
アヤメは微笑みながら、いつもの日常の光景を楽しんでいる様子であった。今も狙われているかもしれない状況でも、変わらない日常
ユキナとしても、この平和な光景はいつまでも続けばいいと思っている。だが、ユキナはそこまで楽観視出来なかった。ウロボロスの脅威を目の当たりにしている故に
アヤメとユキナが庭での様子を見ながら談笑している所に、カノンが近づいてきた
「ユキナ、アヤメ。オレはしばらく式神の意識を切る、ゴルン教の儀式とやらが始まるようだから、あっちにリソースを割く」
「ゴルン教の儀式…石像の復活とやらですね、カノン先生」
「ああ、奴らの儀式。こちらは魔法使いのエキスパートが遠隔操作を含めれば3人いる。暴いてやるさ」




