表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/23

生きている人形のように 2022年11月11日

 この小説は、作者が「星空文庫」で執筆している『宗教上の理由』シリーズの世界設定を使ったスピンオフです。読みたい方は、星空文庫にて作品名または作者名「儀間ユミヒロ」で検索をお願いします。

 もちろん、この小説単体でも話がわかるようにしておりますので、安心してお読み下さい。

 山奥にあるという設定の、架空の小さな村、このはな村。この村にあるコミュニティFMを舞台に、DJのおしゃべりを文字でお送りする、ちょっと変わった形の小説です。

 この小説は言うまでもなくフィクションです。

 おはようございます。このはな村インフォメーションです。この番組では、このはな村に関するさまざまな情報をお送りしております。

 このはなFMでは、村外からこのはな村へお越しになる方への情報発信も兼ねて、この放送のネット配信を行っております。


 十一月十二日より、このはな中央広場に菊人間ミニへステバを行います。主催はこのはな村観光協会です。

 ヘステバとはこのはな村の言葉で祭りのことで、略してヘスとも言います。


 十月から十一月にかけて、全国各地で「菊人形まつり」や「菊人形展」といった催し物が開かれます。菊人形とは人間と同じくらいの大きさがある人形を、色とりどりの菊の花で飾り付けたもので、人形一体につき百輪以上の菊の花が使われます。

 この沢山の菊の花、展示が終わったあとでも綺麗に咲き続けているものもあります。そこで村では、展示会場で不要になった菊の花がある場合に村が引き取り、再利用をするという試みとして、このヘステバを行なっております。


 ヘステバの概要です。

 十一月十二日以降の土曜・日曜・祝日に、このはな村立の小中学校および村内の未就学児のうち希望者が全身に菊を飾った衣装で中央広場に集合します。飾り付けは村内のフラワーショップやブティックのスタッフと児童が話し合って考えたもので、一般的な菊人形に使われる小菊のほかに、直径十センチを超える大菊や変わった形の菊などを頭に飾ったり、菊のほかにも季節の花であるパンジーやビオラ・プリムラなどの鉢物をハンギングで身体に飾ったりするなど、枠にとらわれない自由な発想で子供たちが着飾っています。


 そして、このはな村の特産品のひとつ、薬草類の収穫に伴って切り取られた花や、秋から冬の風物詩であるナンテンやナナカマドの枝をせん定した際に付属する赤い実なども有効活用します。


 なお、観光等で村に来られた方も、菊人間になることを体験できます。老若男女は問いませんが、村が設置した検査場または各都道府県に委託された医療機関や検査機関によるPCR検査陰性証明が必要となります。有効となる検査日は地域によって異なりますので、事前にこのはな村観光協会サイトのヒトリレジャーノススメキャンペーンのページでご確認ください。なお、抗原検査およびワクチンの接種は対象外ですのでご了承ください。


 菊人間用の衣装はすべて主催者で用意してあります。ほぼ全身を覆うインナースーツの素材については、皮膚や体質等による向き不向きがありますので、当日会場でご相談ください。また十一月のこのはな村は気温がかなり低くなりますので、体型の補正と防寒を兼ねたダウンのジャンパースパッツ、足の冷えを防ぐための厚底スノーブーツを着用していただきます。

 その上に花を飾るためのスカートドレスを着ます。あらかじめその下には同じ形の透明レインコートを着用しますので、雨や雪でも安心です。

 これらを着用した上で花の飾り付けを行います。ドレス等の着付けスペースは中央広場前の村役場分署に設置してありますので、スタッフの指示に従ってください。受付も全て会場にて当日行います。予約は出来ませんのでご了承ください。


 着付けスペースからの移動についてのご注意です。

 スカートの中にはクリノリンを履いていただきます。クリノリンとはドーム型の骨組みを中に入れてスカートをふくらませたもので、このコンテストでは足元が見えないほどの大きなものをご用意しております。

 このため展示スペースまでは椅子に座った状態のままスタッフがお運びします。スペースではそのまま椅子に座った状態で、菊人間として展示されます。


 体験時間は原則三十分単位ですが、順番待ちの方がいない限り延長可能です。時間は午前九時から午後八時まで。なお午後5時以降は太陽電池による電力を利用したイルミネーションを身に纏っていただきます。花と光のロマンチックなコラボレーションの中の一部になる感覚をお楽しみいただけます。


 このはな菊人間ヘステバは、観覧無料ですが、マナー,をルールを守っての観覧をお願いいたします。特にウィルス感染の拡大防止のために、三密を避けることや、病気等で不可能な場合を除きマスクを正しく着用することをお守り願います。菊人間体験の方もウィルス捕捉率が高いマスクまたはそれに変わるものを着用してご参加願います。

 撮影は自由ですが、菊人間に触れたり、近づき過ぎないようお願いします。立ち入り禁止のロープを越えずに鑑賞や撮影をお願いいたします。

 なお、菊人間体験をされる方はその姿を撮影されたり、webやSNSに掲載されることがある点をご了承の上で体験に臨まれるようお願いいたします。当ヘスの写真掲載に関するトラブルに村は原則として関与出来かねます。

 ただし、顔を隠すような花の飾り付けやコスチューム類も準備しております。顔が隠れるコスチュームはウィルスの飛散や吸引を防止する機能も兼ねておりますので、安心安全なヘス実施のためにもご利用を推奨しております。


 このはな村インフォメーション、担当は莉庵でした。

 前回はハロウィンに絡めましたが、今回は日本の芸術である菊人形からヒントを得ました。人形だと思っていたのが人間でビックリというパフォーマンスは、色々なところでアイデアとして使われていますね。マネキン人形の真似をする人間なんていう大道芸とか。

 そこに、「女の子のあこがれ」的要素をプラス。花模様をあしらった服や花を模したアクセサリーなどを突き詰めれば、自分の身体を花で埋め尽くしたいという所に行き着くだろう、そういうのに憧れる女の子もいるだろう、そんな思いから、菊人間というものを思いつきました。


 ヘステバという、このはな村独特の単語は英語のfestivalからの造語です。このはな村は外国人が多く住んだという設定なのでこういったピジン語と呼ばれる特殊な外来語があります。

 耳で聞いた英語が日本語に紛れ込むピジン英語は沖縄や小笠原諸島に多くみられますが、他にも山梨県清里では収穫祭を表すカンテイフェアというのがあるそうです。countyとは「郡」のこと。婉曲には農業地帯を指せるわけで、清里の地を拓いたのがアメリカ人だったことに由来するのだとか。

 ここ数年感染症のため中止だそうです。復活したら行きたいものです。


 なお今まで、登場したインフォメーションの担当は板谷さんだけでしたが、『みよたみのりのこのはなだより』にも登場している莉庵さんに先週と今週はお願いしました。これは裏設定で、このはな村インフォメーションやニュースなどは、その時に手の空いているパーソナリティが担当することになっているからです。パーソナリティは本業を別に持っているのでそういったフレキシブルな出演体制なんです。

 この中に、小学生パーソナリティであるみのりは含まれません。ラジオでのおしゃべりは課外活動の一環なので学業に影響してはいけませんから。

 このはなFMは実質的に村営放送なんですが、超低予算でやってます。よってパーソナリティも、稼ぎはどうでもよい、その代わりやりたい人が好き勝手にやる感じなので、みよたみのりのこのはなだよりでも自由すぎる面々が番組に乱入しまくるわけです。

 現実に、もしそういうコミュニティFMがあったら面白そうだな、と思いながらこのシリーズを書いています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ