ステージ4-6 それとも、一緒の部屋の方がよかった?
ルリとぶつかったのは…?
私とぶつかったのは、シュリマの洞穴の前で見かけた騎士さんだった!
「クロード、ログインしてたんだ」
「あぁ、今入ったとこ。ところで…この聖職者…知り合いか?」
「そうだよ。」
クロードと呼ばれた騎士さんは「ふーん」と言いながら私を見た。
「は、はじめまして!!私は!!」
「名前は言わなくていいよ」
名乗ろうとしたけど、ロゼさんに止められてしまった。
「なんでだよ!ロゼが全体トークで俺の名前呼んだから、
俺の名前、この人に知られちゃったじゃん」
「そう言えば、そうだね。
でもこの子が名乗ってないから、名前は表示されないよ」
「それはそうだけど…なんで名前聞いちゃいけないんだよ」
お互い名乗らないと名前が表示されない。
それがこのゲームのシステムだもんね。
でもパーティーチャットで会話しなくていいのかな?
全体トークしてるから、私にも会話見えちゃってますけど…?
「それは、君にも俺にも、そしてこの子にも今は都合が悪いからだよ」
「なんだよそれ」
クロードさんは私を見た。
私もどういうことかわからなかったので、首を横に振った。
「まぁいいや。 で? 付与はできたのか?」
「できたよ。この子と透明なクリスタルを取りに行ったんだ」
「へー。ロゼが俺たち以外と行動してるの初めて見たわ」
ロゼさん、クロードさん達以外だとフレンドは私だけってことなのかな…?
「クリスタル余ったか?余ってんなら、俺もやっていい?」
ロゼさんは私の方を向いて「いいかな?」と確認した。
「もちろんです!!」
「はい、クリスタル」
「さんきゅー」
クロードさんはロゼさんから透明なクリスタルを受け取ると、
さっそく奥へ行き、NPCに話しかけていた。
すると…
ーパリン!!
割れるような音がしたので、クロードさんの方に行ってみると…。
「あー…失敗したわ」
クリスタルが机の上で粉々に砕けていた。
クロードさん、何の効果を付与したかったのかな…?
「ロゼ、また取りに行く時は俺の分もよろしく」
「余ったらね」
「……余りかよ」
それにしても…シュリマの洞穴で見かけた時も思ったけど、
この騎士さん、やっぱり誰かに雰囲気が似てる気がするんだよねー…。
「じゃあ、俺たちちょっと宿屋へ行くから」
「あ?そうなのか?じゃあ、武器屋にいるわ。
回復が終わったらシルビアバレー行こうぜ?」
「いいよ」
え?宿屋…!?ロゼさんと!?
ダブルを使ったからMPを回復するために
宿屋で休みたいのは確かだけど…
お店の前でクロードさんと別れ、私たちは宿屋へ向かった…。
鉱石の街シルビアの宿屋は、アクセサリー店の裏手にあった。
ちなみに武器屋はアクセサリー店の隣の隣。
アクセサリー店の隣は防具屋で、武器屋の隣がアイテムショップ。
ーいらっしゃいませ。2名様ですか?ー
「そうだけど、部屋を分けて欲しいんだ。シングル2部屋で頼むよ」
ー宿泊料が割高になりますがよろしいですか?ー
「いいよ」
よかった。別々部屋みたい。
宿屋でもだし、さっきピンズに付与した時もそうなんだけど、
このゲーム、NPCとのやり取りする時、
タップで選択肢を選ぶこともできるし、
会話でもNPCと話が進められるの面白いなって思う!
ーでは、お1人様当たり2500リル頂戴致します。ー
「お金は俺がまとめて払うから」
ーかしこまりました。ー
ロゼさんは宿屋の店主に5000リル支払った。
ー確かに受け取りました。
では、304号室と305号室をお使いください。ー
「ありがとう」
ロゼさんはルームキーを受け取ると階段へ向かおうとした。
宿泊代、払わないと!!
私はロゼさんにお金を渡そうとしたけど…
「いいよ、付き合わせちゃったから。おごらせて」
「え…!!そんなわけには…!!」
「いいからいいから」と言って受け取ろうとしてくれなかった。
いいのかなぁ…。
2人で階段を登り部屋の前まで来るとロゼさんがルームキーを渡してくれた。
「部屋、別々の方が休めるでしょ?それとも、一緒の部屋の方がよかった?」
「えっ!!いや、その!!」
「冗談だよ。ゆっくり休んで」
ロゼさんはクスッと笑うと305号室へ入っていった。
私はルームキーを使い、304号室に入った。
部屋の中には机と椅子が1脚、ベッドが1個。
そして小さな窓があった。
お風呂とシャワーもちゃんと設置されていた。
どうやらこのゲームの宿屋は、宿泊人数によって部屋が変わるみたい。
だから、もしパーティーで入ったらこの部屋がパーティー仕様になるってこと!
私はベッドに向かった。
ベッドに近づくと「全回復まで10分」と表示された。
確か…ベッドに座るより、寝た状態の方が回復が速かったよね?
私は手を合わせ、少し横に傾けた。
するとアバター(ルリ)が横になり、回復速度が速くなった!
やっぱりベッドいいね!これなら7分ってところかな。
以前、宿屋に泊まった時は、
シャルくんがベッドまで運んでくれたんだよね。
お姫様抱っこで…。いや、運ぶで。
思い出したらまた恥ずかしくなってきた。
私も休憩しよう。
Enterキーを押して画面を切り替えた。
目、疲れたぁー。
目薬を挿し、紅茶を淹れに行った。
アップルティーのティーバッグがあったのでこれにした。
あの時、連くんがアップルティーを取りに行ってくれて助かったなぁ。
支援職だけど、みんなに支えてもらってる。
まだβテスト始まって数日なのに、
みんなと過ごすことがもう、自分の生活の一部になってる。
楽しいなー。
紅茶を飲みながらそんなことを考えていた。
Enterキーを押して、ゲームに戻った。
MPが全回復したので部屋を出ると
ちょうどロゼさんも回復が終わったようで、部屋から出てきた。
「休憩できた?」
「はい!ありがとうございました!」
「クリスタル集め、どうだった?」
「縦穴は怖かったですが、ピンズのことを知られてよかったです!」
「ならよかった。」
ロゼさんは優しく微笑んだ。
「今日はありがとう。バルドまで送るよ」
ロゼさんがワープを使い、バルドまで送ってくれた。
「またいつでも連絡して。じゃあね」
ロゼさんは再びワープを使うと、魔法陣と共に消えていった。
縦穴、すごいスリルがあったけど、行ってよかったなぁ!!
何ていったって私に、石化耐性が付いちゃったんだもん。
そして私はたまり場へ向かった。
入口に「使用中」の表示がなかったので、家に入った。
ルリ「ただいまー!!ってまだ誰もいないか…」
パーティウィンドウを開いてみたけど、
まだみんなはログインしてなかった。
家に入り、椅子に座った。
そう言えば…
ロゼさん、さっき私の腰に手を回してたよね…?
あれってどうやるんだろう…。
あと跪いてたり。
まだまだ私が知らない動作たくさんありそう。
私は説明解説を見てみた。
※跪く
利き手の人差し指と中指を机などに置き、軽く曲げる。
あったあった。
これ、ゲームする動作に必要なのかな...?
あ!もしかして、王様に謁見するときとか!!
あと腰に手を回すも調べてみた。けど…。
あれ?載ってない…。
検索項目が違うのかな??
「支える」「腰」「体に触れる」
色々検索してみたけど全くヒットしなかった。
何でだろう…??
ロゼとの話、いかがだったでしょうか?
次回、みんな濡れちゃいます。




