ステージ3-6 そんなに会いたかったです?
居酒屋の個室で兄とご飯を食べていたら、
兄の同期(九条隼)が入ってきた!?
え!!お兄ちゃんの同期の人!!!
私がびっくりした顔をしていたので、その人も驚いた様子だった。
「あれ?もしかして…妹さんに言ってなかったの?」
聞いてないです!!
確か…九条さんだっけ?
九条さんはお兄ちゃんの隣に座った。
「あー、別にいいかなって。隼、何飲む??」
良くないです!!お兄ちゃん!!!
「じゃあ…ハイボール」
「おっけー」
お兄ちゃんはタブレットを操作し注文を入れた。
「さっきは兄妹で話しているところに入っていっちゃってごめんね。
俺は 九条隼。
君のお兄さんとは同期なんだ。よろしくね。」
「いえ!!全然!!こ、こちらこそ!!
妹の藤岡紬です!!よろしくお願いします…!」
「君のことは何度も奏から聞いてるよ」
彼はまたニッコリ微笑んだ。
ま…眩しい!!
この笑顔で何人の女性を射止めてきたのだろうか。
その横でお兄ちゃんは、そうだっけ?って顔してる。
さっき、診察室ではお兄ちゃんのことを
「藤岡先生」って呼んでたけど、
仕事以外だと「奏」って呼んでるんだ…!
お兄ちゃんも九条さんのこと「隼」って呼んでるし、仲良さそう…!
っていうかお兄ちゃん、九条さんに何度も私の話をしてるってこと!?
「紬、他に何か頼むか?あ、豚キムチあるぞ。お前好きだったよな?」
「今日はいい…」
「なんだよ遠慮すんなって」
豚キムチなんて、九条さんの前で食べるわけないでしょ!?!?
っていうか、もしかして…
さっきお兄ちゃんのスマホにたくさん連絡来てたのって
九条さんからだったんじゃ!?
「んじゃ適当につまみ頼んでおくわ」
お兄ちゃんと九条さんは一緒にタブレットを覗き込んでいた。
はぁ…またお兄ちゃんにワンダーグラウンドオンラインの話できなそう。
家に帰ったらゲームやりたいなー。
メンテ終わってるといいなー。
次レベル上がったらどのスキルに振ろう…
そんなことを考えていたら、注文画面を見ていたお兄ちゃんが私の方を見て
「お前何やってるんだ?ピアノなんて習ってたっけ?」
と聞いてきた。
「え!!あ、えーと、何でもない!!」
「ふーん」
お兄ちゃんは再び注文画面を見た。
私は無意識にテーブルに指を置いて、スキルを発動する仕草をしていた。
それがピアノを弾いているように見えたみたい。
すみません、無意識にゲームのスキル発動させてました…。
恥ずかしい…!!
「よし!注文おっけー。あ、俺トイレ行ってくるわ」
はい??え???お兄ちゃんトイレ行くの!?今!?
そういうとお兄ちゃんは個室を出ていった。
まだ挨拶しかしてないのに九条さんと2人きりにしないでよ!?
どうしよう…。何か話した方がいいよね…?
とりあえず…
一番気になることを聞いてみよう。
「あ…あのー。兄から私はどんな奴って聞いてます…?」
と聞いてみた。
すると九条さんはクスッと笑った。
何!?
「あ、ごめんね。ちょっと思い出しちゃって。
奏って酔うと妹の話と『俺の妹超かわいいー』ばかり言うんだよ。」
お兄ちゃん、酔うとそんなこと言ってるの!?
めっちゃ恥ずかしいんですけど!!!
っていうかなんで私の話ばかりしてるの!?
「ゲームが大好きで、いっつも俺とゲームしたがってたって」
はい…その通りです…。
「あと、子どもの頃、
旅行先で立ち寄ったおみやげ売り場にあった『瑠璃色の石』が綺麗で、
紬が欲しがったから、お小遣いで買ってあげたらすごく喜んでたって。」
「そ、そうなんですよー!その石すっごく綺麗で今でも部屋にあります!
やだなーお兄ちゃん、子どもの頃の話なんて九条さんにしてー!!
すみません、ほんと…!」
確かに、今でも宝物。ずっと机の上に置いてあるけど…!!
「今もその石を大事にしているとか、俺の妹超ーかわいいだろ?って言ってたよ」
お兄ちゃん!?九条さんに何言ってんの!?
「それから…」
まだあるの!?!?
「それ以来、妹はゲームをする時、
主人公の名前を「ルリ」にしている、とかね。」
九条さんはまたニッコリと微笑んだ。
「あとは...ゲームでキャラを選択する時は
かっこいいキャラを選ぶとか、
支援が好きだからオンラインゲームでは支援職を選ぶ、とか…」
え!!!お兄ちゃんそんなことまで九条さんに話してるの!?!?
やめてよーーー!!!カッと顔が熱くなった。
めちゃくちゃ恥ずかしいじゃん…!!
「でも奏が溺愛するのもわかるよ。紬ちゃんかわいいから」
「いやいや、そんなことないですよー!!」
ドキドキしちゃうじゃないですか!!
やめてください!!
容姿端麗な人に「かわいい」って言われる耐性なんて持ってないので!!
店員さんがハイボールと料理をいくつか運んできた。
私は小皿とお箸を九条さんに渡した。
「ありがとう。…その貝殻のイヤリング、かわいいね。」
九条さんは私が耳につけているイヤリングを見た。
「ありがとうございます…!
さっき買ったばかりなんです!かわいくて気に入って…」
「そうなんだ。貝殻好きなの?」
「貝殻が好きっていうより、今やっているゲームの装備品に似ていて…」
「装備品?」
「あ、すみません!!ゲームの話なんて興味ないですよね!!」
普通にゲームの話をするところだった。危ない危ない。
ゲーマートークしないよう気を付けないと。
「いや、そんなことないよ。紬ちゃんの話、聞きたいな」
再びドキッ!!
九条さん…相当やり手だぞ…。
こんなん落ちない女子いるの!?レベル。
助けてぇー!!!
っていうかお兄ちゃんトイレ長くない!?早く戻ってきてよ!!
「最近始めたオンラインゲームなんですけど、
そこで出会った人がくれた装備品に似ていて…」
「その人とは仲が良いの?」
「いえ、まだ1度しか話したことがなくて…!
私がたまたまその場に居合わせただけなんですけど、
なぜかその人が、かわいくて強い装備品を私にくれたんです」
「そのゲームの中で連絡とかはできないの?」
「フレンドという機能で繋がっているのでできるんですけど、
その人すっごく強くて…。私なんかとパーティーを組むより、
もっとレベルが高い人と組んだ方がいいと思うので…」
そう。それにもう私よりレベルが高い聖職者の人と組んでるかもしれないし…。
「待っているかもしれないよ、連絡してみたら?」
「え…?そうでしょうか…?」
「うん。きっと君からの連絡を待っていると思う」
九条さん、なんでそう思ったんだろう…?
「ごめんごめん、珍しく男のトイレ混んでてさー!
お!隼のハイボール来てんじゃん!!」
やっとお兄ちゃんが戻ってきた…!もー!!遅いよ!!!
お酒が揃ったので3人で乾杯をした。
だらだらとしゃべりながらつまみを食べて、飲んで、いろんな話をした。
特に、病院に来た変な患者の話で盛り上がった。
結局お兄ちゃんには
ワンダーグラウンドオンラインの話はできなかったけど…。
お店を出たのは21時だった。
お兄ちゃんが寝てしまいそうなくらいフラフラだったので、
九条さんがタクシーを呼んでくれた。
「タクシーありがとうございました。おやすみなさい」
タクシーの窓を開けて九条さんに挨拶をした。
「おやすみ紬ちゃん。またね」
タクシーは私たちの自宅へ向かって走り出した。
お兄ちゃんは私の横で寝息を立てていた。まったくもう…。
私はDexでワンダーグラウンドオンラインの公式情報を見てみた。
するとメンテは20時に終わっていた。
今日はログインできるかな…。
家に着いたのは22時だった。
今からお風呂に入ったら23時かー…。
お風呂から出て、自室に戻った。
もう遅いけどみんないるかなー…?一応入ってみようかな。
パソコンを立ち上げ、
ヘッドセットとスマートコンタクトレンズ、リングを付けた。
「ダイブ!!」
昨日ログアウトした場所に降り立ったけど、みんなはいなかった。
ここにいないだけでログインしているかもしれないと思い、
パーティーウィンドウを開いてみた。
でも4人の名前の表示が薄かった。
みんなログインしていないようだ。
パーティーウィンドウを閉じ、フレンドウィンドウを開いてみた。
ロゼさんはログインしていなかった。
『きっと君からの連絡を待っていると思う』
そうかなー?
まだ、なんてメッセージを送るか考えてなかったので、
いないことに安堵してしまった。
もう1度パーティーウィンドウを開いてみた。
やっぱり4人の名前の表示は薄いままだった。
そうだよね、メンテ長かったし、もう23時だし…。
ルリ「みんなに会いたかったな…。」
ぽつりと呟いた時…。
シャル「そんなに会いたかったです?」
ルリ「シャルくん!!!」
ルリが呟いた瞬間、シャルがログインした!
いつも読んでくださってありがとうございます!
話数が増えてきましたので、
次回から1日置きの投稿に変更してみようと思います。




