ステージ2-5 宿屋で…
何かが起こりそうな宿屋です。
最後の方は、ルリが離席中の場面。
4人の会話があります。
ーオアシスの街、ダジル
累「おー楽。」
ルリ「シャルくん、ワープありがとう!」
私たちはダジルの街の中心部に転送された。
まだダハニア遺跡のミッションの途中なので緑色の星マークが光っている。
シャル「いえいえ。あ、累さん。さっき宝箱から3000リルと
ミノタウロスと戦った時に『牛の角』を入手したので渡しますね。」
累「あいよー」
累さんは両手ですくい上げるポーズをし、
シャルくんはその手の中に「3000リル」と「牛の角」を入れた。
これがアイテム譲渡のやり方。
ちなみに、アイテムが1つの場合は片手でも受け取れる。
2つ以上の場合は両手。
そういえばロゼさんから白い貝殻のイヤリングをもらった時は
もらっていいのか悩んでいて、ぽんっと手に乗せられてしまったから
片手だった。失礼だったかな…。
レオ「ルリとシャルはミノタウロスと戦ったのかよ!!強かっただろう!?」
連「俺たちはキメラと戦った」
ルリ「うん!ミノタウロス強かったよー!キメラも大変だったでしょ!?」
レオ「すげー苦戦した!!後で何があったか話そうぜ!!
あ、ルイルイ!俺たちもドロップ品あるから渡すわ!
こっちは宝箱はなかった」
レオくんは累さんに
「キメラ(獅子型)の爪」
「キメラ(獅子型)のしっぽ」
「キメラ(獅子型)の牙」を渡した。
累「ん。受け取りOK。ダハニア遺跡が終わってから精算しよう」
ダジルの街の宿屋は3階建てで、横に大きく外壁は真っ白で屋根は茶色。
中に入ると花や観葉植物がたくさん飾られていて、
街のオアシスという名をここでも感じさせた。
宿屋「いらっしゃいませ。5名ですか?」
ルリ「はい」
宿屋「初回は無料となってます。3階の部屋をお使いください。305号室です」
そう言うと私にルームキーを渡した。
初回は無料だって!!やった!!
ん?? 部屋に行くの?
RPGの宿屋って受付すると画面が切り替わって
泊まったことになってHPとMPが全快になるのがセオリーでは??
あとは、朝に起こしますか?夜に起こしますか?って聞いてくれるのもあったり。
まぁ、このゲームはリアルタイムだからそれはできないけど。
初回無料って言ってたし何かのイベントとか…?
何かあるのかなと思いながら受付の横の階段を上がった。
レオ「ここか?」
部屋のドアに305号室という番号がついていた。
ールームキーをかざしてくださいー
音声案内にしたがって、ルームキーをかざした。
ーガチャリ
ドアのロックが外れる音がした。中に入ってみる。
ルリ「わーー!!綺麗!!広い!!!」
レオ「すげーー!!!高級ホテルじゃん!!」
部屋にはベッドが5つ並んでいて、ソファが2つ、シャワーとお風呂まである!
大きい窓からはダジルの街の象徴『ダジル湖』が一望できた。
ベッドの前に向かい合うようにソファが配置されていて、
真ん中にはテーブルが置かれていた。
そのテーブルの上にはハーブティーのポットと、
アップルティーのティーバッグが置いてあった。
ハーブティーは『毒』、アップルティーは『魅了』の
状態異常を治すと表示されていた。
お風呂は白くて丸い形、ジャグジーまでついてる!!おしゃれ!!
いいなぁ!素敵!!入ってみたい!
もちろん、服を着たままで入れるよね…?
シャワーとお風呂はそれぞれ効果が違って、
お風呂は『麻痺、凍結、石化、呪い、恐怖、狂乱』
シャワーは『眠り、やけど、泥、沈黙、混乱、暗闇、出血』の状態異常を治す。
累「リアルでもこんないい所に泊まれたらなぁー…」
と言いながら、累さんは大きいソファに腰かけた。
累「ん?30分って出てるぞ」
見ると、ソファのところに全快まで30分と表示されていた。
シャル「こっちは10分ですね」
ベッドの横にいたシャルくんが言った。
連「これ回復にかかる時間か」
適度に休憩を取ってくださいって最初に言ってたもんね。
宿屋でアバターを回復させている間、
プレイヤーも休みましょうってことかも!
でもせっかくベッドがあるけど、
なんかみんなの前でベッドに乗るのはちょっと抵抗ある。
なので私は累さんと向かい合うようにソファに座ろうとしたら声をかけられた。
レオ「2人ともそっちでいいのか?ベッド空いてるぞ?」
レオくんがベッドに腰を下ろしながら言った。
ルリ「あ、うん。こっちで大丈夫!!」
本当は早く回復させたいからベッドで休みたいけど…。
累「いや、俺は全快だし」
ああ、そっか! とレオくんが呟いた。
シャル「………」
連くん、レオくん、シャルくんはベッドで休み、
私と累さんはソファに座って5分が経過したのだが…。
まだ全然MPが回復していない!!!!
その間、みんな離席したり、私もお手洗いに行ったりしていたんだけど
思った以上に回復が遅い…!!
え、これ本当にソファだと30分かかる感じだ…。
どうしよう…。
累さんは全快って言ってたし、ベッドにいる3人はきっとあと5分で全快になる。
するとシャルくんがベッドから下り、私のところへ来た。
シャル「今、パソコンの前にいますか?それとも離席中です?」
ルリ「あ、いるよー!どうしたの?」
シャル「回復、どんな感じです?」
ギクリ…そうだ、シャルくんは私がほぼMPがないのを知っている。
ほぼっていうか、MPが底を突きシャルくんに分けてもらったのである…。
ルリ「あー…。えーとー…もう、少し…かな…?」
すみません!!!全然もう少しじゃないです!!!
シャル「……ルリ、ちょっと立って」
ルリ「?」
なんだろ、って思ってソファから立ち上がった瞬間
ルリ「わっ!!え!!シャルくん!?!?」
シャルくんが私をお姫様抱っこした。
何何何!?え!?
レオ「シャル何してんの!?」
連「は??」
累「へ??なにそれ??」
ルリ「あの!!あの!!シャルくん!?!?恥ずかしいから下ろして!!」
シャル「ええ、すぐに下ろしますよ」
そう言うとシャルくんは、
さっきまで自分が使っていた一番端のベッドまで私を運び、
そっと下ろした。
見ていた3人はあっけに取られていた。
私をベッドへ運んだシャルくんは、すぐ隣のベッドに腰かけた。
レオ「な、な、何!?へ!?シャルお前、ルリを抱えて!?え!?
しかもルリのこと呼び捨てにしてなかったか!?」
レオくんはまだ状況が掴めない感じで驚きながら話した。
いや、私も全然状況が掴めてませんけど!!
シャル「オレとルリはさっきのダハニア遺跡で親しくなったんです。」
親しく!?いや、仲は悪くはないよ、もちろん!!
手を繋いだり、MPもらったり、髪を耳にかけられたりしたけど、
親しくっていうかどれもシャルくんからでしたよ!?
シャルくんって控えめな人だと思ってたけど、違った。
結構、いやかなり大胆だ。大胆で紳士的な人だ!!
累「いや、いくら親しくてもお姫様は抱っこやらないだろ!?」
シャル「こうでもしないと、ルリはベッドに行かなそうだったので。
それにゲームの機能としてちゃんとあるものですから」
連「お姫様抱っこなんて項目、ないぞ」
私も説明解説を見てみたけど、検索しても出てこない。
シャル「『運ぶ』です」
あーー…運ぶかー…。ほんとだある…。
ー説明解説ー
「運ぶ」
運びたいアバターの前に立ち、
両腕を前に差し出して持ち上げるような仕草をすると、
アバターを抱えて運ぶことができる。
両手を上下に揺らすとアバターを抱えたまま進むことができる。
方向を変えたい時は両手を揺らしながら、行きたい方向に動かす。
「毒、出血」移動する度にHPが減る
「暗闇、恐怖、泥、呪い」視界不良
「凍結、石化、麻痺、眠り」移動不可
等の状態異常で動くのが困難なプレイヤーを運ぶことができる。
累「ってことは…持ち上げたり、揺らしたりする手の動きや高さも
リングが感知してるってこと!?」
シャル「えぇ。傾きなどもです。リングにはジャイロ機能がついてますから。
リングの取説(取り扱い説明書)に載っていたじゃないですか。
……みなさん取説読まないタイプですね…?」
みんな無言…。
はい。取説読まずに、まず触ってみよー!!っていうタイプです…。
ダハニア遺跡で「手を繋ぐ」の説明解説読んだとき、
傾きで行きたい方向を変えられるって載ってたな…そういえば…。
このゲームをやってる時に誰かが部屋に入ってきたら驚くだろうな。
特に手の動きに…。
MPゲージを見るとみるみるMPが回復していた!!
ベッド早い…!!
ちなみに、ベッドに座るだけで回復するけど、
寝た状態の方が回復がやや早いみたい。
両手を合わせて横に傾けるとアバターを寝かすことができる。
残り8分と表示された。8分なら座ったままでもいいかな。
やっぱりみんなの前で寝るのはいくらゲームでもちょっと抵抗がある…。
確かにソファのままじゃ回復に時間がかかって、みんなを待たせてしまう。
でもお姫様抱っこだよ!?めちゃくちゃ恥ずかしいじゃん!!
いや、正確には「運ぶ」だけど!!しかも聖職者(男)の姿だし!!
まだ、女の聖職者の姿の方が絵になる、って思ったが…。
『今はオレしかいませんし、ルリさん女の格好になります?』
ダハニア遺跡でシャルくんに言われた言葉を思い出して
カッと顔が熱くなった。
レオ「ルリ!!遺跡でシャルと何があったんだよ!?詳しく聞かせろ!!」
ルリ「え!!えっとー…」
そんなこと私の口からは言えないって!!!
シャル「回復までまだ少しかかると思います。
その間、みなさんとダハニア遺跡であったことを話してますので
ルリは、明日の支度などあったらしてきていいですよ。
レオさんたちの方の話も聞いておくので」
ルリ「あ、うん。ありがとう。じゃ、じゃあ…そうさせてもらおうかな」
一旦落ち着こう。落ち着け私。顔が熱いから冷やしてこよう…。
あと明日はバイトで、夏期講習の準備をするから、
すぐ着替えられるように服を準備しておこう…。
それからゲームが終わってすぐ寝られるように歯磨きも…。
Enterキーを押して離席した。
視界が戻る前にレオくんが
レオ「ちょっと待って!俺もルリと話た」
って言ってた表示が見えたけど、言葉がすべて表示される前に
視界が戻ってしまった。
レオくんごめんね、今度ゆっくり話そう…!
ールリ離席後、4人の会話ー
累「んじゃ、俺が台座で暇してる間、何があったか教えてくれ」
レオ「シャル!!ルリと遺跡で何があったんだ!?」
連「俺も知りたい」
シャル「いいですよ。
敵と遭遇したらルリにはたくさんスキルを使わせてしまうので
手を休めてもらうためにルリと手を繋ぎ、オレが先導しました。」
レオ「手を繋いだぁ!?」
累「そんなことしてたのか、っていうかできたのか…手を繋ぐなんて」
連「レオはルリの肩に腕回してたじゃん」
シャル「それからミノタウロス戦では、
防御が高いルリがシールドを張りながらタゲ取りをし
その間にオレがブリザードを詠唱、そしてルリがダブルを使う。
その方法を繰り返して倒しました。
ダブルは消費MPが多く、ルリのMPが底を突いたので
ルリの手にオレの手を乗せて、MPを分けてあげました。」
累「うん、お前が思ってた以上に距離感バグってるやつってのはわかった」
シャル「そうですか?ゲームの特性を活かしただけですが」
累「そうかもしれねぇけど、初日からそれはすげぇよ…。
ああ、それでMPがないのにソファで休んでたからベッドに移動させたのか?」
シャル「ええ」
レオ「だったら俺がルリを運べばよかったな。
騎士と聖職者の方がなんか組み合わせ的に合ってる感じするし。」
シャル「そんなことないですよ。
聖職者と魔導師は同じ魔法系ですので相性がいいんです。
聖職者と魔導師の方がペアっぽいですよ」
連「いいな、シャル。ルリと一緒に戦えて。こっちはレオの世話で大変だった」
レオ「なんだと!?」
シャル「それは大変でしたね。聞かせてください」
レオ「おい!!連もシャルもさっきから結託してないか!?」
累「っぷ。お前らおもしれーな」
連「扉に入ってすぐ、レオがトラップを踏んで大量の矢が飛んできた」
レオ「ごめん」
連「そこを抜けたら、またレオがトラップを踏んで、
レオが落とし穴に落ちそうになった」
レオ「ごめん!!」
累「おい、レオ…連の足引っ張るなよ」
連「そのあと二択の問題が出て、レオが考えずに勢いで答えたら床から槍が…」
累「あああ、もういい!!もういい!!キメラ戦の話をしてくれ!!」
******
シャル「なるほど…獅子の体にしっぽが蛇のキメラだったんですね。」
連「蛇が口から粘液を吐き出してきて、
それが厄介だったから先に蛇の方を倒した。
獅子の方は連携技を何回かやったら倒せた」
累「キメラ戦、ルリがいなくて大変だったろ?」
レオ「あぁ。ルリがいるといないとじゃ戦いやすさ全然違うぜ?
途中でシールドとシャインが切れた時はもうダメかと思ったぜ…」
連「レオがトラップを踏んでなきゃもう少し早くキメラ戦まで行けたし
HPも減らずに済んだのに…」
レオ「だからごめんて」
連「また2人で入る場所があったら今度は絶対俺がルリと組む」
レオ「いや、次は俺とルリで組む!!」
累「みんなルリが必要ってことだな、俺もだけど」
シャル「その時はまたじゃんけんですかね。それまでにタイムの魔法覚えないと」
累「お前何する気だ....?」
次回、離席から戻ってきたルリはみんなとフレンド登録を試みるが…??
そして再びダハニア遺跡へ




