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# 第63話 白い騎士の到着
森の奥から、白い騎士が歩いてきた。
カトラスである。
馬には乗っていない。
馬が怯えるからだ。
鎧は白い。
剣も白い。
兜の隙間から、細い菌糸が揺れている。
ナーディルは息を殺した。
帝国の報告にあった名だ。
死色の剣聖カトラス。
帝国剣聖級。
それが、白い森の中で見回りをしている。
村の老人が、カトラスへ頭を下げた。
「今日も見回りですかい」
「主の土地を守る」
カトラスは短く答えた。
主。
シロ。
表示Lv1の白い代表。
その細い男に、この騎士が従っている。
ナーディルは理解した。
数字が合わない。
表示Lv1。
帝国剣聖級の配下。
薬。
食料。
村。
白い森は、外から見るほど単純ではない。
その時、ナーディルの背後で枝が折れた。
同行者の一人が焦って動いたのだ。
未熟者め。
ナーディルは心の中で舌打ちした。
カトラスの兜が、ゆっくりこちらを向く。
「そこにいる者」
低い声。
剣はまだ抜いていない。
だが、逃げ道が狭くなった気がした。
「主の森で、何を削った」
ナーディルは外套の内側の標本袋を押さえた。
返事を間違えれば死ぬ。
そう思った。
半分だけ、正しかった。




