# 第52話 武器を預かる
武器を集める作業は、地味だった。
剣。
槍。
弓。
火矢。
油壺。
盾。
ニコたちは灰色の作業上着で走り回り、武器を一か所へ積んだ。
「重い」
「戦利品です」
カトラスが言う。
「戦利品って言うと強そうですけど、これ片づけですよ」
「戦場の片づけも軍務である」
「嫌な軍務ですね」
シロはそのやり取りを聞きながら、武器の山を見ていた。
分解できる。
鉄も木も革も、全部素材になる。
だが、今回は返す物も残す。
全て奪うと、帝国は恥をかかされる。
恥をかかされた相手は、損得より怒りで動く。
だから、返す。
ただし火矢と油は返さない。
ザイツはその判断に文句を言わなかった。
「当然だ」
彼は眠る部下を見ていた。
「こちらも、また火を撃たれては困るだろう」
「はい」
シロは頷く。
リゼットは油壺を見ていた。
「この油、混ぜ物がありますね。燃えやすい。少しください」
「危ない研究はしない」
「危ないから調べるのです」
その言い方は、どこかで危険な制度になりそうだった。
シロは覚えておくことにした。
夜、眠った兵たちは湿った草の上に並べられた。
毛布は返した。
水も渡した。
けが人は菌糸で止血し、咳き込む者には薄い胞子湯を飲ませる。
敵だ。
だが、治療する。
オルド村長はそれを見ていた。
「恨まれますかな」
「たぶん」
「助けても?」
「助けたから、余計に」
村長は黙った。
助けられた敵は、楽ではない。
殺された方が、話としては簡単だ。
生きて帰ると、負けた理由も、助けられた事実も、全部持って帰る。
それが狙いだった。
朝までに、武器の山は二つに分けられた。
返す物。
返さない物。
人も同じだった。
帰す者。
残す者。
シロは、残す者を最小にした。
それでも、帳簿には名前が増えていく。




