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第47話 道標を消す



 白い道標が、一本ずつ消えた。


 村人は不安そうに見ていた。


 夜道を照らしていた白い光が消えると、森は急に昔の森へ戻る。暗く、湿っていて、何がいるか分からない。


「敵に道を見せないためです」


 シロは説明した。


「僕たちの道は、地下にあります」


 ニコが足元を見る。


「地下に道?」


「菌糸で分かる」


「俺には分かりません」


「案内をつける」


「よかった」


 村人たちの顔が少し緩む。


 リゼットは白衣の裾を泥で汚しながら、消えた道標を見ていた。


「通信の光を消して、感知だけ残す。いいですね。敵には壊れた道標に見える」


「分かりますか」


「分かります。もっと分解して見たいです」


「見ない」


 リゼットは残念そうに眼鏡を直した。


 その眼鏡の片側はまだ割れている。


 オルド村長は村の戸口を回り、庇護札を外させた。


「札も外すのですか」


 村の女が聞く。


「敵に家を数えさせないためだ」


 オルド村長の声は震えていたが、言葉ははっきりしていた。


 村長らしい顔だった。


 シロはその姿を見て、少し安心した。


 自分が全部を指示しなくても、人が動き始めている。


 それは良いことだ。


 同時に、森の仕組みに村人が慣れたということでもある。


 夜、村人は森の奥へ移った。


 荷札をつけた袋。


 鍋。


 子どもの毛布。


 乳歯を入れた布袋は、母親が胸にしまった。


 偽の祈り場には、花だけが残された。


 敵に見せるための花。


 守るための嘘。


 シロは、本体の奥で通知を絞った。


 血。


 火。


 悲鳴。


 高熱。


 帝国の紋章。


 そして、三百の足音。


 森の外で、地面が重く鳴り始めていた。


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