表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
46/50

第46話 ザイツ隊長



 ザイツ隊長は、火矢を半分に減らした。


 レオンは不満を隠さなかった。


「森を相手にするのに、火を減らすのですか」


「焼けば終わる相手なら、調査隊はいらなかった」


 ザイツは短く答えた。


 四十代の兵士だった。髪は短く、鎧には新しい飾りがない。地味だが、部下の靴を見ている。そういう指揮官は強い。


「目的は三つ。祈り場を押さえる。代表シロを捕らえる。森の中心を探る」


 兵たちが頷く。


「村人は?」


 若い兵が聞いた。


「殺すな。邪魔なら縛る。子どもには手を出すな」


 レオンが眉を寄せる。


「甘いのでは」


「村を敵に回すと、道案内も水も消える」


 ザイツは地図を畳んだ。


「戦は正義だけで勝てない。飯と水と道で勝つ」


 グレンは会議室の隅で、その言葉を聞いていた。


 この男は分かっている。


 だから余計に嫌だった。


 無能なら白い森に負ける。


 有能なら、村を傷つけずに森の急所を探す。


 どちらが怖いかと言えば、後者だ。


 出発前、バルドがザイツに近づいた。


「カトラス卿を見たら、戦うな」


「逃げろと?」


「まともに戦うな、だ」


 ザイツは少しだけ笑った。


「それは同じ意味です」


「違う。逃げるなら全員で逃げろ。半端に残すな」


 笑いが消えた。


 ザイツは頷く。


「覚えておきます」


 討伐隊三百が砦を出た。


 槍。


 盾。


 弓。


 少しの火矢。


 荷馬車には縄と杭、祈り場を壊すための鉄槌も積まれている。


 グレンは見送った。


 その荷馬車の隅には、保存キノコの袋が二つあった。


 白い森を討つ隊が、白い森の飯を持っていく。


 皮肉だった。


 だが、現場は腹が減る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ