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ロボティクス・メイカー  作者: 藤岡 幸春


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23/27

#-01:リュウイチとカズミ / リュウジとリョウコ 2

【小説内の記号ガイド】


* 「」:登場人物の会話。

* 《》:通信などの隠密会話。

* ():登場人物の心の中の声。

* []:AIの初期状態。アナウンスUI。

* ▶ :カメラアングルを動かす、最小限の状況ナレーション。

* ━━:カメラを別の場所・時間へ飛ばす場面転換。

* /////:キャラクターの赤面演出。


---


【主要登場人物紹介】


◎リュウイチ・カジマ:民間人。【熱箱】と呼ばれるエネルギー炉を運ぶ配達人。リュウジは弟。


◎リュウジ・カジマ:民間人。【熱箱】と呼ばれるエネルギー炉を運ぶ配達人。兄のリュウイチと共に仕事をすることが多い。


◎カズミ・タケバヤシ:民間人。清掃の仕事をしている。リョウコ・カザモリは元同僚。


◎リョウコ・カザモリ:民間人。小型種のRW(搭乗型ロボ)でWMD外壁の清掃をしている。元々はカズミ・タケバヤシと同じ清掃会社に勤務しており、RWの免許取得後に退職してWMD外壁清掃をRWで執り行う会社に再就職している。


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<リュウイチとカズミ>

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━━WMD内アトラクション施設|ステイシアワールド



カズミ「わぁ♪前からココ、来てみたかったの♪ ありがとう!リュウイチ!」


リュウイチ「よろこんでもらえてよかった♪ じゃあ、行こうか」


カズミ「うん!」



━━ステイシアワールドアトラクション|とある王子の恋の物語



リュウイチとカズミはアトラクション施設に入場した。

施設に入ると光と音と映像と造形の凝ったオブジェクトや構造物が二人をあたたかく出迎えた。


施設内の誘導スタッフの指示に従い、二人はアトラクションを楽しむ。

アトラクションは物語風で進んでいき、趣向を凝らした乗り物で施設内を歩かずに巡ることができる。

乗り物が施設のゴールに到着すると、物語のエンディングも観れる仕組みになっている。



物語が、はじまる……。



……私は一国の王子。トランスメキアと呼ばれる国の王子。

世は戦乱。私は後継ぎを作るため、国の繁栄を支えるため、

親から決められた縁談にこれから望む。

先方がおられる城へ私は部下を引き連れ、向かった。


その城に向かう途中、私は町娘に出逢った。とても美しい娘だった。一目惚れだった。

リンゴを売っていたので部下へのねぎらいや休憩も兼ねて、

娘の取り扱っていたリンゴをすべて買い占めた。

娘はたいそう喜んだ様子で家に帰って行った。


私はその後、先方の城へ無事到着し、縁談を進めた。滞りなく事は進んだ。その日は我が城へまっすぐ帰った。


だが、来る日も来る日もあの町娘のことが、どうしても忘れられない。

私は何かと用事を作り、町娘の居る城下町へ足繁く通った。その娘から何度もリンゴを買った。

食べきれない数のリンゴを購入したので、メイドに渡し、すべてアップルパイなどの菓子にしてもらった。

メイドに恋の相談をした。するとメイドはこう、提案した。


この菓子と手紙をその娘にお渡ししてみてはいかがですか?


手紙は別に恋文などではなく、ただ、いつもリンゴを買わせてもらえる感謝の気持ちが綴られたものだった。

私は心躍る気持ちを必死に抑えながら、その町娘に菓子と手紙を渡した。

すると、その町娘からも手紙をもらえた。


私はその手紙を誰にも悟られないように自室に持ち込み、ひとりで中身をあらためた。

するとその手紙の内容は……、恋文だった。町娘も私に想いを寄せていた。


どうするか迷った。いや、迷うまでもなかった。

私はもう、あの城下町にリンゴを買いに行くのを辞めた。

例の先方との縁談を進めることに集中した。

しかし私の気持ちは枯れた湖のような気持ちで居た。


そんな気持ちを察してか、メイドと執事が私のために旅道具一式をいつのまにか用意してくれていた。

この旅道具と馬でどうかその町娘と想いをお遂げになられてください。

あなたは第三継承の王子。あとのことは残った者にお任せください。

あとのことはどうとでもなります。


私はメイドと執事が処分されることを心配した。しかしメイドと執事はゆずらなかった。

王子は自分の幸せのことだけをお考えください、と背中を押され、私は城をあとにした。


その後、私は町人になるための変装道具と仮の戸籍一式を、

メイドと執事があらかじめ用意させていた城の外のその手の取引が得意な人間から受け取った。

こうして私は王子からただの人になった。


ただの人になった私が町娘から受け入れられるのか心配だった。町娘は私の煌びやかな姿しか見てないからだ。

しかしそんなことは無かった。町娘はただの人になってしまった私でも心から喜んで受け入れてくれた。

こうして私は町娘としあわせな日々を過ごした。


戦乱の世は続く。しかし私はただの人として、精一杯生きていきたい。

この世をこの町娘と共に見て、生きてみたい。

いつまでもこの幸せが続きます様に、切に願う……



リュウイチ「終わった……、よかった……、おもしろかった……と言うのも何か違う気がするけど、とても良い物語だった」


カズミ「うん……」


リュウイチ「カズミ」


カズミ「うん?」


リュウイチ「カズミ、俺達……、結婚しない、か?」


カズミ「……うん。ありがとう。結婚しよ♪」



二人はいつまでも幸せに暮らした。



━完━



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<リュウジとリョウコ>

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リョウコ「じゃ、いくわよ♪」


リュウジ「お、おぅ!」



▶ リョウコとリュウジはWMDの成層圏付近の外壁を複座型のRWで駆け巡っていた。

もちろんパイロットはリョウコである。

清掃用小型複座型のRWにて、WMD外壁デートである。


▶ 職場には事前に許可を取得してあり、RWの操作確認とWMDの外壁チェック&清掃作業という名目で稼働している。

しかし実際はデートしている。もちろん本来の業務遂行やデータ取りも同時にやっている。

リュウジは社会科見学の体でRWのコパイ席に搭乗させてもらっている。



リュウジ「空ってこんなに暗いんだな……」


リョウコ「地平線上には青白い大気の層が見えるわ。そこに注目してみて」


リュウジ「すごい……、キレイだ……。なんかこうして眺めていると、小さな悩みとかどうでもよくなるな」


リョウコ「でしょ♪ 連れて来て、よかった♪」



▶ リョウコの駆るRWは滑らかなWMDの外壁を再び駆けた。

その様子はまるでフィギュアスケーターのようだった。

RWの脚部に装着されたクリーニングユニットでWMDの外壁がみるみるうちにキレイになっていく。

WMDの外壁が本来の色を取り戻す。


WMDの存在は、


・地球上に生きとし生けるものすべての【家】


・地球温暖化防止の砦(地球のエアコン)


・海洋生物の住処


・遠洋漁業者の拠点、家


・国と国をつなぐ物理インフラ


・宗教観の違い、宗教格差の是正


・格差を小さくし、冨を再分配する仕組み


これらを担っている。


▶ そんな構造物を「清掃作業」という形でこの尊い建物、構造物を護れていることが、リョウコは誇らしかった。

それと同時にリュウジはそんなリョウコの姿が誇らしく、世界の誰よりも、愛していた。

ふと、リュウジは想いをリョウコに伝えた。



リュウジ「リョウコ……、俺達、結婚、しないか?」


リョウコ「結婚、しちゃいますかー♪ びゅーん♪」



▶ リョウコはRWのリアクター出力を少しだけ上げてさらに加速した。

リョウコの駆るRWも、まるで喜んでいるかのように、軽やかに駆けた。

WMDの外壁もキレイになった。

そのキレイになった道筋は、リョウコとリュウジの幸せな道筋を示しているようだった。


こうして二人は、しあわせに結婚した。



━完━

本編第1話の前日譚です。

本編第1話はこちら▼

https://ncode.syosetu.com/n9533le/5


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