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ロボティクス・メイカー  作者: 藤岡 幸春


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22/25

#-01:リュウイチとカズミ / リュウジとリョウコ

【小説内の記号ガイド】


* 「」:登場人物の会話。

* 《》:通信などの隠密会話。

* ():登場人物の心の中の声。

* []:AIの初期状態。アナウンスUI。

* ▶ :カメラアングルを動かす、最小限の状況ナレーション。

* ━━:カメラを別の場所・時間へ飛ばす場面転換。

* /////:キャラクターの赤面演出。


---


【主要登場人物紹介】


◎リュウイチ・カジマ:民間人。【熱箱】と呼ばれるエネルギー炉を運ぶ配達人。リュウジは弟。


◎リュウジ・カジマ:民間人。【熱箱】と呼ばれるエネルギー炉を運ぶ配達人。兄のリュウイチと共に仕事をすることが多い。


◎カズミ・タケバヤシ:民間人。清掃の仕事をしている。リョウコ・カザモリは元同僚。


◎リョウコ・カザモリ:民間人。小型種のRW(搭乗型ロボ)でWMD外壁の清掃をしている。元々はカズミ・タケバヤシと同じ清掃会社に勤務しており、RWの免許取得後に退職してWMD外壁清掃をRWで執り行う会社に再就職している。


◎セイジ・ミズルハ:C.F.N軍大尉。RWパイロット。搭乗機体は「バーニングアタッカー」。闘いで傷つき、集落に身を寄せている。


◎集落住民の少女|パニア・エンデバー:闘いで傷ついたセイジを救った集落の少女。


---


【熱箱の設定】


【HEAT BOX】

H:Heat


E:Electrical


A:Active


T:Temperature


B:Battery


O:Orbital


X:eXperience


正式名称:【熱バッテリー】


通称:【熱箱】


ウェルカム・マスドライバー(WMD)で生成された【熱】が詰まっている構造体。

WMDとは宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。

レールの中は住居になっており、WMDの外壁には【ペルチェ素子】が埋め込まれている。

この【ペルチェ素子】で地球を冷やし、熱を取り出す。

取り出した熱を【熱バッテリー】に蓄え、エネルギーを各地に運ぶ。


家庭用の熱箱の大きさは50センチ四方の箱。

六面体のサイコロ形状。


暖房、コンロなどに利用可能。


サイコロでの説明↓


【1の面|天面】:コンロとして使える


【2の面|西】:風呂を沸かすアダプターが付いている


【3の面|南】:温風が出るファンがある


【4の面|北】:床暖房に繋げるアダプターが付いている


【5の面|東】:電力が取り出せる


【6の面|底面】:熱バッテリー設置スタンド装備の面(キャスター付き)

リュウジ「なぁ兄者、何も配達地域は極寒地帯だけにこだわる必要はないんじゃないか?」


リュウイチ「既に渡航ビザを取得してある」


リュウジ「さっすが兄者!さっそく行こうぜっ!その地域、配達員が足りてないらしいんだ♪」



━━某国、現地到着。配達完了。



集落住民の少女|パニア・エンデバー「いつモ おツかれサん どスえ」


リュウイチ「あ、あの……、ありがとうございます」


リュウジ(なんで微妙に京都弁なんだ……、この人)


セイジ「使用済みの熱箱はコチラです。余計なお世話かもしれなかったのだが、ヒマだったので調子の悪い箇所を少しメンテしておきました」


リュウジ「あっ!そんなことまでしていただいて!助かります!んじゃ今回の分は2割引き……、いや3割引きでご提供させていただきますよ♪」


リュウイチ「いや……、5割引きだ。 見ろこの熱箱……。新品同様だぞ……。物資の少ないこの地でどんだけスゴイ整備されてんすか……」


セイジ「まぁ……、その、ヒマだったんで」



━━西暦2056年。地球。

ここは超巨大なインフラ、ウェルカムマスドライバー(WMD)内の商業施設エリア。

WMDとは宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。

レールの中は住居になっている。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


<ウェルカムマスドライバー住居エリアの構造>

* 【階層1:低所得層・スラム】:地上(海面)〜高さ400m(約100階建て相当)。最も横幅が広く(3km)、空気循環が滞りやすいため下層になるほど過密・劣悪化。工業エリアの騒音が響く。


* 【階層2:中流層】:高さ400m〜800m。最も標準的な都市機能、巨大ショッピングモール、オフィス街が集まる。


* 【階層3:上流層】:高さ800m〜1,200m。最も見晴らしが良く、空気が綺麗。頂点付近は超巨大な避難宇宙船になっていて、WMDから分離・発艦できる仕組みになっている。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



━━WMD内のとある熱箱屋



▶ リュウイチの独白



▶ かつて、WMDの利権を巡る大きな争いがあった。

そのせいで俺は仕事を失いかけた。軍に入ることも考えた。


▶ しかし俺は戦争を生き延び、なんとか無事に終戦を迎えることができた。

俺の仕事も徐々に上向き、こんな風に今でも熱箱の配達人でなんとかやれている。

今日はWMDの熱箱屋に仕入れに来た。



熱箱屋のオヤジ「いつもおつかれぃ♪ ハイこれ、今回の分な。安くしとくよ」


リュウイチ「いつもすまない。ここに来る途中、やたらデカいショッピングモールを見かけたんだが、あれは最近?」


熱箱屋のオヤジ「そうだな、最近オープンしたよ。あ、そうだ。にーさん、たしか、うずまきしるこ好きだったよな?」


リュウイチ「あぁ、そうだが。それが何か?」


熱箱屋のオヤジ「最近、うずまきしるこの限定品でな、うずまきしるこ味の飴玉がショッピングモール内の店舗で販売されている」


熱箱屋のオヤジ「ただ限定品なもので、なかなか人気で手に入り辛くて……、ってもう居ないや。どんだけ好きなんだ、アイツ」


リュウジ「兄者、うずまきしるこジャンキーっすからね……。WMDに帰り着いたら絶対食うんだよな……。俺も自宅の冷凍庫をうずまきしるこで埋め尽くすくらいには好きなんすけども」


熱箱屋のオヤジ「リュウジのアニキ……、仕入れた熱箱、持って帰れそうかぃ……?」


リュウジ「ひとりじゃムリなんで、テキトーになんか車両借りてきますわw おやっさん、預かっといてもらえます?」


熱箱屋のオヤジ「おぅ、任せとけ。気ぃ付けてな」


リュウジ「ありがとうございます」



━━WMD内の巨大ショッピングモール



店員「うずまきしるこ味の飴玉でーす♪ 本日残り5個~♪ あっ、もうラストワンでっす~♪」


リュウイチ「っしゃ!間に合ったっ!」


カズミ「間に合ったっ!!!」



▶ リュウイチとカズミの手が触れあった。



リュウイチ「えっ……、あ、どうもすみません……」


カズミ「……いえ、こちらこそすみません。あ……」



▶ リュウイチとカズミが会話している間に、最後のひとつだったうずまきしるこ味の飴玉が売り切れてしまった。



カズミ「うずまきしるこ……、お好きなんですか?」


リュウイチ「えぇ、まぁ。熱箱の仕入れでWMDに帰ってきたときは必ず食べるようにするくらいには」


カズミ「えっ?ヒートポーターさんだったんですか?!あの世界中を熱箱を配達してまわるという、あの」


リュウイチ「いや、そんなに大したもんでもないですが、まぁ、そうですね。有難いことに仕事させてもらっています」


リュウイチ「じゃあ、僕は、これで」


カズミ「あの!少し、お時間ありますか?お詫びに、うずまきしるこ奢らせてください。ヒートポーターという職業は毎日が過酷で、安らげるのはWMDで熱箱を仕入れる時だけとお聞きします」


カズミ「世界中のインフラを守る方の楽しみを私が奪ってしまった。なので、是非」


リュウイチ「奪ってしまったなんて、そんな。あなたが居なくても、きっと人気で売り切れて手に入れることができなかったと思います」


リュウイチ「俺はリュウイチ。リュウイチ・カジマと言います。差し支えなければ、あなたのお名前は?」


カズミ「カズミ。カズミ・タケバヤシと申します」


リュウイチ「ス、ステキなお名前ですね///// 俺、これから昼飯なんすけど、よかったら付き合ってもらえませんか?」


カズミ「えぇ、喜んで♪」


リュウイチ「あ、すんません。ちょっとツレに連絡入れてきます」


カズミ「どうぞ♪」


リュウイチ「かくかくしかじか、というワケなんで、俺はお前とは別で食事してくる」


リュウジ「本当にかくかくしかじかとだけ言われても状況がわからんが、後ろに映ってるべっぴんさんと一緒に食事するんだな多分。俺は兄者のことはなんでもわかるんだ。なんか妙にテンション高いし」


リュウイチ「ばっか///// そんなんじゃねーよ///// とにかく行ってくらぁ/////」


リュウジ「ごゆっくりぃ~(ニヤァ)」


リュウイチ「あ、カズミさん、すんまっせん、お待たせしました。では、行きましょうか」


カズミ「はぃ♪」



━━WMD内の巨大ショッピングモールの飲食店



店員「あ”ぃ”~、特盛うずまきしるこ有明海風味でございまぁ↑っす↓」


リュウイチ(えらぃクセ強店員さんだな……)


カズミ(えらぃクセ強店員さんだわね……)


リュウイチ「んじゃいただきまぁーす。うーん、やはりうずまきしるこは人類の生み出した至高の食べ物……(遠い目) あ、カズミさんは抹茶味なんすね♪ それもウマイっすよね~」


カズミ「んじゃシェアしません?」


リュウイチ「えっ?あ、いいんすか?? いやーなんか悪いなぁ///// んじゃ遠慮なく……、んまーっ!なんぞコレ……」


カズミ「なんか京都産と愛知産を企業秘密割合のブレンドで作った抹茶味うずまきしるこ白玉らしいですよ♪ しかも合成じゃないそうです。ほら♪」



▶ カズミは蘊蓄(うんちく)をAI端末に調べさせた画面をリュウイチに見せた。



【AI端末】

日本で抹茶の「有名どころ」といえば、宇治茶の京都府と西尾抹茶の愛知県が二大産地です。

特に京都の「宇治」は高級抹茶の代名詞で、「一保堂茶舗」や「中村藤吉」、「伊藤久右衛門」などの老舗が有名です。

愛知の「西尾」は全国生産の約30%を占める最大の生産地です。



リュウイチ「ほぁー!マヂっすか……。どーりでうまいワケだ……」



▶ そのあともリュウイチとカズミは意気投合して、結局閉店まで語り合った。



リュウイチ「あ、カズミさん!今更でアレっすけど、お時間大丈夫だったんすか……」


カズミ「あ、今日は仕事休みだったんで大丈夫。リュウイチさんこそ、大丈夫でした??」


リュウイチ「あ、いやまぁ、俺は弟のリュウジとしばらくゆっくりするつもりだったんでだいじょぶっすけど……」


カズミ「弟さんもいらっしゃるんですね!滞在はいつまでなんですか?」



▶ カズミはリュウイチ達の予定を聞き出し、今度は元同僚のリョウコ・カザモリも呼んで、

4人で交流することを約束し、その日は別れた。


▶ リュウイチ、カズミ、リュウジ、リョウコは楽しく食事をしたり、カラオケをしたり、ボーリングをしたりして楽しんだ。

もちろん「うずまきしるこ」や「むしまんじゅーのじょーむ」も、しこたま食べた。

うずまきしるこ味の飴玉もお土産でゲットすることができた。


リュウイチ、リュウジは再び熱箱を届けるため、世界各地へ旅立った。

旅立ったあとも4人の交流は続き、旅先でも端末でお互い連絡を取り合った。


そうこうするウチに、


・リュウイチとカズミ


・リュウジとリョウコ 


は、お互いを生涯の伴侶と認め合い、結婚した。

結婚式はダブル挙式だった。幸せな式だった。

ウエディングケーキは、


リュウイチカズミ組は、

ウエディングむしまんじゅーのじょーむ


リュウジリョウコ組は、

ウエディングうずまきしるこ


これらの巨大和菓子にて式場が彩られた。

引き出物も、


リュウイチカズミ組は、

むしまんじゅーのじょーむ(真空パック仕様)


リュウジリョウコ組は、

うずまきしるこクッキーだった。


リュウイチとカズミ、リュウジとリョウコはいつまでも幸せに暮らした。



━完━


---


【用語】


・ウェルカム・マスドライバー:略称「WMD」。宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。レールの中は住居になっている。


・ロボティクス・ワーカー:略称「RW」。人型汎用作業機械。全高15メートルの搭乗型ロボット。(小型種=7メートル以下/中型種=10メートル以下/大型種=15メートル以上)


・うずまきしるこ:栄養バランスの取れた小豆をWMD内の農業プラントで優先栽培する流れで生まれた和風スイーツ。こし餡がうずまき状に器に盛られたしるこということから、この名がついた。


・むしまんじゅーのじょーむ:とても絶品な蒸し饅頭。製造工程が複雑なため、1日に売りに出される数が常に限定されている人気スイーツ。当初は「常務の蒸し饅頭」で商標登録するはずが、テレコ&漢字変換ミスで、この商品名になった。

本編第1話の前日譚です。

本編第1話はこちら▼

https://ncode.syosetu.com/n9533le/5


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